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17話 失敗

 俺、陽菜、結愛、楓姉さん、湊斗、大和の六人で、三条院学園高校から徒歩三十分離れた所にあるショッピングモールへ足を運んでいた。


 陽菜が俺の目の前でクルリと一回転して、嬉しそうに笑う。



「今日は一日、悠人は私と一緒に行動だからね。一緒に楽しもう。キャハハハ」



 ショッピングモールに来る時もそうだったが、今日はやたらと陽菜が俺に絡む。学校でイヤなことでもあったんだろうか?


 何かあったとしても、陽菜から話してくるまで、俺から話を振ることはしないが。


 俺が黙って陽菜の後ろに付いていくと、隣を歩いていた結愛が口を尖らせる。



「悠人って陽菜と仲が良かったんだね。陽菜にだけ特別に優しいもんね」



 は? そんなことねーよ。俺はただ黙って陽菜に付いて行ってるだけだ。どう妄想したら、そんな風に考えられるんだよ。



「ちげーわ。どこ見てんだ。俺の傍で陽菜がはしゃいでるだけだろ。別に俺は何もしてないだろ」


「私だと、いつも文句ばっかり言ってるのに。陽菜には文句を言わないじゃん。絶対におかしいよ」



 結愛は一応は人の話を聞くからな。でも陽菜は人の話を全く聞かない。その差だけだ。それを言っても結愛の機嫌が直る訳でもないから放っておく。


 陽菜が振り返って、俺の隣へ戻ってきた。



「へー結愛と悠人って仲いいんだ。私と悠人も仲良しだよ。ねー悠人。キャハハ」


「別に。コンビニで会うぐらいだろ」


「いつも休憩の時、一緒に居てくれるじゃん。私の話を聞いてくれるじゃん」



 それを言われると確かにそう見えるな。ただ陽菜がしゃべり続けているから、面倒だから黙っているだけなんだけどな。陽菜は黙っていても機嫌が悪くなることはないからな。



「それで陽菜はモールに何を買いに来たんだ?」


「ん? 別に何も買うモノはないかな。ただ一人でいたくなかっただけだし。キャハハ」



 陽菜は明るく笑う。何だか無理に明るく振る舞っているようにも見えるが……話してこなければ、俺には関係ない。


 湊斗の隣を歩いていた楓姉さんが陽菜と隣へ来た。


「陽菜っていつも明るい感じだけど、今日は特に明るいわね。何か訳でもあるのかな?」



「ハハハ、そう見えるんだ。楓って鋭いなー」


「何かあるなら話してみてもいいかもー。話すだけでもスッキリすることもあるし」



 楓姉さんが温かく微笑む。楓姉さんなら話を聞いてくれるから適任だ。陽菜も話して、心をスッキリさせるのもいいかもしれない。



「私ってさ、頭が弱いから、上手く話をまとめられないんだ。皆が一緒に居てくれるだけでいーし」



 湊斗と大和が後ろから陽菜に声をかける。



「上手く話せなくてもいいじゃん。俺も頭悪いしさ。一緒じゃん」


「俺も話を聞くぞ。話をすれば大腿四頭筋も喜ぶぞ」



 陽菜が二人を見て、プッと噴きだす。結愛が陽菜の隣へ行って、肩を叩く。



「ぜーんぶ、言っちゃいなよ。本当は何か悠人に言うためなんでしょ」


「ハハハ、結愛にもバレてたかー。キャハハ」



 え? 俺に言うこと? いったい何なんだ?


 陽菜が体を近づけてきて、上目遣いに俺を見る。



「怒らないできいてくれる?」


「内容による」


「実はさ。最近、ヤンチャな男の子集団と遊んでたらさ、その中の男子に告られちゃって。それで困ってさ。悠人の名前を出しちゃったの。だから謝りたくて、ゴメン」



 そんなことか。その集団は何なのかはわからんが、俺には無関係の奴等だし。別段、気にする必要もない。



「俺とは何の関係もないし、別に問題ないだろ」


「んー……そいつがしつこいんだよねー。私にぞっこんでさ。諦めてくれないんだよね」



 陽菜のことを好きで付きまとっていると。人気のある女子にはよくある話だ。



「それはご愁傷様」


「私が悠人に片想いしてるって言っちゃたから、そいつが悠人に会うって言っててさ。止めてるんだけど、言うことを聞かないのよね。失敗しちゃった。キャハハハ」



 俺は会う気なんて全くないぞ。俺は無関係だしな。



「どうして、そんなことを言ったんだよ」


「どうせなら、悠人のことを彼氏って言ったほうが良かったかな?」


「アホか。余計に悪いわ」



 俺の知らない所で勝手に彼氏にされてはたまらない。俺は彼女は作らない主義だ。そもそも女嫌いだからな。


 でも言ってしまったものは仕方がない。時間は巻き戻らない。俺はハァッとため息を吐く。



「そいつに会ったら、俺は何て言えばいいんだ?」


「正直に話してくれたらいいよ。悠人には関係ないことだもん」



 関係ないと言って信じてくれるだろうか。しつこい奴なら信じない可能性が高いな。あってもいない奴のことで悩んでも仕方ない。時間の無駄だ。



「話はわかったから、そんなことで悩むな」


「本当にゴメンよ」



 陽菜が両手を重ねて俺を拝む。その両隣に結愛と楓姉さんが並ぶ。



「陽菜、勝手に悠人を恋人扱いみたいにしないでよ」


「勝手に人の名前を使うのは、やっぱり良くないことだと思うのー」



 なぜ結愛と楓姉さんが怒っているんだ?


 俺が二人を見て不思議な顔をしていると、陽菜がお腹を抱えてキャハハと大声で笑う。



「悠人って、本当に鈍感。超ウケるー」



 その笑い声に釣られて、全員が笑い始めた。解せん。

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