表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/27

13話 大和の頼み

開けましておめでとうございます(#^^#)

本年もよろしくお願いいたします(#^^#)

 怜央、遥馬の二人とお茶に行ってから四日が経った。今頃二人はグァムの暑い日差しの下で撮影しているんだろうな。俺達が毎日退屈な授業を受けているのに少しズルいよな。


 そんなことを考えている間にチャイムが鳴り、午後のHRが終わった。やれやれ、やっと終わったかと両手を広げて伸びをする。首をコキコキと左右に鳴らして席を立つと、結愛が駆け寄ってきた。



「LINEで話した通り、今日は燈子と楓姉さんと三人でお泊りの女子会を開くから、その準備をしたいから別で帰るね」



 別にいつも一緒に帰る約束をした覚えはない。ん……一人少ないような気がするな。



「あれ? 凛は呼ばないのか?」


「だって凛は三日前から休んでるじゃない。LINEしてみたけど、全く既読がつかないんだもん。風邪でも引いたのかもね」



 そういえば凛は三日前から休んでるんだった。大和が元気ない訳だよな。



「そういうことだから、私、行くね」



 そう言って結愛は駆け出し、燈子、楓姉さんと合流すると三人で教室を去っていった。



「俺、今日は先に帰るわ」



 そう言って湊斗がそそくさと教室の出口から姿を消した。


 楓姉さんがいないから、湊斗も一緒に帰る相手がいないからな。結愛がいなくなって、うるさい奴もいない。俺も今日はのんびりと帰るとするか。



「悠人、今日は暇か?」



 隣を見ると、大和が元気なく、まだ席に座っていた。



「今日は背中の最長筋が元気がないんだ」



 何を訳のわからんことを言ってるんだ。俺に筋肉で例えられても困る。何を伝えたいのか全くわからん。



「それで何が言いたいんだ」


「凛がいなくて寂しい」



 そのまま伝えろよ。何か心配そうな顔で大和が見上げてた。



「付き合ってほしい」


「ノーサンキュ」



 男と付き合う趣味はない。まさか大和に告白されるとは思わなかったわ。ちょっと怖いぞ。大和が呆れ顔で俺を見た。



「そういう意味じゃない」


「知ってる」


「茶化すな。俺は真剣なんだ」



 何が真剣なのかはわからんが、とにかく話を聞こうじゃないか。



「言ってみろよ」


「凛の家に行こうと思う」


「行ってらっしゃい」


「俺一人で行くなら、お前に話さないだろ。少しは協力的になれよ」



 凛に会いたいなら大和一人で行けばいいと思う。そのほうが凛に大和の気持ちが伝わると思うし、鈍感な凛でもわかってくれると思うぞ。


 大和がガッシっと俺の両肩を掴んだ。暑苦しいので止めてください。



「一緒に行ってくれ。一人で行く勇気がない」


「断る」


「少しは悩めよ。即答は止めろよな」



 だって面倒くさいじゃないか。男の頼み事なんて聞きたくもないわ。女の頼み事も厄介でイヤだけど。


 大和が肩を掴んでまま、俺を大きく揺さぶる。



「凛が心配じゃないのか。三日も休んでるんだぞ。大変な病気をしていたらどうするよ」


「大病していたら、三日も経ってるんだから、病院に行ってるだろうよ。病院に行けないような大病なら、家族が救急車を呼んでいるはずだ。俺達の出る幕なんてない。以上だ」


「お前の心は氷か」



 なんとでも言え。俺は真直ぐに帰りたいんだ。家に帰ってから洗濯しないといけないし、その前にスーパーに夕食の食材も買いに行かないといけないの。家の中の片付けや掃除もあるしな。



「俺も結構、忙しい身なんだけど」


「頼むから付いて来てくれよ。PS5のソフトを一カ月間貸すからさ」


「わかった、友よ、一緒に行こう」



 俺の言葉を聞いて大和が二パッと笑う。大和は笑顔がよく似合うな。


 俺と大和は校舎と出て校門を潜る。すると大和が凛の家に向かう方向ではなく、商店街へ向かって歩いていこうとする。



「どこへ向かうんだ? いつも大和が帰っていく方向と違うじゃないか」


「バカ野郎。凛は栗饅頭が好きなんだよ。だから和菓子屋で栗饅頭を買っていくの。凛の家に行くんだから、手土産を持って行くのが常識じゃないか」



 お前は近所のお婆ちゃんか!


 手土産なんていらないと思うが、大和がそれで気が済むなら仕方がない。付き合おう。


 俺達は商店街にある和菓子屋で栗饅頭を買い、凛の家へと向かう。



「凛、大丈夫かな? 病気で熱を出して、うなされていないかな?」


「そんなのは知らんし、わからん」


「悠人は心が冷たいんだよ」



 凛が本当に病気かどうかもわからなし、大和の過度な妄想に付き合うつもりはない。勝手に言わせておけ。


 しばらく路地を歩いていると、目の前に少し古びた二階建ての赤い屋根のアパートが見えてきた。それにしても年季の入ったアパートだな。どんな人が住んでいるんだろう?


 俺がアパートを眺めていると、大和が人差し指でアパートを示した。



「あれが凛の住んでいるアパートだ」



 え……とても家族で暮せるようなアパートに見えないんですけど?


 大和がスタスタと歩いていき、アパートの一階にある一番奥の部屋の前で止まった。仕方ないので俺も大和の後に続く。


 大和が意を決したようにゴクリを唾を飲む。



「チャイムを押すぞ」


「早く押せ」



 待っていられなかった俺が人差し指でボタンを押した。すると家の中からピンポーンというチャイムの音が聞こえる。


 しばらくすると玄関のドアがそーっと開かれ、ボサボサ頭の凛が眼鏡をずらして顔を出した。



「はにゃ?」

ブックマ・評価☆(タップ)の応援をよろしくお願いいたします(#^^#)

作者の執筆の励みとなります。

よろしくお願いいたします(#^^#)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ