0話 プロローグ
現実恋愛に投稿しました。
是非、読者様読んでください(*^▽^*)
書き溜めは一切ありません。
全て書下ろしです。
よろしくお願いいたします。
お父さんとお母さんが揉めている。俺と澪姉ちゃんは部屋に入れずに、廊下でドアに耳を当てて、リビングの中の様子を聞いていた。
「真由、この家を出て、どうするんだ? 子供達はどうなるんだ?」
「そんなの知らないわよ。 あなたが子供達を育てればいいじゃない」
「そんなこと許される訳ないだろ。考え直せ」
なぜ言い争いしているのかわからないけど、お父さんが興奮しているお母さんを引き留めようとしているのはわかる。
なぜお母さんは家から出て行こうとしているのだろうか。僕がワガママを言ったのが悪かったのだろうか。
リビングの中からドサっと誰かが屑倒れた音がした。
「もうイヤなの。何の変化もない暮らし。ただあなたを待っているだけの時間。子育て、家事の毎日。もう疲れたわ。あなた離婚してよ」
「真由は専業主婦なんだから、家事、子育てをする毎日なのは仕方ないじゃないか。毎日に変化がほしければ、働きに出ったっていい。子供達を捨てるようなことはするな。子供達のことを一番に考えろ」
「今まではそうしてきたわよ。子供達を優先に考えてきたわよ。でもそれだけで、私は自分が老いていくのが嫌なの。もっと自由に行動したいの」
「真由、それは勝手というものだ。俺のことは冷めてもいい。だが子供達には罪はない。子供達の生活が一番大事だろ」
お母さんが何を言っているのかわからない。でも僕と澪姉ちゃんを捨てようとしていることはわかった。
自然と悲しい気持ちが込み上げてきて、目に涙が溜まって溢れ出す。不安になって澪姉ちゃんにそっと小声で話しかけた。
「澪姉ちゃん、僕達、お母さんに捨てられるのかな……そんなのイヤだよ。お母さんと一緒に暮らしたいよー」
「わかったから、悠人、静かにして。お父さんとお母さんに見つかっちゃうから」
澪姉ちゃんが僕をしっかりと抱きしめて、僕の口に手の平を当てた。
リビングの中からテーブルをバンバンと叩く音がする。お母さんが興奮して叩いているようだ。
「正直に話さないと、あなたは解ってくれないようね。私、恋愛がしたいの。女性としての自信を持ち直したいの。私はまだ三十よ。今なら取り戻せるわ」
「誰か男と出会って、恋愛したのか? だから家族が嫌になって捨てようというのか! それはあまりにも身勝手だろう!」
「勘違いしないで! まだ恋愛していないわよ! これから一人暮らしを始めてから、良い出会いがあったら恋愛するつもりよ! 女性として自立するという意味よ!」
何かよくわからないが、お母さんは心に決めているみたいだ。
「今日は出て行くわ。澪と悠人にも私の気持ちを伝えるつもり」
「子供達の心を傷つけるのだけは勘弁してくれ。出て行ってもいい。だから子供達には伝えないでくれ」
「子供達にも真実を教えておいたほうがいいわ。こんな母親、許してくれるはずないと思うけど、私はママとして生きるよりも、一人の女性として生きる道を選んだの。その選択に後悔はないわ。だから子供達に伝えます」
ドタドタと足音が聞こえてきて、リビングのドアが開いて、お母さんが姿を現した。そして僕と澪お姉ちゃんを見つけ、目を見開いて口を押えている。
「あなた達、聞いてたの?」
「お母さん、僕達を捨てて出て行っちゃうの? そんなのヤダよ。考え直してよ」
「お母さんはね。自分の自由を選んだの。だから悠人や澪とは一緒に暮らせないの。わかってね。二人共、愛してたわ」
そう言ってお母さんは僕と澪姉ちゃんを交互にギュッと抱きしめた。お母さんの目からは幾筋もの涙が零れ落ちていた。
澪姉ちゃんが涙を流しながら、唇をキーっと引き結んでお母さんを睨む。
「私が悠人を守る。だからお母さんはいらない!」
「そうね。澪は強い子だから、甘えん坊の悠人のことを頼んだわね」
「悠人は私が守る! お母さんのこと絶対に許さない!」
「お父さんと悠人のこと頼んだわね」
お母さんはニッコリを笑って、二階の寝室へと歩いていった。そしてしばらくして、ボストンバッグを持って、お母さんは僕達を振り返ることもなく、玄関から出て行った。
僕が四歳の時の夏の日の出来事だった。
それから数年が経ち、俺は女嫌いになっていた。
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