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枯れ尾花

作者: CEACER

処女作でございます。

処女作と言ったはいいものの、正直今のところこれ以上投稿するつもりはありません。


文章も、テンポも、トリックも稚拙ですので、読んでいて不快になる方も多いと思います。

ご了承ください。


そしておそらく、聡明な方が読めば矛盾等も見つかってしまうと思います。

それらは、可能ならば感想・レビューの方へ書いて頂けると幸いです。


期待のハードルは最小限に下げてから読むようにお願いします。


書き忘れていましたが、このトリックは私が最近体験した出来事を元に作っております。


前書きは以上です。

「ディズニーランド帰り、鼠耳を頭に生やし、馬鹿騒ぎしている若者の気持ちが少しだけわかった気がするな」


初めてのコンサートで購入したグッズ達を身にまといながら、紛いなりにも若者の端くれであろう豊司は、月の淡い光が知らない町の地面を照らしているのを窓越しに見つつ、ふと呟いた。




家に着けば、汗を流すため、すぐさま風呂場へ向かった。


衣服を脱ぎ洗濯カゴに入れたついでに、財布やスマートフォン、購入したグッズたちを小物置き場に置いたり、壁のフックに掛けたりして風呂に入る。


シャワーで全身を軽く濡らしたあと、シャンプーで髪を洗う。


シャンプーを湯で流し、リンスが髪に満遍なく行き渡るよう付け、そのままの状態で体を洗う。


いつも通りの工程を機敏にこなし、いざ、湯船に浸からむ。

と同時に、床が、小さな音を立てながらグラグラと揺れた。


「地震か」


豊司は湯船に浸かりながら、ゆくりなく思い出す。

何年前だったか、日本は大震災に見舞われた。

その頃は小学生で、道行く人達を上目で見ていたのが、高校生となった今では身体も大きく成長し、殆どの人を見下ろせるようになった。

子供の成長は驚くほど速いなと、改めて感じる。


少し感慨に耽ったのち、風呂から上がった。


バスタオルで水気を拭き取り、寝巻に着替え、スマートフォンのロックを外す。

すると、小学生の頃からの付き合いである友達・諭から電話が来ていた。


湯船で感慨に耽っている間に寄越したのだろう。

特に罪悪感も感じずに、かけ直そうと通話履歴の画面を開く。


通話履歴の画面を開いた豊司の頭の上には、ハテナマークが沢山浮かんでいるようだった。


「なんだこれ」



入浴中に、諭から着信があった。

これは別に不思議なことではない。

休日に遊びに出かけることは決して多くないが、連絡は同級生の中で一番といってもいいほど交わしている。


では何故豊司は画面を見て疑問に思ったのか。


通話履歴の画面には、

『布花原 諭 から着信 15分前 通話時間 18秒 』

と記されていたのだ。

通話時間 18秒ということは、誰かが着信に応じ、その通話が18秒間続いたということ。

当たり前のことだが、豊司にとってはおかしなことなのだ。



・・・・なんせ大庭豊司は、『一人暮らし』なのだから。





「もしもし、諭か?」


「そうとも。この僕こそが、君の求める元来の親友、諭さ。」


諭は普段通りの冗談めかしたような口調で電話に出た。


つい先程起きた謎をどう話せばいいものかと考えていると、諭は続けて口を開いた。


「あ、そうそう、さっきはどうしたんだい?豊司。

折角僕が君の身の安全を確認してあげようと電話をかけたのに、無言で流すなんてね。」


誰が電話に出たのかは知らないが、そいつは無言だったらしい。


電話の用件は、地震の安否確認。

体感は震度2にも満たなかった気がしたが、もっと大きかったのか、と頭の隅で考えつつ、答える。


「ああ、それはすまなかった。それでいきなりなんだが、その電話に出たの、実は俺じゃないんだ。」


「・・・そんな冗談を言うなんて、豊司らしくもないね。

熱でもあるんじゃないかい?」


まあ確かに、俺は人と好んで関わろうとはしない。だからこそ、冗談を言ったり、はしゃいだりはしない。それは間違いない。間違いないが・・・


「俺をなんだと思ってるんだ。俺も冗談くらいは言うぞ。

まあ今回については、冗談じゃないがな。」


「豊司にオカルト趣味があるとも知らなかった。」


「だから違……」


反射的に否定しそうになったが、確かに、幽霊の可能性もあるのか。と思った途端、全身がブルりと震えた。


「まあね、豊司。 僕は何にでも関心を持つタイプだから、幽霊を信じるのも一興かもしれないけど、その一件が本当だとして、その悪戯が幽霊の仕業、だとはさすがに思ってないさ。」


諭の言葉に、安堵の溜息を零す。


「あれ、豊司。 君は幽霊を恐れているのかい?」


「そんなことは無い。」


「なんだ、全然声が聞こえないからさ。耳なし芳一ならぬ口なし豊司になってしまったのかと驚いたよ。」


「別に上手くないぞ。」


「知ってる」


くだらない会話を交わしたあと、諭は豊司の話をもとに推理を始めた。


「豊司、僕が電話をかけたとき、何をしていたんだい?」


「コンサート鑑賞でかいた汗を流してた」


「ふむ、そういえばコンサートに行くと言っていたね。どうだった?」


「ああ、充実していたよ。つい会場の雰囲気に呑まれて、グッズを何種類か買ってしまった。」


「へぇ、何を買ったんだい?」


「それ、推理に必要あるのか?」


「まあまあ、思い出話に花を咲かせるのもいいじゃないか。何より、推理のモチベーションになる。」


そんなもんかなぁ、と不思議に思ったが、別に無理に出し惜しみする必要もないか、と一つ一つ挙げていく。


「シリコンのブレスレットに金属製のネックレス。そして、Tシャツを二枚。その内一枚は着て帰ってきた。他には革のキーホルダーを何種類か。小物は全て付けてた。」


「なるほど。


・・・・少しトリックに近づいたかもしれない。」


「本当か?」


「まあね。」


諭はやはり凄い。その能力が羨ましい限りだ。


「質問なんだけど、豊司は帰宅してから入浴まで、何をしていたんだい?」


「帰宅した直後に風呂場へ行った。だから何もしてない。」


「そうなんだ、寝巻は用意していたのかい?」


「俺の風呂場に行くまでの間に寝室があるから、そこで取ってから行った。取っただけでなにも置いたりはしてない。」


「なるほど。 それじゃあ、荷物やグッズは風呂場の近くにまとめておいたって事だね。」


「まあ、そんな感じだ。 厳密に言えば、荷物は隅によせて、小物は全て小物置きに置いた。アクセサリー類は小物置きの壁側に付いているフックに掛けておいた。」


「うーん・・・もしかすると、壁の、『フック』がある場所は、纏めた小物の少し上あたりだったんじゃないかい?」


「そうだ。 だからアクセサリー類は、置いた小物の上あたりにぶら下がっている事に…………ん、待てよ。」


諭の質問に対し肯定をすると、

豊司の頭には謎がどう起こったのか、そのトリックが浮かんだ。


豊司は思わず、

「なるほど、そういう事か。」

と呟いた。


「お、わかったみたいだね。 そうだよ、そういう事さ。

とても珍しい事だけど、僕にはこれ以外思いつかないからね。当たってることにしておこう。」


「それがいい。」





諭が思いついたトリックはこうだ。


俺はスマートフォンの画面が上になるように小物置きに置いていた。

風呂にいる間、小さな揺れではあったが、地震が来た。

その後、諭から安否確認の着信が来た。

画面には『布花原 諭 応答 or 拒否』もしくは、それに準ずるモノが出ていただろう。


勘のいい人ならもうわかったかもしれないが、念の為続けよう。


スマートフォンの画面は電気を持つもの、もとい通すものに反応する。

そう、スマートフォンの上あたりでぶら下がっていた金属製のネックレスが、地震によって揺られ、たまたま「応答」を押してしまったのだ。


可能性としてはかなり低い話だが、現実に起きたとなると信じざるを得まい。






「諭、感謝するよ。 スッキリした。」


俺は諭に感謝の念を伝えた。


「まあ、いつも豊司にはお世話になってるからね、お互い様さ。 でも、幽霊の仕業じゃなくて良かったと心底思うよ。」


「そうだな」


「そういえばこんな諺があったね。


『幽霊の正体見たり枯れ尾花』」


「まさに今日の事だな。」





風が窓にぶつかり、音を立てて過ぎていく。

その頃、時計の針はどちらも12を指していた。

いかがでしたでしょうか。

おそらく、読者の方々を感心させることの出来る作品ではありません。

なのにも関わらず、最後まで読んで下さった方、ありがとうございます。


前書きでも書きました通り、何か矛盾等を見つけた方、アトバイスのある方は、感想・レビューの方で送ってくださると嬉しいです。


あともう一つ、この作品のもうひとつの楽しみ方をご紹介します。

それは、作者名と関係します。

これはかなり暇な人しか解けない問題だと思いますが、『作者の名は何が由来か。』という問題です。


私はこの作者名、そして登場人物含めこの作品を、ある作品を意識しながら執筆致しました。


その作品を愛読している方ならピンと来た方もいらっしゃるかもしれません。


是非、挑戦してみてください。

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