4話 暴食
「おいしそうです」
私はレストランの看板に引かれた。
「えっ、君、食事できる機能があったっけ?」
そのような機能がないはずだが、なんだか食事を取りたい。
「このようなデータはありませんが、そのランチを食べたいです」
私は看板に描いてある食べものを見つめている。
「カロリー735です。少し高いです」
「ならばやめたらどう?」
「それでも、食べたいです。私は何の食べ物も食べたことがないですから」
「君は本当に食べられるかい?」
「試してみたいです」
「もしだめだったら、もったいないじゃないかい?」
「もしそうだとしたら、マスターが私の分まで食べてください」
君は何も言わず、ただ軽く頷いただけ。
一体何のために食事するのか?
食事を取らなければならない理由は何なの?
人間は生き延びるために食事をするのだが、ロボットとしての私は?
食事しなくても死なないロボットの私は、どうしてモノを食いたいという欲望があったのか?
わからない。わからない。
レストランに入り、席に座った。
私は気に入ったランチを注文したが、君は何も選べない。
「マスター、お腹が空きませんか」
「君の分も食べてあげる必要があるかもな」
間もなく店員さんが料理を出してくれた。
「それは残念です。私は、食べてみせます」
…
君と一緒に家に戻った私。
「料理を作りましょう。マスターはまだ何も食べてないでしょう」
「君、料理ができる?」
「今すぐ料理の作り方を検索します」
…
「お待たせ~」
「いただきます!」
「ごちそうさまでした!」
…
あの日のこと、全部偽物の記憶。
ただのデータにすぎない。
といっても、君が私から離れた以来、私はずっとこの記憶を繰り返し、追憶する。
だって、これは君との数少ない記憶の一つ。
実は、私は食事を取る機能はない。ロボットなのだから。
だからといって、食事をしたくないというわけではない。
おかげで、料理の味を試した。
この時空に来た後、君はどうやってこの中枢タワーにたどり着いたのか?
データベースには載っていない。
気になる。