2話 貪欲
あれから間もなく、君はタイムマシンの実験に参加した。
あれから、君に一度も会っていなかった。
誰も私のことを気にせず、私がこのまま研究室の片隅に放置された。
だが、私は普通の女の子のように、この世で生きていきたかった。
君がいなくても、私は一人でこの世界に対する了解を深めたかった。
…
「キレイです」
街を散策することも、買い物に夢中になっていることも、ロボットとはいえ、一人の女の子としての当たり前のことだろう。
ある洋服店を見回しながら、インターネットに繋がっており、その目でいろいろな洋服のデータを確かめていた。
お店には、実物がなく、データやホログラフィーしているものしかない。
どうやらみんなもホログラフィーを通し、洋服を試着するようだった。
そこで、私は、インターネットで目に映った物事を詳しく調べている。
偶然、このような観測機能を持っていることに気づいた。
しかも、人に対しても使える。
君がタイムマシンの実験を参加する直前、君にこのような観測機能を使用してみた。
君は気づき、驚きそうな表情をしている時、私と見つめ合うことになった。
しかし、機能は全然効かなかった。
どうして、効かないのか?私は困惑に感じた。
「人に使うつもりかい?言っとくけど、僕の身分は機密事項なんだから、調べても出てこないと思う」
機密事項って何?
君の名前さえ知らない私の好奇心。
あるきれいなワンピースを目で検索し、私の体にまったく同じようにホログラフィーした。
鏡に映る姿。無垢な顔に碧眼。
動きにより、少し翻った金髪は、軽さがあり、柔らかそう。
本当にあのワンピース買ったわけではないが、とても満足した。
私はただ、普通の女の子として生活したかったのに… もう一度君に会いたかったのに…
だが、こんなに小さな願望はロボットの私にとって、贅沢な夢。
今はようやく君が語った煉獄の意味が分かった。
この色とりどりの世界は、世間知らずの少女にとって、まさに煉獄だと思う。
私の見た世界は灰色の世界。もし本当に煉獄が存在するなら、こういう色にすぎないのだろう…
君の名前も知りたい。君の行方も知りたい。
君をずっと待っている!いつまでも待っているから!
…
ところが、百年後、再び目の前に現れた君に、私は無表情で、無感情な声で、
「ようこそ、世界を管理するAIシステム、中枢タワーへ」