打開案
勇者の詳細を聞いてみると以下の事が判った。
・女性
・年齢は見た目通りなら10代後半から20代前半
・魅了スキルは男も女も魅了する。(ミスター・オトンとモヒカンが割り出したレベルは10。この世界で最大の数値。)
「勇者に会いに行く事は簡単です。彼女、誰でも会える勇者を謳い文句にしてますから。」
アイドルかよ!その勇者。
と心の中でツッコミをしていると壁の方からモゴモゴ聞こえた。
よく聞き取れなかったが、
「ヤヤの旦那は魅了・誘惑耐性持ってるんですよね?」
っと言ったのだろう。(多分)
「ヤヤさん、魅了・誘惑耐性スキルは?」
とミス・アルディス
「魅了・誘惑耐性は無いですね。変わりになるかわかりませんが、特殊な条件で発動する固有スキルを保有してます。しかし自分でも全てを理解できてないもので・・・。」
「ちょっとステータスを見ていいか?」
とミスター・オトン。
「どうぞ。」
ミスター・オトンからは当然、敵意は感じられないので、鑑定スキルを弾く事はないだろう。
「成る程。確認だが、条件は対象に触れさえすれば良いんだな?」
「ええ、その筈です。」
「そうなると相手に触れるをクリアしても対象の敵意や悪意次第だな。」
ミスター・オトンの見立て通りなら条件を満たせば勇者のスキルを弾く事が出来きるみたいだ。
しかし、どうやって発動条件を満たすか。
近づくだけで魅了が決まれば即終わり。
そもそも勇者が、俺に対して敵意や悪意が無くても終わり。
それでは洒落にならない。
さて、どうしたものか・・・。
「ヤヤさんはスキルを2つ以上お持ちですか?」
「はい。持ってます。」
固有スキルの無限収納箱とS-KILLの2つだけだがな。
「それなら私の固有スキルを使えばいけると思います。」
ん?どういう事だ?
スキルが2つあるなら何とかなるのか?
取り敢えずアルディスの固有スキルについて聞いてみることにした。
「どんなスキルなんですか?」
「一時的ですが、触れた相手のスキル又は固有スキルを自身が持つスキル、固有スキルと入れ替えるというものです。
オトンおじ様かあそこの壁の耐性スキルを借りるんです。」
「それを使ったらお嬢は・・・」
ん?何かデメリットがあるのか?
ミスター・オトンが慌てている。ナイスミドルが崩れる位に。
「オトンおじ様、この際、副作用は気にしません。数日で治りますし。」
ああ、何かあるんだな。
さて、どう勇者に触れようかと考えていたら
壁に埋まっていた聖職者が壁の中から出てきた。
「あ、勇者の嬢ちゃんなんすけど、今日の昼から広場握手会やるとか言ってたッス。」
それ、完全に勇者じゃなくてアイドルだろ!
というより握手会どこで仕入れたんだ?
「それと旦那、ボスの副作用の話なんですがね、一時的・・・」
また余計な事を言ったなと思ったらモヒカンは、再びまた壁に埋まっていた。
「後は私がヤヤさんに触れればスキルの交換ができます。とりあえず握手会場に行きましょう。にぱー☆」
探偵は、目の前にいる小柄で可憐な幼女を怒らせない様にしようと心の中で誓った。