1日目の夜〜2日目の朝
意識がハッキリとするとそこは庭園だった。
依頼主の庭園か。
それにしても身体が軽い。
「それは、あなたが魂だけの状態だからです。」
と言いながら依頼主が歩いてきた。
「ヤヤさんに残念なお知らせがあります。1日目が終わりました・・・。一応報告をお願いします。」
「え?1日目が終わったんですか?」
確かに、1日の終わりに報告の為、この庭園へ呼ぶとは聞いていたが・・・
「・・・覚えてないんですか?」
と依頼主が呆れながら言った。
確か、モヒカンとそのアニキと会話をしてたら地面と平行になって・・・。
ん?そもそもどうして地面と平行になったんだ?
「端末の取扱説明書に注意書きはありましたよね?生命エネルギーの使い過ぎです。」
・・・あぁ、気絶したのか。やっちまったな。
それで意識が遠のく寸前のアニキとモヒカンの言葉が聴き取れなかったわけだ。
使い過ぎて気絶は洒落にならない、とは何だったのか・・・。
「私の体は今どういう状況ですか?」
「ゴルディア国のある組織に拾われています。」
多分、アニキとモヒカンだな。
「マフィアですか?」
「いいえ、違います。あなたに近い仕事をしてる組織ですかね・・・。」
探偵業者なわけないしな・・・。一体何なんだろうか?
「もう1つ質問があります。」
「何ですか?」
「端末に元から入っているカメラなんですけども・・・」
そう、百科事典アプリを起動してカメラで撮ると鑑定ができる件だ。
「鑑定の件ですね?それはアプリの製作者曰く偶然の産物との事です。それよりも2日目は良い報告を待ってますよ?」
といい笑顔で俺に言った。
多分怒ってるな・・・。
俺は、「申し訳ございませんでした!」
と大体75度くらいのお辞儀をして自分の身体へと向かった。
・・・知らない天井があった。
窓からは陽の光が差し込んでいた。
「目が覚めたか、兄ちゃん。」
アニキがいた。(と隣にモヒカン)
「魔力欠乏症だな。魔法を使ってないのになるなんざ、滅多にないんだが・・・。ホント、苦労してんだな。」
とアニキ。何かを勘違いしているみたいだ。
便利な端末を使ってるんですけどね。
はぁ、今後はアプリの使い過ぎは控えないとな・・・。
翻訳アプリ単独ならそこまで生命エネルギーは減らないみたいだが、同時に他のアプリを起動してるとかなりの速度で減るようだった。
「助けて頂いてありがとうございます。それと、ここはどこですか?」
「俺とアニキの所属している組織の本部だ。」
とモヒカンが答えた。
「不躾な質問ですが、どんな活動をしている組織です?」
「薬草取りから魔物の退治まで、王国の法律に反さない事をやる便利屋だな。」
・・・異世界によくある冒険者ギルドだな。
確かに俺と似たような業種だ。
探偵がこの庭園を出てから数秒後
「本当に大丈夫かしら・・・。」
「本当に心配しとるんか自分?魔力欠乏症やろ?どうして、鍛えるなりスキルで消費抑えるなりさせなかったんや?」
と言って八重歯の少女が入ってきた。
「・・・時間がないんです。スキルはヤヤさんの希望に沿ったものを提供いたしました。それより、いつからいたんですか?」
「残念なお知らせ辺りやな。」
「ほぼ最初からじゃないですか・・・。何しに来たんですか?」
「お金の両替をしたのはウチや。」
「そうですね。確かにあなたに頼みました。」
「自分余りお金使わんだろ?何に使うんか気になってな。来てみたんや。」
「余計なお世話です。あと、何でいつもと喋り方が違うんですか?」
「・・・キャラ付けや。」
そう、八重歯の少女は笑いながら言った。