第一現地人との邂逅
依頼主が繋いでくれた回廊を歩いていると草原に出た。
孤島とか砂漠、海上、雪原スタートじゃなくて良かった。
まずやる事は、〈無限収納箱〉の中からバックパックを取り出す事。
空間に穴を開けてアイテムを取り出すのはマズイと判断した。
ファンタジー世界小説のあるあるだが、
商人や運送業の恨みを買い暗殺や
人攫いに逢い奴隷にされるなんて事があるからな。
バックパックから取り出せば魔法の鞄と言って誤魔化せる。
まぁ、こっちもファンタジー世界小説のあるあるなんだが。
バックパックを〈無限収納箱〉から取り出し、一服しようとタバコを口に咥えライターで火をつけようとすると、男が近づいてきた。
「@&jv・々7]〜」
モヒカンか・・・。
ここは世紀末世界か?
「々+8×¥3|+→$☆♪>?」:×¥^1^」^*<$5×=*÷?」
とりあえず(いかにも野盗みたいだが)人と遭遇できたのはいいが、言葉がわからない。
「〒々>=<=^$9=♪4×〆…」
さっぱりわからん。
・・・前払いの報酬で貰うスキルを間違えたみたいだな。言語理解にしときゃ良かった。
探偵廃業しても(するつもりは当面ないが)通訳で食っていけただろうしな。
はぁ・・・戦いたくないんだけどね。
話し合いでどうにかならないかな。
「一番近い街はどちらの方角ですか?」
「r4^2%*3→$☆4〒、g4○$2€°%ーー!!」
と言って獲物のサーベルを振り上げて襲いかかってきた。
やはりこうなるのか。
それに対してカウンターで一撃を腹に入れた。
案外通信教育の格闘術でどうにかなるもんだな。
「!?」
モヒカン男が何かに驚いている。
「=<2×°〒」÷|%1&ji?」
いや、何を言いたいのかわからんよ。
「_lghn/e_nrm_n/「*1×¥3€¥5?」
大分、慌ててるな。
「○・♪%+〆rr….|.」
と言って去っていった。
最後のは「覚えてやがれ」だな。
モヒカン男がいた所にビー玉みたいなものが落ちていた。
何だろう。一応回収しておいて依頼主に聞いてみるか。
ビー玉みたいなものを拾いズボンのポケットに入れて収納と念じ〈無限収納箱〉に押し込んだ。
さて、どうしたものかね。
言葉は通じないし、どうやって街や勇者を探すかね。
そういえば、困ったらタブレット端末を使えって言ってたな。
依頼の為の機材という事で、依頼主からタブレット端末が支給されており、端末には地図アプリ(GPS付き)〈地図作成LV.10〉と翻訳アプリ〈言語理解LV.10〉と百科事典的アプリ〈叡智の書LV.10〉が入っていた。
・・・
俺は1度深呼吸し、タバコを口に咥え火をつけて一服しながら、
モヒカンに声をかけられた時に出しとけば良かった・・・と思った。