3日目の朝
女神マリア・ケイオス・クロノの領域
そこにいる2人の人物。
この2人、一見すると少年と少女だが2人とも立派な女神である。
「私はマクロ・ミナセです。能力の神様やってま〜す☆」
「一体どこに向かって言ってるんですか?」
「さぁ、どこでしょうね?」
「また何かやらかしたんですか?」
この女神、いくつもの自分の管轄外の世界を破滅から救うという偉業を行うとと同時に問題行動を起こすことで有名であり皆、頭を抱えているのである。
「いいえ、まだ何もしてないです。今回はあの探偵さんにコンタクトを取りたくて来たんです。私が出てくる前に帰ってしまいましたが・・・。」
「貴女、まさか一日中ここにいる気じゃ・・・。」
「ええ、そのまさかです。美味しい紅茶と自作のお菓子を持ってきたので居させてください。」
マクロの思いもよらない行動にマリーは思わず、ため息を吐いてしまった。
3日目の朝
宿屋の主人が誰かと会話してるのが聞こえる。
「お、嬢ちゃん、今日はどうした?」
相手は若い女性らしい。
「私よりちょっと歳上の男の人が泊まってませんか?」
「そりゃ、昔馴染みの嬢ちゃんでも言えないって解ってるだろ?」
どうやら女性は店主と知り合いの様だ。
当たり前だが、異世界モノのラノベ等では時々、客を売る主人もいる。
今回は客の情報を漏らさない善良な主人が経営している宿のようだ。
「おじ様は、わかり易いです。ここに泊まってますね?それなら待たせてもらいます。モーニングセットを1つ。」
昔からの知り合いの様で嘘は見破られてしまった様だが・・・。
女性が誰だかは見当がついている。
多分、ミス・アルディスだろう。
俺がテーブルの方に行くと女性から声をかけられた。
「おはようございます、ヤヤさん。」
やはり、若い女性はミス・アルディスだった。
「おはようございます、ミス・アルディス。誰かに用があるのですか?店主、私にもモーニングセットを1つ。」
はいよ、と店主の声が響いく。
「そんで、あんたは嬢ちゃんのコレかい?」
店主は料理を置いて、小指を立てながらそう言ってきた。
「いいえ、違います。昨日会ったばかりですから。」
俺が、そう言うと正面に座っているミス・アルディスの表情は何処と無く寂しそうだった。
「あの、ヤヤさんは冒険者の様な事をしていると伺ったのですが・・・」
俺は、そうですと言って頷いた。
「ヤヤさんに依頼を出したいのですが、お願いできますか?」
中々、来れない異世界の観光も大事だが今回彼女のお陰で勇者を無効化出来たので、可能な限り依頼を受けようと思う。
「どのような依頼でしょうか?」
「オトンおじ様から『たまには休め』と言われてしまって、暇なんです。もし宜しければ、一緒に町を回って頂きたくて・・・」
この町の案内をギルドの方に出しに行く予定だったのでこちらとしても願ったり叶ったりだ。
なので、
「是非お願いします。こちらから依頼として頼もうと思っていたところでしたので。」
と即答した。
そう、この発言が明日・・・つまり、この世界の4日目を決めることになるとは、この時は知る由もなかった・・・。