第一話
紅に光る石、そこにあるは、天へと届く道しるべなり、
故に時は、満ち足りて、世界を救う光と成らん――
これは、かつて神と呼ばれた人類史上最高峰の錬金術師が残した遺産を巡る物語。
である――
…… 。
【第一話目覚め】
-紅神石の丘-
赤く光る巨大な水晶がそびえ立つ町、
ここ紅の町は、のどかで放牧的な田舎町だ。
この田舎町には、これといった特産や目玉となる施設もないが、
紅に光る謎の巨大水晶は、なかなかの壮観だと自負している。
そう、自負している。
ここで察しの良い方はすでにお気づきであろう、この私、意思を持つ水晶なのである。
んー、それにしても今日はいつも吾輩を磨きに来る少年が来ないでござるな、
それちょっと街中を閲覧魔法でのぞいてみるかの。
どれどれ…… 。
「うわぁーーーーーっ なっ、なんだこいつら! ありえねぇ!なんでこんな田舎町の森林に、こんな巨大な亀がいるんだよーーっ」
俺、はいまだかつてないほどの危機に遭遇して、叫んでいた。
おかしい、なぜ、こんな理不尽な事が起きるのか、
俺はただ、村長の一人息子として、日課である紅神石様を磨きにいつものように森に入って甘いリンゴを取って食べつつ向かってただけなのにっ、
「グォォォォォ」
こっちをギョロっとしたクリクリおめ目で見つめてロックオンして涎を垂らしまくって迫ってくる、巨大亀を背にして走る俺は、ただひたすらに必至だった。
「ぐわぁーーー やめてくれーー こっちにくるなぁーーこのままじゃっ 潰れてっ死んじまうーっっ」
もうだめだと思いつつも俺は走り続けた。
!? 遅いと思ったら少年めつちゃピンチじゃのぉー、これでは、あの少年もだめかのぉ… 南無さん……。 いつもしっかり磨いてくれる気の良い少年じゃったのじゃが…… 、惜しいものを亡くしたのヨヨヨ。 んっ、何か地響きがするの…… あれ? これ少年わしの方に向かってきとらん? やばない? まじでやばない?
「ぐわぁー もうだめだーーーっ」
俺は木の根っこにつまづいて、頭からダイブするように空中に飛んで行った。
瞬間目の前が緑から切り替わる、いつの間にか森を抜けてたのか、目の前には巨大な赤い水晶、
紅神石様があった。
「グォォオオオッッッ」
やばいパターンじゃ 小僧なんてものを連れてきたんじゃーーーっ
瞬間――
硬い金属同士がぶつかり合ってはじけるような音がした。
…… 、 が気のせいだったみたいだ……。
そこには、紅神石様と巨大亀がぶつかる 寸前で時が止まったかのように灰色の世界が広がっていた。
んぉっほんっ、少年っ聞こえておるかのっ
「えっ!?なに この状況っ どっから声が聞こえてきてんの?っ」
ぬしの前にいる吾輩じゃっ いつも磨いてもらっとるじゃろっ
「磨いてるって…… !? もしかして、紅神石様ですか!?」
そうじゃ いかにも、吾輩は紅……、ってそんな事は、今はいいのじゃ、それよりもいまはこの状況をどうにかする事の方が大切なのじゃ、
「どうにかするって言っても…… 俺はただの村人だし…… いったいどうするんですかね? 」
ぬぬ、おぬし思ったよりも冷静じゃのー、普通こんな状況になったらもう少し取り乱してもいいじゃろうに。
「わりと取り乱してるんですけどねー…… ハハ、ただ一周まわって、開き直っちゃったというか……」
なるほどのぉー、ととっ、また話が脱線するところじゃった、じゃが、なかなか見どころのある少年じゃ、ここは一つわしに力を貸してくれんかの?
「ち、ちからですか? 俺は見ての通り何の力もない小僧ですけど…… 紅神様がそう言うって事は、何か俺に出来る事があるんですかね……? 」
うむ、いかにも、 少年は、白魔道騎士 は、知っておるの?
「えっ白魔道騎士 って、何色にも染まらない魔法の石ホワイトストーンで作られる魔道甲冑兵器の事ですよね?そりゃ誰でも知ってますって、こんな田舎町ですら一番なりたい夢の職業の一つが白魔道操縦士ですもん、 」
ふむふむ、上々じゃ、 なら話は早いの、 少年には、その白魔道騎士になってもらうという事じゃ、
「えっ なれるんですか! って言っても僕の操縦士適正、村の適正調査で最下位だったんですけど……」
ふむふむ、そんな事はささいな問題じゃ、わしにかかればちょちょいのちょいじゃ、副作用にしてもちょこっと髪の毛の色が変わったり、魔力が上がったりするが、そこは気にせず、わしからのプレゼントだと思うがいいのじゃ、