始まり 5−2
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純白の天井。純白の壁。純白の床。と全てが真っ白く覆われた空間のなかに、奴らはテーブを囲むように座っていた。その数八体。更に奴らの部下が後ろに数体。
「ええ〜、あの拠点取られちゃったの〜? 私気に入ってたのに〜」
ピンク色の髪を二つ結びにした女の第六眷族レディアスが緊張感のない声を上げる。
「口を慎め。マクシラ様の前だぞ」
「は〜い」
それを、隣に座っていた大柄な第三眷族カクシスが圧のある一言で黙らせる。だが、レディアスは全く懲りてはおらず、正面に座っている女吸血鬼マリアスにちょっかいを出していた。
「なあ、サクラスの姿が見えねえけど、もしかして人間に殺されたか?」
マリアスの隣に座っている左右の髪を借り上げた第五眷族リディス。
リディアスはわざとらしく周りを確認してから口を開く。
「さっき見たぜ。片腕なかったけどな」
ここへ来る途中にでもサクラスを見かけたのだろうか、リディスの斜め前に座っている長髪の第一眷族イグアスが面倒くさそうに答えた。
「なにそれ、ダッサ!」
「なになに、あいつ腕ないの!?」
その話を聞きつけたレディアスが面白がりながら会話に入ろうとするが、その前にカクシスの拳骨が飛び、今度こそ大人しくなる。そして、先ほどまでレディアスからちょっかいを出されていた女の第二眷族マリアス。
マリアスは騒ぐ奴らを他所に黙り込んでいた。
「おいフィブラス起きろ」
マリアスとは反対の席に座り、眠っている赤毛の第七眷族フィブラスをイグアスが起こす。
「……ん……、もう終わり?」
「なわけあるか。これからだよ」
集まっている者達の会話の通り、現在この場にはサクラス以外の眷族が一同にかいしていた。
最後に眷族が囲むテーブルの最も奥、全体を見渡せる中心部に白髪で切れ長の目をしたマクシラが座っていた。
「————集まってもらったのは他でもない」
マクシラが口を開いた瞬間、他の眷族達が一斉に静まり返り、この場に異様な緊張感が流れる。
「我らの拠点がまたも人間達に奪われた」
平坦な口調で答えるマクシラだが、その口調にこもった殺気から空間が軋み、眷族達の後ろに立っていた悪鬼達が次々と倒れていく。
「おいおいマクシラ様、そんな殺気を出しなさんな」
自分の部下を気遣いながらイグアスが面倒くさそうに答える。
「悪いな」
言いながらマクシラは殺気を抑え、空間は元の落ち着きをとり戻す。
「またも我々の拠点が奪われ、多くの同胞が殺された」
「あの化物達が同胞?」
「リディアス。黙っていろ」
マクシラの言葉にレディアスが反応するも、同時にカクシスも口を開き、直様黙らせ話を続けるよう促す。
「じゃあなにか、これから弔合戦でも開こうってつもりですかい?」
話を聞いた上でこれからマクシラが成そうとしていることを予想し、イグアスが面倒くさそうに質問を投げる。
「弔いか、それも悪くない」
不敵な笑みで答えるマクシラに対し、ここにいるほとんどがなにを考えているのか分からないといった様子。だが、そのなかでもリディスだけがとくに考えることもなく口を開いた。
「マクシラ様。わざわざ全員が出張ることはないぜ」
自分一人で十分だと言いたいようだ。
「サクラスはしくじったみたいですけど、俺はあいつみたいなへまはしませんよ。だから俺一人で十分です」
サクラスより自分の方が明らかに強いと言い張るリディス。
「なるほど。ではリディス、お前に任せよう」
「はい、任せてください」
これで話は終わりとばかりにマクシラ、眷族達が椅子から立ち上がる。
「————奴らを皆殺しにし、最後に勝つのは俺達吸血鬼だ」
そして、マクシラの言葉を最後に眷族達が一斉に姿を消した。
次回、第一部最終回です!
是非とも宜しくお願い致します^^




