家族 3−11
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「くらえ!」
「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」
「チッ! やっぱり硬え……」
俺達は建物が崩壊して開けた場所ではなく、コンテナが数多く積んである貸し倉庫へとやってきた。
ここはよく、海斗や他の奴らと遊ぶのに使用していた場所。
「相馬君、大丈夫?」
「これくらいなんとも」
影井の予想通り、数多く並べてあるコンテナに阻まれ、巨大の化物は自慢の左腕を使えずにいた。しかし、左腕を多少無力化出来たところで戦況が一気に傾くわけではない。
「私が前から攻めます。その隙に誰か背後を」
「それは俺がやる!」
「お前達には無理だ! 俺がやる」
と多少有利な状況ではあるのだが、上手く連携が取れていなかった。
「みんな、待つんだ!」
作戦を立てようとする影井の言葉を聞かず、三人はそれぞれ違う方向へと走り、同時に斬りかかる。だが、先ほど同様、鋭く尖った三本の爪を完全に無力化出来ていないので、戦いには苦戦を強いられる。
「邪魔だ、一ノ瀬!」
「うるせえ!」
そして、巨大な化物が強敵ということもあり、今まで以上に周りが見えていない俺や楪、相馬の三人。
くそ、あの左腕さえなんとか出来れば……。
俺自身、がむしゃらに戦っても巨大な化物を殺すことが出来ないと分かっている。分かっているのだが、油断をしていると巨大な化物の攻撃だけではなく、仲間の巻き添いをくらう可能性もあるというだけあって、思考を巡らす余裕がなかった。
「フッ!」
振り上げた左腕を滑るように外へと避けた楪が、背後から素早い一突きを放つ。
「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」
攻撃に悶え苦しむ巨大な化物。
巨大な化物は、そのまま前方へと引っ張られるように体を崩しかける。その隙に俺達はコンテナに隠れ、陣形を立て直す。
今の一撃でも駄目か……。
綺麗に決まった楪の一撃でも巨大な化物を殺すまでには至らない。
「おい、一ノ瀬! テメエさっきから俺の邪魔するんじゃねえ!」
「邪魔してるのはそっちだろ!」
攻撃を仕掛けるタイミングがほとんど同じで、その度に仲間に危害を加えないようクロスを振るっているので、巨大な化物には全くといっていいほどダメージを与えられてはいなかった。まともに戦えているのは楪くらい。
「だいたいお前はな!」
「二人共いい加減にするんだ!」
声を荒げたのは以外にも影井だった。
当然、今までに影井が口調を強めることもの無かったので、俺や楪、相馬は黙り込む。そして、静かになったことを確認して影井が話を続けた。
「いい? 敵は目の前にいるあの巨大な化物だ。仲間割れをしている場合じゃない。大体、二人はどうして顔を合わせれば喧嘩ばかりなの?」
「それは……」
「あと楪さん。君は全くと言っていいほど二人と連携を取る気がないよね?」
「……」
近くに巨大な化物が居るというにも関わらず、影井は今まで溜まっていた不満を撒き散らすように大声を上げる。
「これじゃあ絶対にあいつには勝てない。あいつを倒したいと思うのなら一人で挑むんじゃなくて、仲間と協力するんだ」
「……」
そのためのチームだと、影井は俺達に伝える。
確かに影井先輩の言う通りだな……。
このままではいつまで経ってもあの巨大な化物を倒すことが出来ない。下手をすると、巨大な化物の仲間が現れ、戦闘が一気に不利になってしまう可能性もある。
協力か……。
俺の考えは同じらしく、他の二人とも目が合った。
「影井先輩。すみませんでした……」
相馬が頭を下げる。それと同時に、協力して巨大な化物と戦うという決意表明でもあった。
「分かってくれればいいよ。よし、じゃあ反撃と行こうか」
「「「了解」」」
俺達は奴を仕留めるために再度戦闘を開始する。




