仲間 2−2
※ここから『奴ら』の正体、裕太の戦いが始まります!!
※最新情報を発信するためツイッターを始めました。
ご気軽に@k_atneフォローお願いします。
※アクセスして頂きありがとうございます。
もしよろしければ、感想、ブックマーク登録の方頂けたら幸いです。
希望通りの配属先に心のなかで喜ぶ。他の連中も大声を出し気合いを入れる者や、これからの健闘を讃え合う者など様々。
ここからが本格的な戦いの始まりだった。
「裕太、同じ関東地区だな」
一人静かに闘志を燃やしているところに、同じ関東地区に配属されることになった大葉と夏目がやってきた。
「わ、私が関東地区……」
「自信を持て、関東地区配属ってことは今までの成果が評価されたってことだ。誇っていい」
大葉が不安そうにしている夏目の肩に手を添え、優しく声をかける。
大葉知之、十八歳。身長百八十センチ、前髪を左に流したショートヘアーの男子。
実技、技能共に組織のなかでも一二を誇る実力者。その上面倒見がよく、同期のなかではリーダー的ポジションだった。どこか海斗に面影も似ている。
「そ、そうですかぁ……」
「そうだとも」
夏目華耶、俺と同じ十五歳。身長は同期の中でも一番小柄の百五十五センチ、栗色のボブヘアーの女子。
引っ込み事案で消極的な性格をしている。だが誰よりも優しく、彼女を好意的に思う者も多い。俺は知之、華耶の二人と一緒にいる機会が多かった。
「ああ、知之の言う通り、関東地区に選ばれるくらいだ、俺達は同期のなかでも優秀だったに違いない。だから自信を持て」
「わ、分かりました……。大葉君、一ノ瀬君、ありがとうございます」
言いながら、華耶が一度頭をぺこりと下げた。
「頑張ろうぜ、裕太」
「ああ、絶対奴らに勝つぞ」
「——そんな奴に限って最初に死んだりしてな」
知之や華耶と話をしていると、腕を組み、壁にもたれかかっていた男がこちらまで歩み寄ってきた。
「相馬、文句あるのかよ」
こいつの名前は相馬圭、歳は十七歳。身長百七十七センチ、短髪ヘアーの男子。
訓練兵の時からなにかと俺に突っかかってきては喧嘩をしていた。
なんでこいつと同じ班なんだよ……。
俺はこちらにやってくる相馬に敵意の眼差しを向ける。
「別にないけどよ、ただ同じ班になったからには足を引っ張らないで欲しいね」
「なんだとテメエ!」
「二人とも落ち着け」
「そうだよ、喧嘩は駄目だよ」
知之が仲裁に入り、一触即発の事態を回避する。
華耶はその様子に安心仕切ったような表情を浮かべているが、周りの奴らはいつもの光景だと、とくに気にしていない様子。
「ま、同じ班同士仲良くしようぜ、一ノ瀬君」
捨て台詞を吐くように、相馬はそのまま部屋から出て行ってしまった。
「感じ悪い奴」
「まあ落ち着け。それよりも裕太、改めてこれから頑張ろうな」
「ああ、もちろん」
知之とお互いの健闘を讃え合うように強く手を握る。
「じゃあ、私達は隊長のところに行きますね」
「分かった。」
知之達が去ったあと、俺は他の奴らにも挨拶を済ませ、残りの関東地区配属となった楪の下へと向
かうことに。
楪暁子、十六歳。身長百六十五センチ、髪は腰までかかる綺麗な黒髪ロングヘアー。
あの知之と同格、いやそれ以上の実力を誇る。しかし、性格はかなりきつく、たった今俺に突っかかっていた相馬でさえ楪には口では敵わないほどの切れ者。そのため常に一人でいることが多い。
まさか同じ班に配属されるとは……。
挨拶するのを少しばかり躊躇ったが、俺は今も椅子に座り、お茶を飲んでいる楪の前に立つ。
予想通り、俺が目の前に立っても楪は表情一つ変えず、こちらを眺めている。
「あら、どうしたのかしら?」
「同じ班だからさ、これからよろしく」
「そう、よろしく」
挨拶のつもりで知之達と同様手を差し伸べ握手を求めたのだが、楪は決し手をとることなく俺から目線を外し、またお茶を飲み始めてしまう。
相馬といい、なんだよこいつら。
やり場のない手をゆっくりと下げ、俺も時間が来るまで部屋の外に出ていることにした。
組織のアジトは全地区地下にあるため、日の光は届かず、壁に設置されたランタンだけが唯一の灯りとなっている。
俺はこの場で四年も過ごしたのだ。
これからは本格的に任務開始か……。
ここで過ごした四年間のなかで新たに分かった情報がある。
奴らは吸血鬼と呼ばれ、人の血を求めて行動していた。
そのなかでも俺や母さん、羽田達を襲った人の形を維持出来ない個体を堕人、海斗を殺した人の形を模し、喋れることが出来る個体を眷属や悪鬼と名付けた。そして、その全ての吸血鬼達を支配し、頂点に立つものを真祖と呼ぶ。
俺達の組織は、この全ての吸血鬼達を倒すために日夜戦い続けていた。
更に悪鬼、堕人の正体が元人間であることもこれまでの調査で確認されている。繁殖方法は未だはっきりとはしていないが、一部の報告から悪鬼に吸血された人間が堕人へと姿を変えているのではないかと言われている。しかし、この情報も確実性には欠けるので、真実とは言えなかった。
この手で元人間だった奴らを……。
当時はかなりの抵抗があったが、それでも俺はやらなくてはならない。例え相手が元人間だろうと、奴らから多くの人を守るためにも俺が殺らなくてはならない。それが海斗の夢でもあるのだから。
必ずやってやる……。
「やあ、一ノ瀬」
決意を新たに再び部屋へと戻ろうとした俺を、どこからか現れた水野に呼び止められた。




