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ブラッドアッシュ I  作者: KeNta
第一章
13/48

決意 1−10

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「前野さんを離しやがれ!」


脱出した場所から再びなかへと飛び込み、今も前野に群がる奴の後頭部目がけて鉄パイプを振り下ろす。


「ゆ、ゆうたくん……」


裕太が戻ってきてしまったことに驚きの声を上げる前野。その声は弱々しく、辛うじて息をしているといった危険な状態だった。


早く、早く助けないと!


続けざまに次をお見舞いしようとしたのだが、奴が振り向いた際、手の甲がみぞおちへ直撃してしまった。


「ガハッ!」


そのまま後ろに吹っ飛び、壁に背中を強打。


「クッ……」


すぐにでも立ち上がろうとするが、痛みで体のいうことがきかない。


「ゆうたくん……、はやくにげて……」


必死の叫びも今の俺には届いていない。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」


前野を襲っていた数体が標的をこちらに変え近づいてくる。


動け! 動けよ!


しかし、思いとはうらはらに、奴らがすぐ近くまで迫っているというのに一歩も動けなかった。


「ゆうたくん……」


前野が俺の名前を呼ぶが、彼女も既に起き上がることすら出来ない。

まさに絶対絶命の状況。


やっと奴らと戦う決心がついたところなのに……、ここで終わりなのかよ……。


迫る奴らに全てを諦めかけ目を閉じたその時、連続した銃声と共になにかが倒れる音が耳に入ってくる。


「……え?」


恐る恐る目を開けると、今にも俺を殺そうとしていた奴らが目の前で倒れていたのだ。


一体なにが……。


突然の出来事に驚愕していると、裏口の方から声が聞こえてきた。


「生存者は二名! 岩城(いわき)宍戸(ししど)、矢野は引き続き敵殲滅を! 牧江は大至急重症者の手当

だ!」

「「「「了解!」」」」


最後に入ってきた女性の勇ましい掛け声と共に、残りの人達も指示通りの行動をとる。


なんだよこれ……。


「おうらッ!」

「死にやがれ!」


大きなハンマーや斧を持った男達が次々と奴らを殺していく。


「大丈夫か?」


目の前で行われている光景に、ただ口を開けて眺めていると、指示を飛ばしていた女性が俺の下まで歩み寄ってきた。そして、はめていた手袋を外し、俺の頭に優しく触れる。


「——もう大丈夫。頑張ったな、あとは私達に任せろ」


俺は水野薫と名乗る女性、『最果ての地』なる組織に命を助けられたのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「水野隊長、あの女性の方は……」

「そうか……」


あれから目の前のことが早送りのように過ぎ去っていき、奴らは一瞬にして始末された。たった五人の集団に殺されたのだ。

俺は未だになにが起こったのか理解出来ていない。ただ、これだけははっきりと言える、


この人達についていけば……。


「少年、この先に避難所が——」

「俺を仲間に入れろ!」


水野の言葉を遮り俺の思いをぶつけた。


「はあ?」


当然、いきなりの発言に驚いた顔をする水野だったが、俺の嘘のない表情を伺い、すぐに態度を改める。先ほど俺を助けに来てくれた時のような真剣な表情に。


「仲間に入れて欲しいと?」

「ああ、俺には奴らと戦う力が必要なんだ」

「少年は何故力を求める?」

「それは——」


『誰かあああ!』

『助けてくれええええ!』

『くそ、俺達のせいだ……』

『絶対に生きて!』

『——生きろ』


目を閉じると、あの時助けることが出来なかった人達の、悲鳴や叫びが脳裏を過る。


もう、こんな思いはこりごりだ……。


「少年、人の話を聞いて——」

「——奴らを倒し、多くの人を守るためだ」


まごうことなき瞳で見つめながら、俺は水野の問いに答えた。


「——少年、名前は?」

「一ノ瀬裕太だ」

「そうか」


水野は一拍おいたあと、俺に手を差し出し、



「——ついてこい一ノ瀬、お前に力を与えてやる」



そして、俺は奴らを殺す力を手にいれるために『最果ての地』へ入ることを決意したのだ。

今回で、『第1章 決意』が終わります。

次回からは第2章、『奴ら』の正体、裕太の戦いが始まります!!


是非とも楽しみにしていてください!!

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