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3話

「言ってなかったっけ。おれ何気に入野先輩と交流があるんだぜ。つっても最近なんだけどな」


 何でこいつが入野先輩と……。


「じゃあさ、入野先輩が喧嘩したのを見たのって、知り合った後?前?」


「前だな。その時は、ただ性格きつめの美人な先輩っていう認識だったから、本気で驚いた。そう言っても、おまえは信じないだろうけど」


「信じる」


「え? 本当か?」


「知り合いってのは信じるけど、喧嘩のことは信じてないから」


「信じてないのかよー。信じろよな」


 ブーブー言ってて五月蝿いけど、嘘を言うつもりはないから放置しとこう


「そういや、どうやって先輩と知り合ったんだ?」


「やっぱり、気になる?気になっちゃう?」


 聞くんじゃなかったな。圭介のテンションが以上に上がった。見ていて鬱陶しく感じるくらいには不快だ


「おれが先輩と出会ったのは


「確か、図書室でしたね」


 ………ん?今女性の声が


「あっ!入野先輩わざわざこの教室に来てどうしたんすか。面白いことが今から起こるんすか?」


「ああ。……そうだね君からしたら面白いことが今起こるよ」


 先輩は圭介にそう言って、俺の方を向いて、こちらに歩いて来た。………俺のいる方に来てるけど何も関係ないよな?!

 いやでも先輩に話しかけられたいな……って何言ってるんだ俺!


 もしもの話だけど、先輩が俺に話しかけてもきちんとした言葉が出てこないと思う。

 もう今だって、先輩に見られているかもしれないと思っただけで顔が赤くなってしまってる。


「明理………勘太郎君。ちょっと話したいことがあるのですが、良いですか?」


おっ俺に?!えっ、何の話だ。何話されても先輩に話しかけられるだけで、幸せだと思えてしまう


「実はですね、私は………」


この流れってまさかの告白だったりするのか!そうだったら、今死んでも悔いはない。


「えっと……です…ね。…………」


もじもじしながら、上目使いにこちらを見ている。もしかすると、もしかするかもしれない。


「私は、貴方のことが…好きです!!」


 まさか本当に告白とは!


 顔が熱い、今までにないくらいに顔が真っ赤だと思う。でもそれと同じように、先輩の顔が真っ赤だった。

 これって夢じゃないんだよな。誰か俺の顔殴ってくれないか。

 

 先輩はもじもじしながら俺の顔を見つめて…そうだった。告白されたんだったら返事返さないと。


「お、俺は先輩のこと…


「待ってください!さっきのは、私が貴方に恋愛感情を持っていることを伝えたかったから言ったことで、返事が欲しくて言った訳じゃないんです。断られるのが怖いというのもありますが…」


 じゃあどうしろと。というか、俺告白受ける気満々だったけど


「だから、その……と………」


 と…?


「と……と…、友達になっていただけませんか?!」


 は?友達からって


「先輩はそれを言いに来たんですか?」


 ビックリしすぎて、逆に冷静になれたよ。


 そういえば、此処教室だった。先輩勇気あるな。下の学年に来て、大胆にも告白するなんて


 先輩が来た時にざわついていたクラスメートが、今は静かだ。「こんなに面白いもの見逃してなるものか」という野次馬根性がうかがえる。


「はい、そうです。明理君と友達になりに来ました。友達になって、好きになってもらえる機会を増やそうと思いまして…。最終的には、恋人関係になれたらいいなと」


 先輩の口から、「俺のことが好きだ」というニュアンスを含む言葉がポンポン出てきている。


「おい、明理!固まってないで、何か言えよ」


「あ、ああ。是非とも、俺を先輩の友達にしてください」


 俺がそう言った瞬間先輩は、花が綻ぶような笑顔を浮かべた。


 第一印象は、綺麗な人。でも、今は可愛く思う。


 って、俺何考えてるんだ。冷静に見えて本当は混乱してるってやつか。


「友達になったなら、私のこと名前で呼んでくれませんか?」


 先輩は俺の手を両手で優しく握り、上目使いでこちらを見た。

 いつもは桃色の頬が今は真っ赤だ。

 すごいかわいい。めっちゃかわいい。そんな言葉しか出てこない。


「…やっぱり、だめ…ですか?」


 頭を傾げ、潤んだ瞳で聞いてきた。


 これあざとすぎない?天然でやってるの?それとも計算?どっちでも最高だよ!

 ありがとうございます!!ありがとうございます!!


 …はっ!そうだった。キャラ崩壊してる暇なんてなかった。先輩をほったらかしてしまってた。


「いえ、これからよろしくお願いします。

 

 知華先輩」


 俺が言うとそれはそれは嬉しそうに笑っていた。


「ええ、こちらこそよろしく。


 明理くん」


「先輩も俺のこと名前で呼んでくださいよ」


 条件反射で言ってしまった。でも、先輩には名字よりも名前で呼ばれたい。


「…わかりました。


 勘太郎くん」


 …これはやばいかもしれない。心臓が口から飛び出そうだ。かつてこんなにも心臓が拍動したことはない。これが『恋』ってやつか。


 相手が笑うだけでこんなにも心臓はドキドキするんだ。


 何を言うわけでもなくただただ二人で見つめあっていると、誰かが俺たちの間に入り込んだ。


「先輩いいんすか?こいつには、寛ちゃんっていうあだ名があるんすけど、そっちで呼ばなくて」


 誰かと思えば圭介かよ。というか


「それで呼んでんの母さんと親戚連中くらいだ!」


 もし先輩にそんなあだ名で呼ばれることがあったら格好つかない。余計なこと言うなよな。


 …あれ?先輩が顔を俯けて肩を震わしてる。どうしたんだ?

 


 




 








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