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子育ては大変12(番外編)

その後編






お家に帰ったら、何とっ!カニカマがありました!!


「カニカマなのです!!」


見た目も食感も違いますが匂いはカニカマです。


「喜んでくれて良かったよ」


旦那様が抱っこしたまま、カニカマを食べさせてくれましす。


ウマウマです。

もうここでは食べられないと、諦めていたので嬉しいのです。


でも少ないのですぐに食べ終わってしまいました。


「もうないのです?」

「蟹がなくなったからね。また作ってあげるよ」


カニカマは旦那様の手作りらしいのです。


「食材が………」

「うぷっ、もう蟹は見たくない……」


何故か旦那様の言葉に料理長が泣いてましたがどうしたのでしょうか?イッちゃんは腹を押さえて気持ち悪そうにしています。不思議です。


「二人はどうしたのです?」


「カニカマ作りに協力して貰っただけだから、リンは気にしなくていいよ。今度はちゃんと乾燥した物を作るよ」

「はいです!」


楽しみなのです。


このカニカマも美味しいですが、カニカマはやっぱり固くて、薄くて、赤白ですね。


「ところでさ、何で僕まで連れて行ったんだよ?」


そうです。何でお迎えにイッちゃんまで来たのですかね?旦那様だけでも良かったのです。


「ああ、リンが翁の邸に居るのが首輪で分かったから、イチの紹介という名の嫌がらせをね………まぁ、まさか気に入られるとは思わなかったよ。シュークの精霊といい、翁といい予想外だったよ」


残念と、言わんばかりに溜め息をつくアレス。


マルクスの人間嫌いを承知でイチを連れて行ったのに効果なし。それどころか気に入った様子であった。


アレスはマルクスの邸に、リンが行ったのが気にくわなかった。しかも実家扱い。


リンが頼るのは自分だけで良い、リンの家もアレストファ公爵家のみで良いと、考えていた為、マルクスに嫌がらせをしたアレス。


原因は犬とアレスであったから、嫌がらせのみで留めた。が、そんな配慮など巻き込まれたイチは知らない。


「嫌がらせで僕まで巻き込むなっ!大体、どこをどう見たら気に入られた様に見えるのっ!?」



・話し掛けたら拒絶され

・ソファーの後ろに隠れられ

・最後の最後に本を頭に投げられ



これだけされて何故、好かれたと考えられる………


「滅茶苦茶嫌われてたわっ!!」


別に嫌われるのは構わない、万人に好かれたいとも思っていないが、いい加減に僕の扱い方が酷すぎる。


勝手に有無言わさず、連れて行かれたのになんで初対面の爺さんにまで、暴力を奮われるんだよ………


「マル爺はイッちゃんの事が好きですよ。チラチラ見てました」

「それは警戒してたの間違いだろ………」


「違うのですよ。マル爺はイッちゃんと仲良くなりたいのですよ。マル爺は恥ずかしがり屋さんだから本を投げただけなのです。アピールですよ」


「そんな強烈なアピールあってたまるかっ!!」


むーっ、何で分かってあげないのですか!

イッちゃんは頑固者です。

頭の皺が足りません。

マル爺の必死のアピールが伝わらないとは鈍感です。


「リンの言い分は正しいよ。ほら………」


旦那様がイッちゃんに本を渡しました。


「?ただのほ、ん…………はぁっ!?」


本にはファンシーな動物達が描かれ、表紙の文字には………☆交換日記帳☆と、これまた可愛らしく丸字で書かれていた。


「良かったね。好かれて……………羨ましくはないけど」

「可愛い絵本ですね」


「………………」


イチはどう反応して分からず無言。


交換日記?

僕と爺さんが?

この年で?


いや、嫌われるより好かれたのが嬉しいよ。


ただ何故、交換日記?


しかもやたらと可愛いな、おいっ!


「書いたらメェに渡しなよ。渡さないとシェリーかピーが催促に来るから。邸で暴れられても困るからね」


「暴れる?」

「俺の時も暴れたよ。でもイチは翁に直接それを貰ったから、俺の比ではないだろうね」


「兄さんも貰ったの?」

「ピー経由でね。まぁ、翁の目の前で燃やしてやったけどね………俺はピーに勝てたから問題なかったけど、イチは怒り狂った魔獣三匹同時に相手に出来るなら燃やしても問題ないよ……………命の保証はしないけど」


「無理っ、無理だからっ!交換日記ってそんなに恐ろしい物なのっ!何っ、これって呪いのアイテム!?」


それを好意を寄せる相手(親衛隊込)の前で燃やした兄さんも恐い。


「イッちゃんはマル爺が嫌いなのです?」


「あ、いや、知らないから嫌いになりようがない。僕より兄さんのが嫌ってるよな?」


「翁を?嫌ってはないよ。邪魔ぐらいには思ってるけど、知らないなら知ってから燃やせば?」


「燃やすから離れろよっ!僕の命の灯火になるからっ!」


「上手い冗談だね」

「満点です」


「今はそんな評価はいらないっ!」


イッちゃんは騒ぐだけ騒いで結局、交換日記?をするそうです。


マル爺もイッちゃんも恥ずかしがり屋さんだから仕方がありません。


私はお昼寝をします。


「イッちゃんは静かにするのです」


煩いイッちゃんを黙らせます。


旦那様の腕枕で寝ます。

ここは私の場所なのです。


犬には譲りません。


「旦那様、お話して下さい」

「いいよ」


旦那様は寝物語を聴かせてくれます。

旦那様のお話は面白いのです。


人間の失敗談です。


結末はほとんどの人間が死んで、めでたし、めでたしになります。


たまに生きてる人間も居ますが、引きこもりか、病院生活で終わります。


人間は変な生き物です。

だから面白いのです。


「そうだね………ある男の話をしようか。馬鹿な人間の話を………」


旦那様が頭を撫で撫でしてくれます。





寝物語の始まり、始まり。







ある馬鹿な男がいました。


男には愛する家族が居ました。


愛する母が悲しんでいます。

美貌の老化に……


愛する父が苦しんでいます。

病弱な体に……


愛する兄が嘆いています。

魔力がない事に……


馬鹿な男は愛します。

家族を……


だからあげましょう。


喜ぶ家族が見たいから……


母には己の若さを……

父には己の寿命を……

兄には己の魔力を……


あげましょう。


喜ぶ顔が見たいから……


家族は喜びました。


そして欲張りました。


もっと、もっと、もっと……


馬鹿な男は愛します。


己の顔が老いても……

己の体が弱っても……

己の魔力が枯渇しても……


馬鹿な男は愛します。


己の全てがなくなっても……


馬鹿な男に何もない。


若さも、健康な肉体も、魔力も何もない。


何もない馬鹿な男は必要ない。


愛した家族は言いました。


醜いと、脆弱と、無力と……


馬鹿な男は捨てられた。

必要ないから捨てられた。

愛した家族に捨てられた。


馬鹿な男が居なくなりました。




魔法は解ける。




母は時と共に老いました。

馬鹿な男は居ません。

だから若い女を殺します。

若い女が妬ましいから……


父は時と共に弱りました。

馬鹿な男は居ません。

だから健康な男を殺します。

健康な肉体が羨ましいから……


兄は時と共に無力になりました。

馬鹿な男は居ません。

だから魔法使いを殺します。

魔力が欲しいから……


馬鹿な男は居ません。


いくら殺しても前には戻れない。



少年が囁きます。



馬鹿な男が出来たなら、お前達も出来るだろうと……


母は兄を殺します。

兄は父を殺します。

父は母を殺します。


馬鹿な男が愛した家族は居なくなりました。


馬鹿な男は慟哭します。



少年が囁きます。



愛した家族を殺したのは馬鹿な男だと……


馬鹿な男は間違いに気付きます。


家族を喜びと、欲を叶えるのはイコールではないと……


馬鹿な男はそれでも望みます。


独りは寂しい。

独りは悲しい。


だから望みます。


新たな家族を願います。

愛する家族を願います。

今度こそ愛する為に望みます。










「人間は強欲な生き物だからね。本当に馬鹿な男だよね………………翁は」


スヤスヤ眠るリンの頭を撫でながらアレスも昼寝をするのであった。




めでたし、めでたし。




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