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子育ては大変5

あれからマァムにシュークのオムツや食事、抱き方を教わりました。


人間の赤ちゃんは覚えが悪いのです。


手が掛かります。


今日はメェちゃんも遊びに来ましたので、庭で一緒にキャッチボールをします。


旦那様達は難しい話をしていて遊んでくれません。


育児放棄と、言うものです。


マァムが買って来たピヨピヨ倶楽部赤ちゃん編の絵本に書かれていました。


赤ちゃんの情操教育に悪いのです。


シュークが不良にならない様に、私が頑張って立派なボスに成れる様に面倒を見なければなりません。


でも狩りを教えようと森に連れて行こうとしたら、皆に止められました。


赤ちゃんのうちに英才教育をするのですよ。


皆はシュークに甘過ぎるのです。

飼い主は私なのですよ!


「シューク、私は甘くないのです!厳しく育てますよ!」


「あぅー」

「キュー」


「ネコジャラシは卒業です。今日はボールで遊ぶのです」

「あう」

「キュッ」


「返事は「はい」なのですよ。は、い」

「あい!」


「は、い!」


「あ、い!」

「キュー、キュッ!」


「………………むー、まぁ妥協します。私は大人なので今回は見逃してあげます」


シュークもメェちゃんも言葉がまだ喋れないのです。


遅い成長です。


気長に教えるしかないのです。


ボールをメェちゃんに投げます。

メェちゃんは尻尾で投げ返して来ました。

数回それを繰り返します。


「これがキャッチボールですよ」


お手本を見せてから、笑って見ているシュークにもボールを投げてあげます。


「うきゃっ!きゃー」


ぶつかりました。


ぶつかったボールを転がしています。


「違うのです!取って投げるのですよ。転がしたらキャッチボールにならないのです」


シュークからボールを取り上げます。

今度はシュークの近くから投げてあげます。


「うきゃっ!うー」


また、ぶつかりました。


「ボールも取れないのですか……鈍いのです」


「キュー」


人間の赤ちゃんを飼って育てるのは大変なのです。







一方その頃………


アレストファ公爵家の人々はリン達の様子が窓から監察(監視)出来る部屋にて報告会議をしていた。


「赤ん坊の容態だが一先ず無事だった…………だがそれが可笑しい」


あらゆる検査をした。


骨形成、血液、内蔵、唾液、尿検査………


「診断結果だが生後一週間前後。尿検査したが不純物のない水分………このことから母乳は与えられていない。なのに赤ん坊は生きている」


しかも水分は純水な水。


ただの水にもミネラル、マグネシウム、菌など不純物が含まれている。


それが検出されなかった。


また水は赤ん坊の口から体内に摂取したものではなく、直接体内に水分が発現したと考えられた。


「私の方で診療所をあたりましたが妊娠中、出産された方で行方不明の方は居りませんでした」


「シュークは排泄、空腹でも泣きませんわ」


「お嬢にしか笑わないよね」


「嬢ちゃんは覚えが悪いって言ってたが、あれは頭が良過ぎるな………まだ話せないが言葉を理解している。いや、感情に敏感なのか……」


「首がまだ据わってないはずなのですが、首を支えずとも何か頭に見えないクッションが有る様にミルクも飲まれてました」


不可解な赤子。


赤ん坊は異質であった。


「あの子自体は無害だから心配いらないよ」


使用人達は警戒していた。


赤子であろうが、アレストファ公爵家に害を為すのなら容赦なく殺す。


危険分子は排除する。


身寄りのない赤子に同情はするが、情に揺らいで大切な主を危険に晒す真似はしない。


「赤子事態に力はない。それにリンが気に入ってるしね……………予行練習にもなるでしょ?」


「「「「「「………………」」」」」」


庭を見る。


リンがシュークにボールを遠くから高速で思いっきり投げつけていた。


ただのゴムボール。


なのにボールは余りの速さに気圧で一部凹んでいる。

それが赤ん坊にぶつかるも、赤ん坊は見えないベールに守られていた。


「あれが予行練習か?」

「家庭内暴力だな」

「前にキャッチボールで遊んでたら、お嬢のボールで木が折れたんだよね」

「お嬢様は遊んであげているつもりでしょうが……」

「ネコジャラシで遊んであげるより、御自分が遊びたい様でしたからな」

「予行練習になりますか………」


普通の赤子なら確実に死んでいる。


二人に子供が出来ても絶対に、面倒は見させない!


使用人達の心が一つになった。


「ああ、ちなみにシュークは精霊術師だから」


「はぁ!!魔導師じゃなくて!?あれって魔力じゃねぇの?」


すでにアレスはリンの首輪の記憶を使用人達に見せていた。


リンの戦闘シーンは割愛する。


使用人達は驚愕、驚嘆、称賛、号泣と反応はそれぞれ違っていたが、母親が出て来てからは皆一斉に嫌悪の表情を浮かべていた。


「シュークに魔力はないよ。精霊の仕業だと考えた方が無難だね」


それも高位の精霊が複数。


火種なく炎を出現させ、母を燃やした。

それは加護の発注を越えた行為であった。


それに水。

精霊は清らかで聖なる存在だ。精霊の水はまさに医者が言った様な、不純物のない水を体内に出現させる事も可能だ。これも高位の精霊でなくては出来ない。


見えないクッションやベールも風の精霊であろう。


他に地の精霊も関わっている。

地面に叩きつけても無傷であった赤ん坊。いくら風の精霊が護ろうと、地面は地の精霊の領分。


「高位四大精霊の加護、そして母親を攻撃した事から火の精霊とは少なくても契約しているはずだよ…………もしくは、俺と同じか………まぁ、所詮は推測だけどね」


加護は守護。


精霊が見えずとも精霊は気に入った相手を守護するが攻撃はしない。


精霊が攻撃出来るのは契約精霊=精霊術師のみ。


しかも契約が出来る=精霊が見える。


精霊術師になるには精霊を見る目が最低条件。


そこから精霊の真名を教わり契約がなるが、精霊に好かれなければ精霊術師にもなれない。


精霊は普通は目に見えない。


それゆえ精霊術師は秘匿される。


見えない存在に生活を見られるのは、覗き行為と一緒だ。その為、人々は精霊に対しては聖なる清らかな自然と受け止めるが、精霊術師は人間ゆえ嫌悪される。


「本来なら赤ん坊を迎えに、精霊術師が母親から保護しに来るはずなんだけどね…………ここに来たせいで足取りは途絶えたろうけど」


「何で?」


イチだけが分からずに声をあげた。


「俺も含めて使用人全員加護持ちだよ」


「アレス様は魔力が大きいせいで見えないらしいですわ」

「しかも高位の闇の精霊です」

「四大精霊の生みの親だよ」

「ですのでアレストファ公爵家の情報は精霊術師であろうと知りようがありません」

「親に逆らう子(精霊)はいねぇからな」


「見えないけどね」


「兄さんは規格外っ!もう何なの無敵に素敵な美形なんぞ爆発しろっ!」


「煩いよ。聞いてきたのはイチでしょう」

「そうだけどっ!」


精霊がそんなにポンポン加護を与えるかっ!


僕と嬢ちゃんだけ加護がない、割合が可笑しいのっ。


普通は加護持ちさえ稀少な存在だ。

しかも高位なら余計に!


何しろ加護持ちがそこに存在するだけで自然を豊かにする。

精霊術師は嫌悪されるが加護持ちは豊穣の存在。


それが僕と嬢ちゃん以外は加護持ち。しかも兄さんに関しては原初の闇の精霊。


「だからここらは環境が良いのか………」


「知らないよ。それにしても精霊術師ね…………陛下に精霊術師を貸すように連絡しておいて」

「畏まりました」


「えっ、そんなに簡単に貸せるのか?秘匿対象だろ」


「なんかここに来たがるんだよな。精霊術師は……」

「何でも心地好いらしいですわ」

「精霊がわんさか居るらしいですよ」

「僕達も見えないけどね」


「…………………訂正、兄さんだけじゃなくてアレストファ公爵家が規格外だったわ………」


イチは疲れたので癒さしを求め、窓の外を見た。


絶句。


リンとメェがキャッチボールならぬキャッチベイビーをしていた。


高速で投げられる赤子をメェが尻尾で上空に跳ばす。


「キュー」

「アタックです!」

「きゃう♪きゃはは」


赤ん坊目掛けて跳び上がりバシンッとメェに叩き込むが、メェも負けじと口から放水し赤ん坊を水ごとリンに向かって放った。


……………………訂正、キャッチベイビーならぬバレーベイビー………


「やめてーっ!!!!!!」


イチは慌てて窓から庭に跳び出るのであった。




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