子育ては大変4
驚愕の事実を目のあたりにしたアレストファ公爵家の人々(リン除外)
「うぇ………ケフッケフッ」
赤ん坊の呻き声にリンは周りに見えない様に布団を捲り、様子を見る。
「あーっ!皆が驚かしたので吐いたのですっ」
赤ん坊が食べたはずのシュークリーム、ミルク、すり下ろし林檎ジュースを全ておう吐していた。
何故赤ん坊がここに!?と、疑問は残るがまずは赤ん坊だ。
マァムが他より逸早く正気に戻り、ベットに近付くと赤ん坊を抱き上げ優しく背を叩いた。
「よしよし、いい子ね。お嬢様、お食事の後にゲップをさせました?」
「ゲップとは何です?」
「………………赤ちゃんはお食事の後にゲップをさせないと食べた物を吐いてしまいますの。こうやって背を叩いてゲップをさせなくてはいけませんのよ」
「マァム、赤ん坊を貸せ」
医者がマァム同様に赤ん坊の頭を支えながら状態を見る。
「ちっ、生後間もないな。首も据わってなければ、臍の緒も処置してねぇ………体重も軽い、皮膚も舌も乾燥…………医務室に運ぶぞ」
内蔵や血液などの検査は触診では分からない。
医者は言うだけ言うと、器具が完備してある医務室へと赤ん坊を連れて急いで向かった。
「私は必要な品を買いに行って来ますわっ」
「僕も行くよ!マァムだけじゃ荷物が持てないでしょ」
「洋服は僕が作るからっ!それ以外は頼んだ!」
「山羊の乳はあるので哺乳ビンもお願いします」
「私は赤ん坊の産まれた診療所を調べて見ます」
マァムと庭師も急いで町に向かう。
イチも作業場へ、料理人は調理場へ、執事は執務室へと急ぎ向かうのであった。
部屋に残されたアレスとリン。
「赤ちゃん悪いのですか?」
「人間の赤ん坊は脆弱だからね」
旦那様の手が首輪に触れます。
首輪の映像を見ているみたいです。
旦那様は目を閉じて、もう片方の手で頭を撫でてくれます。
旦那様の手がピタリと止まりました。
「母親ね………………………自業自得か…………………飼うつもりなの?」
「飼いたいのです」
「………………予行練習にはなるかな…………いいよ、飼っても」
「本当ですか!?」
「その代わり赤ん坊の面倒は使用人達に教わりながら見なよ。猫と人間の育て方は違うからね」
「はいです!」
「さて、お茶にでもしようか。オヤツは赤ん坊にあげてた様だし」
「赤ちゃん大丈夫なのです?」
心配です。
医務室は病院に似ています。
病院は臭いし、痛いし、嫌な思い出しかありません。
赤ちゃんの泣き声は聴こえませんが心配なのです。
「心配ないよ。使用人達は有能な者しかいないからね。第一、今の俺達にはする事はないよ。任せるしかない」
「旦那様でもです?」
「俺でもだよ。赤ん坊は範囲外だね」
魔物の調教は出来ると思うけどね。
やらないけど…………
「赤ちゃんが元気になるまで待ちます……………お茶のお菓子は何ですか?」
「スコーンだよ」
「苺ジャムです?」
「サワークリーム」
元々はアレスに出された茶菓子だ。
その為、スコーンに塗るのは酸味があり甘くないサワークリーム。
リンにはジャムまたはチョコ、メープルシロップと料理長は別けていた。
「甘くないのですか……」
残念そうなリン。
アレスは床に置かれたミルク入りのグラスを持つと、魔力でミルクを乳成分、脂肪分に分離、比重変化、拡散するとミルクはクリーム状に変化した。
「生クリームです!」
「これに砂糖を入れて塗ればいいでしょ?」
お手軽、簡単、魔導師特製生クリームの出来上がり。
………魔力の遣い方が間違っている。
二人はゆったりとした足取りで書類部屋に向かって歩いて行った。
スコーン、生クリーム、紅茶、リンにはやたらと甘いアレスでした。




