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子育ては大変1

時刻は夕方。


約束通りに服は汚さず、リンはアレストファ公爵家へ帰還した。


「ただいまです!」

「お帰りなさいませ。お嬢様」


一番にマァムが出迎える。


魔物が出る森へ散歩に出掛けていたが、リンの無傷な様子に内心ほっとした。

リンが魔物ごときに怪我を負うほど弱い訳ではないが、やはり心配はしてしまう。


「皆にお土産なのです」


聖花の花束を渡す。


「まぁ、綺麗ですわね。ありがとうございます」


マァムは渡された花が聖花であろうが毒花であろうが、変わりはなかった。


リンの土産は親愛の証なのだ。


その心が何より嬉しい。


魔物は困るが…………


マァムは笑顔でお礼を言うと、リンは自分の部屋へと向かった。


「あら、お嬢様?アレス様はなら書類部屋にいらっしゃいますよ」


いつもなら言われずとも、真っ先にアレスの元へ行くのに、珍しく余り使われていない自室へと向かうリンにマァムは訝しげに声を掛けた。


ギクッ


「に、荷物を置きにいくのですよ」


「荷物ならお預り致しますわよ。水筒も洗うようですし」


「ま、まだジュースが残ってるのです!全部飲んでから渡すのです!お部屋には入っては駄目ですよ!!」


リンは吃りながらマァムから逃げるように走って、自室へと入って行った。


マァムは見た。


兎リュックが散歩に出掛けた時より膨らみ、ゴソゴソと動く様を。


「………………アレス様に報告いたしましょう」


今度は魔物の死骸ではなく、生きている魔物を捕まえたのかもしれないと、マァムは思った。

マァムは花束を持ちながら足早に書類部屋へと向かうのであった。


一方リンは…………


初めて自室の鍵を閉め、ドアが本当に閉まったかドアノブをガチャガチャと何度か確認してから、リュックを開けた。


「ここが私のお家ですよ」

「うーっ」


赤ん坊をリュックから取りだし、カーペットに寝かせた。


「いいですか?大きい声は駄目ですよ。ちゃんと飼えないと飼っては駄目なのですよ」


以前リンは人間を飼おうとしたらアレスに反対された。


「あの時はグルグルの誘惑に勝てませんでしたが、今度こそ飼います」


トイレもご飯も私がやります。

面倒を見れれば飼ってもいいのです。


赤ちゃんが大きくなったら、旦那様達にお披露目します。


「大きくなるのですよ?」


赤ちゃんの頭を撫でてあげます。


「きゃうー」


笑いました。


頭を撫でられるのは嬉しいのです。

私も旦那様にナデナデされると嬉しいのです。


「あふぅ」


欠伸をしました。


「眠いのです?」


赤ちゃんをベットに乗せます。


ウトウトしてます。


お腹をポンポン優しく叩いてあげてたら、寝ちゃいました。


「お休みなさいです」


オデコにお休みのキスをしてあげます。


それにしても汚い布です。


赤ん坊が包まれている白い布を剥ぎ取ると、汚れは土だけでなく排泄物でも汚れていた。


「赤ちゃんはトイレはどうするのですかね?喋れないから何時トイレなのか分からないのです」


人間が使うトイレでは大きいのです。


新しい布はイッちゃんに貰いましょう。


トイレも部屋に準備するのです。


赤ちゃんが寝ている間に用意するのです。


リンはアレスにただいまの挨拶も忘れ、準備に追われた。


ちなみにリンは人間成長スピードなど知らない。


明日には歯が生え、歩けると思っていた。


食事さえ取れば、すぐに大きくなるものと勘違いしているのであった。




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