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前夜祭8

お姉さんは甘くありませんでしたが、ぷにぷにぷるんでした。


私と違うのです。


柔らかくて気持ちいのです。


イッちゃんは顔を赤くしながら口をパクパクさせていましたが、今はお姉さんと楽しくお話し中です。


「………の服なら……髪型は……にして……」

「あらっ、でしたら………ここは………」


ぷるぷる……


ムニッムニッ


ぷるんっ


「それだと、兄さんは………だから……」

「こちらのが似合いますわよ……それに…………あんっ」


かぷっ


ちゅー


ペロッ


「ええいっ!いい加減やめろっ!!目のやり場に困るからやめて下さい!お願いします!!」


やっぱり甘くないのです。


再び顔を赤くするイチ。


リンは椿の膝に向かい合わせで座り、胸を思う存分に堪能していた。


「イッちゃんも舐めたいのです?」


「そりゃあ、男なら当然舐め……って、そうじゃなくてっ!そうっ、あれだっ!いつまでも座っていたら椿さんの膝が痛くなるだろ?」

「誤魔化しても本音がでてるよ」


「うるせいっ!俺は今、椿さんと明日の催しの大事な話をしているのっ!!」


イッちゃんも舐めたいらしいです。


でもお姉さんは私のですからあげません。


私が買ったのです。


イッちゃんは自分の胸を舐めればいいのです。


「お膝痛いのです?」

「お嬢ちゃんは軽いから大丈夫よ」

「だそうです」


再び椿の胸の谷間に顔を埋めスリスリする。


「あーっ!気が散るから!!やめてっ!」


コンコンコン


「御食事をお持ち致しました」

「ご飯です!」


あれだけイチに言われても、椿から降りなかったリンがアッサリと膝から降りて、アレスの横の椅子に座った。


ご飯を食べる時の定位置である。


今のリンの頭の中の方程式はイチ<椿<<<<アレス+ご飯であった。


ご飯なのです!


イッちゃんはお姉さんの隣で落ち込んでいます。

お姉さんが舐められないからですかね?


それよりご飯なのです!


テーブルにはビーフシチュー、パン、サラダ、スープ、シャーベットがそれぞれに置かれたがリンの前にだけシャーベットの代わりにプリンが出された。


「プリンです!」


「お口直しのシャーベットを代えて貰いましたの。私は甘くありませんでしたから」


笑い声をあげながら椿はリン以外のグラスに赤ワインを注ぎ、リンのグラスにはリンに分からないよう葡萄ジュースを注いだ。


赤ワインと同じ色の葡萄ジュースだ。


リンにはまだ酒は早いと判断した椿は、リンだけ別の飲み物にした。だがデザートは兎も角、乾杯の飲み物位は同じにしてやりたかった。


ジュースは他にもあったが、あえて赤ワインと同じ色の葡萄ジュースにするよう配慮した。


(兎は寂しがり屋さんですもの。仲間外れは嫌よね)


黒ウサ耳のリンを見ながらクスリと笑った。


「邪魔が入って言えませんでしたが、今日は当たりの日ですの」


「当たりです?」

「ふふっ、ビーフシチューは良いお肉が手に入らないと作って下されないの。美味しいから毎日でも食べたい位だけど……朝から煮込むから手間が掛かるし、ずっと出来上がるまで鍋をかき混ぜないといけないから中々作って下さらないのよ」


滅多に食べられない好物を椿は朝から楽しみにしていた。


しかもいつもなら次の日の昼にしか、食べれないはずの物を一夜の明かさずに、楽しい御客様と一緒に食事するのは初めてのことであった。


最初は話し相手と給待のみかと思っていたが、リンが椿を食事に誘ったのだ。


リンは椿を食べるから椿にも何かを食べさせないと、胸が減ってしまうと思ったからなのだが、それを知るのは本人と、リンの考えてる事がわかるアレスくらいであった。


その当人であるリンはサラダにだけ手をつけず、美味しいそうに料理を頬張った。


「お肉がトロトロなのです~ウマウマです」


「おいっ、肉だけ食わないで野菜も食え」


サラダは嫌いなのです。

ビーフシチューの中にある人参も嫌いなのです。


サラダはイッちゃんにあげて、人参は旦那様にあげるのです。


「野菜嫌いは育たないぞ?」


「ミルク飲みます」

「栄養が偏るだろ」


「はぁ……リン、どっちかは食べなよ」

「……………人参1つなら食べます」


リンは渋々人参を1つだけ噛まずに飲み込んだ。


「どれだけ嫌いなんだよ!?喉に詰まるからやめなさい。そして僕に嬢ちゃんのサラダも食えと?」

「肉はあげません。プリンもです」


「肉食だからね。これなら食べるでしょ?」


旦那様がシャーベットを一口くれました。

口の中がサッパリします。


「甘やかし過ぎだからっ!」


「ふふっ、賑やかですわ」


「そういえばさ、何でアイツは出入り禁止なんだ?暴力沙汰を起こすようには見えないし、言動は最悪だけど椿さんに惚れてたろ、アイツ」


リンから貰ったサラダをモシャモシャと食べながら、ふとっ疑問に思ったイチが聞いた。


高級娼館は高級だが娼館なのだ。


いくら客を選ぶとはいえ椿は娼婦だ。


嫌でも寝るのが仕事だし、あの男は椿に惚れていた。あの言動も好きだからこそだ。


リンの大金に負けて大人しく帰ったが、普通なら難癖をつけるなり、暴力を振るわれても可笑しくない状況であった…………その時は返り討ちにあっていただろうが。


「あの方はね。悪い方ではないのよ………私の為にお金を貯める程だもの…………でもウチはハリス男爵様の関係者は出入り禁止。あの方はハリス男爵様の店で働いてるのよ」


「げっ、ここにも来たのかよ。あの成金」


「ええ、私ではないけど…………どうやら媚薬を無理矢理飲まされた子がいてね」

「別に娼館なら珍しくはないだろ?」


「ただの媚薬ならば問題ないわ………これなのよ」


椿はソレをテーブルに転がした。


それは一見すると、ただの飴玉であった。


「飴?」


「中身は依存性が強い媚薬。舐めたら天国から地獄よ」


「どうしたのコレ?」

「飲まされ子の部屋で見付けて回収したの。その子、今は治療中なの………でも助からないわ」


三大欲求の睡眠欲、食欲さえなく、快楽が体を蝕んでいる。


もう、手遅れであった。


「だからハリス男爵様の関係者は出入り禁止になったの。それしか出来ないわ」


媚薬は違法ではない。


しかも相手は貴族。こちらは娼婦だ。


「最悪だな、あのクソ野郎………」


「媚薬ね………コレ貰っていいかい?成分が解れば飲まされ子も助かるかもよ」

「本当ですの!?」


「毒に解毒剤があるように媚薬も薬だからね」

「兄さんナニモンだよ………?」


「???旦那様は旦那様ですよ。それより食べないなら、イッちゃんのシャーベット下さい」


すでにプリンを制覇し終えたリンがイチのシャーベットに狙いを定めた。


「ねぇ、お願いだから空気読んで!今凄く重大な話し合い中だったよな!?それよりなのっ!?シャーベットより重大!!」

「シャーベットが溶けないうちに食べるほうのが重大なのですよ」


「こっちは人命救助が懸かってるのっ!それにシャーベットは僕のだからっ!!」


「………………イッちゃんはケチです」

「ケチ臭いね」

「シャーベット位あげてもよろしいのでは?」


「何ソレッ!?僕が悪いの!?……………………味方が誰もいない…………」


お姉さんから貰った飴玉は旦那様が宿に帰ってから調べるそうです。


明日の催しの髪型はお姉さんが結ってくれます。イッちゃんとはその事を話し合っていたみたいです。


お腹もいっぱいなので旦那様と宿に戻ります。


宿に戻る途中に眠くなりました。


首がカクンカクンです。


旦那様が抱っこしてくれました。


そのまま寝ました。


お休みなさいです。







ウジウジしていたイチは娼館に放置され、アレスとリンは宿に戻った。


椿が二人を見送ってからイチに声を掛け、二人が宿に戻った事を知ったイチは項垂れながら店に帰って行った。


余談だがイチのシャーベットは綺麗に全部、リンに食べられ空の器だけが取り残されていた。




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