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魔獣召喚師はお爺ちゃん6

クッキーは美味しいです。

お菓子は最高なのです。


落としたクッキーが処分されたのは残念です。


クッキーのおかげで、旦那様の顔も見ることが出来ました。


やはりお菓子は偉大です。


「でっ!?アレスは何でちぃ姫とき、キスをしとったんじゃ?」


「どもらないでよ。婚約者なんだからキスぐらいするでしょ」


ちゅーはキスと言うのですね。


あれは恥ずかしいのです。


「年を考えんかっ!年を!!」

「嫌じゃなかったんだから、別にいいでしょ」

「良くない!!儂の孫が汚された………」


私、汚れてないです。毎日お風呂に入ってますよ。


「主様、男がグタグタとみっともありまへん。仲が宜しゅうのはええことどす。爺ならどんっと、構えて祝いんしゃい」


「爺孫………いや、我はもう何も言わん」


お祝いですか?

お祝いはケーキを食べます。


「お家に帰ったらケーキでますか?」


「初キッス記念日じゃと!?それなら儂の家で………」


「やらないよ。ケーキもなし。そんなこと毎回してたら毎日ケーキだよ。豚になりたいの?」

「私は猫ですよ!豚違う、臭くないのです!」


「毎日き、キス……………儂はもう、駄目じゃ………」


「今は人間だから、豚人間だね」

「違うのです!!」


旦那様が意地悪です。


「ほんに、仲が宜しゅうおす。して主様、アレスはんとおひいさんに何かお礼がしたいんよ。何が宜しゅうおすか?」

「我にも攻撃してしまった詫びがある。人間は何が欲しいのか我等にはわからん。何がいいかえ?」


「う~む、普通なら金か宝石だがアレスとちぃ姫だからのう………………そうじゃ!ちっと待っておれ」


マル爺が部屋から飛び出て、すぐに木箱を抱えて戻って来ました。


テーブルにドンッと木箱が置かれます。


「何これ?」

「???」


「儂の発明品じゃ!」


誇らしげなマル爺に代わり、シェリーとピーは呆れています。


「そないなガラクタ…………」

「我は欲しくない………」


「何をゆうとるんじゃ!!門外不出の大発明の一点物じゃぞ!!」


木箱の中にはワケが分からない物が溢れかえっていました。


「これはシェリーの抜け毛を詰めたクッション。耐火に優れ夜営でも心地好い眠りにつけるし、防御も出来る。こっちはピーの鱗を溶かして作ったナイフにフォークじゃ。永久的な輝きに手間要らず、魔物の皮膚も易々刺せる一級品じゃ」


どうじゃ!


堂々と自信満々に薦めるマルクス。


素材は魔力耐性に優れた魔獣。しかも上級。

喉から手が出るほど貴重な品だ。

金に出来ないほどの………。

それこそ、国王陛下に献上しても何ら可笑しくない。


…………素材だけなら。


「無駄遣いだね」


クッションなんて持ち歩くのにも不便だ。夜営に心地好い眠りも命取りになる。

ナイフもフォークも同じだ。武器にするには致命的な短さだ。これでは魔物に小さな傷を負わせるのが限度である。


リンは何やらゴソゴソ漁っているが、アレスは漁るつもりも、見ることさえしたくない。


「素材だけ頂戴。コレはいらない」


「何を!?儂の大発明品がわからんとは…………素材は全部つこうたからない」


「!我の抜け毛はどうした!?」


三頭犬は巨大だ。抜け毛も多量にあったはず。


「布団にしたのじゃ」


「うちの鱗はどうしはったん?」


「大皿にしたんじゃ」


家族皆で眠れる気持ちが良い大きな布団、大皿は育ち盛りの孫と一緒に沢山食べられるように作成。素材なし。


「これだけは譲れん」


「別に、欲しくないよ」


「アレスはん堪忍ね」

「すまぬな」


「なぜ、謝るのじゃ!?」


マルクスが立ち上がり喚く。


立ち上がった拍子にマルクスの懐から、コロコロと小指の爪くらいの小石がテーブルに転がる。


アレスはそれを拾い、眼前に翳した。


蒼碧(ソウヘキ)色の石。


「「「!!!」」」


「翁」

「主様」

「主よ」


三対の目がマルクスを見る。


「なっ、なんじゃ???」


「これ、どうしたの?」

「んっ、この石か?王宮の庭の池の中で拾ったんじゃ。綺麗じゃから壁に紙を貼る鋲にしようかと………なんじゃ、欲しいのか?やるぞ」


呆れる三人。


「………これ、魔石だよ。しかも最高級の……」


魔石は魔力を宿す石。

発掘場所はなく、数も少ない。

希少である。


魔石には魔力増加、制御、無詠唱魔法などの効果があり、さらに最高級品は魔石自体に魔力耐性と永続的な付加魔術が籠められる。


「貰っていいの?」

「儂、魔力ないからわからんよ。魔石も石コロも同じじゃもん。それに、儂の発明品はいらんのじゃろ………お礼じゃよ」

「もんは可愛くないよ。でもこれは貰うね」


思いがけない収穫に微笑むアレス。


「………!あーーー!!!」


そんな中、木箱を漁っていたリンが大声をあげた。


「これっ!これ下さい!マル爺!!」

「別にええが、その耳掻き棒はシェリー用じゃからちとっ、ちぃ姫にはでかいぞ?」


「これがいいのです!」


リンが手に持つのは、蒼色の棒の先端にふさふさの黒いぽんぽんが付いた耳掻き棒。もとい探し求めていた、猫じゃらし。


やはり、素材はピーの鱗で出来た棒にシェリーの抜け毛で出来た毛玉。


思いがけない収穫はこちらも同様であった。






礼の品も貰い意気揚々と帰る、アレストファ公爵と公爵夫人。見送るマルクス侯爵一家。


後日、アレストファ公爵家の庭で使用人達と猫じゃらしで遊ぶリンの姿と小さなドラゴンが目撃されたとか…………。




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