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魔獣召喚師はお爺ちゃん4

マル爺のお家に行きます。


旦那様の腕に掴まり、メェちゃんは私の肩に乗って、マル爺はメェちゃんの尻尾に掴まります。

旦那様の魔力で移動するので、しっかり掴まってないと駄目なのです。

離れたら、良くて知らない何処かの場所に落ちるか、悪くて体がバラバラになるかだそうです。


「………儂もアレスかちぃ姫に掴まりたいのじゃが………儂の扱い、酷くないかのう?」


「わざわざ送ってあげるのに文句があるの?」

「離れたらどうするつもりじゃ!?」


「何があっても事故で終わるから心配ないよ」

「お前はじゃろ!!」


メェちゃんに掴まるのが嫌みたいです。


「マル爺、私と手、繋ぎますか?」


両手で旦那様に掴まっていたので、片手だけマル爺に伸ばします。


マル爺が嬉々として掴まろうとしましたが………


「リンはしっかり掴まってなよ」


旦那様に抱きしめられ、阻止されました。


これではマル爺と手が繋げないのです。


「アレスーッ!!」


「煩い、行くよ」


「なっ!ちょっ、まだ心の準びがっ………!!!」


マル爺が何か騒いでいましたが、一瞬でした。


さっきまでお家の中に居たのに、今は木々に囲まれた森にいます。


「儂、バラけてないか!?」


「バラバラなってません………」


ちょっと、見たかったのは内緒です。


「ちっ………………成功したみたいだね。俺以外の第三者に触れていても移動は可能か………」


「え''っ!?初めてやったのか!!??しかもお前、舌打ちしたじゃろ!!!」


「当たり前だろ。魔導師でも魔力で一瞬で目的地まで移動出来るのは俺だけだよ」

「ちぃ姫もメェちゃんもいたのじゃぞ!」


「リンは俺に掴まってたからね。それにリンには俺の魔力の欠片があるから同調しやすい分メェも無事なのはわかるけど…………翁も無事移動可能とは……興味深いね」

「儂で人体実験をするな!!!」


「成功したのだからいいでしょ。それより家は何処だい?案内しなよ」

「っっっっっ~!!!こっちじゃ!!」


メェちゃんを肩に乗せたマル爺の案内で森の中を進みます。


私は移動したままの状態で旦那様に抱き抱えられながら進みます。


「魔物いないのです………」


気配がないし、匂いもしません。

でも、動物は居るみたいです。


「魔獣がいるからね。魔物もこの森には現れないよ」


マルクス侯爵は自領に住み、領地の管理はアレスと同じで領民任せだが、マルクスが魔獣と山で生活している為、魔物の脅威に怯えず安心して暮らせる領地である。


領民にさえ顔を見せない変人だが、税を無闇に増やすことなく、領地を護ってくれる善人扱いされているマルクス侯爵。


ただ現実は魔獣と一緒に住めるのが自領しかなく、自領の状態など関心がないから財政管理など放置しているだけ。


「魔獣は強いのですか?」

「翁のはね」


「旦那様より?」

「一匹なら殺れるけど二匹同時は厳しいよ」


「2対1は狡いのです!私もヤります!」

「やめてくれっ!」

「キュー?」


不穏な会話をしながら目的の家に到着した。


「………ここが儂の家じゃ…………!!シェリー!!??」


マルクスの邸に着いたと同時に、黒髪金眼の浅黒い肌を持つ美女がアレスとリンに襲いかかって来た。


反応が早かったのはリンが先であった。


アレスの腕から離れ、伸ばした爪で一閃するが、美女は素早く避け後退すると今度は口から炎を、放水するかのようにリンに向け吐き出した。


咄嗟に避けらず、リンが黒焦げになるとアレス以外が想像した。


「フッ、シャッーーーーーーーー!!!!」


耳が痛くなる程の鳴き声に、炎はうなり霧散した。何が起きたか理解出来ない美女。


その隙を逃すはずない。


リンが美女を爪で抑え込み、喉元を食い千切ろうと噛み付こうとした。


「リン、待て」


ピタッ!


「シェリーも挨拶にしては乱暴だよ」


「……………ア、レスかの?」


「他に誰が居るの?リンもこっちにおいで」


獲物を逃すのですか?


「………足だけ、噛んじゃ駄目です?」


逃がしたくないのです。

魔物より楽しいのですよ。コレ。

また、遊ぶのです!


「駄目、逃げないから大丈夫だよ」

「…………分かりました」


旦那様に手招きされたので女から離れます。

コレはなんだか犬臭いのです。


「シェリー!!大丈夫かっ!?怪我はないか!?」

「心配いらぬ、我が抜かったのよ。それより悪いことをした。すまぬな………」


立ち上がり、埃を払いながら謝罪する。


「いったい、どうしたんじゃ?」

「主が人間など連れてくるから、脅されたものと思うてな………人間は成長が早いからアレスと分からんかったのじゃ」


我等より高い魔力を有する男に、気配を消した我に逸早く気付き、初撃をくらわそうとした娘に警戒しない者は魔獣ではない。


「殺られる前に殺ろうと思うてな……」


「俺とリンだから良かったけど、普通なら即死だよ」

「すまぬ………」


再び頭を下げる女は、やっぱり犬臭いのです。


「人間なのに犬の匂いなのです」


「おや、わかるかえ?娘は鼻がいいのう。それにどうやって、我の炎を消したのじゃ?娘からは余り魔力を感じられんし……」


「ニャーですよ。ニャー」


「「………………アレス?」」


解説を頼む。


「超音波。炎の空気振動と鳴き声の振動を同じ音波数で振動させて相殺させたみたいだね」


猫がたまに声なき声を出す。

人間には聞き取れないほどの高音波数の超音波を鳴き声にすることも出来る猫。


「魔導師はかようなことまで出来るのかえ?」

「リンしか出来ないよ」


人間には超音波を出す声帯も空気振動を聞き分ける聴覚もない。


「「????」」


偉業を成し遂げているはずのリンとメェだけがアレスの解説についていけないでいた。


「まぁ、立ち話もなんだ、中に入ろうかの。ピーちゃんもメェちゃんに会いたかろうしな」

「メェと名付けたのか?主にしては珍しい名じゃのう」


「……………色々あったんじゃ、色々とな……」


「???」


疲れた声音を出し項垂れるマルクスに事情を知らぬシェリーが今度は首を傾げる番であった。




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