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第五十一話:砦前の攻防

 砂埃を上げて近づいてくる馬車・・・さらにその前を尋常でないスピードの騎馬がこちらに近づいてくる。

 目を見張るほど立派な馬に乗った子供に見張り台に立っていた門衛は驚いた。

「助けて!お願い!助けて!!兄様たちが乗っている馬車、襲われてるの!!助けてっ!!」

 馬の上に乗っていた子供は少女だったようで、彼女は必死に砦の人間に助けを求めてきた。

 どうやら後ろで暴走している馬車は彼女の兄弟たちらしい。襲っているのは・・・どうも名のある騎士に見える。いったいこれはどういうことなのか。

 門衛は再度、馬と少女を見た。彼女の目には恐怖と憤りの為に涙が浮かんでいる。

 きっと何か事情があるのだろう。門衛はそばにいた上司に指示を仰いだ。

「しかし、あれは・・・」

 確かに子供たちを助けたいのは山々だ。しかし、その馬車が騎士に襲われていると成れば話は変わってくる。

 目の前の少女や彼女の兄達という人物が盗賊で、これがなんらかの罠になるという可能性もあるのだ。

「門を開けよっ!」

 逡巡している彼の後ろから鋭い声が門を管理する塔へと飛んだ。見ると砦の最高責任者ガイフィードが馬に乗った少女に門の内へと入るように指示していた。

 将軍は門が開き始めるのを確認すると見張り台から一気に門の前へと駆け下りる。

 馬は僅かの隙間が開くと、ひらりとその隙間から入り将軍の前でその足を止めた。

「ご無事でしたか」

「私は、大丈夫。お兄様たちを・・・」

 神馬の速度で駆けて来たため、大分離れてしまったが兄達はまだあの騎士たちに襲われているはずだ。

 見上げてくる王女をそばにいた侍従に託し、ガイフィードは僅かの兵を連れて馬車へと向かい駆け出した。




 腹部を貫かれたクラウスは自らの身体に刺さった槍の柄を持つと固定し、自らの刃でその部分を鋭角に切り落とす。腹に槍を受けた苦しい状態で彼は刃を失った槍の柄を持つと、勝ち誇った顔をしている男に向かって投げつけた。

 反撃を食らうとは思っていなかったのだろう。

 鋭く切り取られた柄は見事男の喉を貫き、もんどりうって男は騎馬の上から転げ落ちた。

「兄上・・・!?」

 ソルディスはあまりの出来事に少しわれを失う。

 違う、彼はこんな風には死なない。自分の見た未来ときでは彼は行き続けることになっている。自分の見た未来が変わる?そんなはずはない。

「グレイさんっ!」

 呆然としているソルディスを他所よそにスターリングが矢をつがえたままクラウスの元へと駆け寄る。

 傷を受けても尚、馬車を走らせようとしている彼の手から手綱を奪うと、

「ソリュード!彼を横に寝かせてっ!それから胴体の傷の上と下を紐で縛ってな止血をっ!!」

 我に返ったソルディスはスターリングに言われた通り、手近にあった幌の切れ端を裂いて長い布を作り、止血を行った。

 傷口からの出血のせいかクラウスはぐったりとしている。

(早くなんとかしないと)

 止血を終えたソルディスは兄の血で濡れた手で弓を持ち、兄を傷つけた者達を無心に・・・ただ機械的に射殺しつづけた。




 ケイシュンの背中に乗ったルアンリルはやっと見えてきた砦がざわめいているのに気が付いた。

 何があったのだろう・・・と考えていると、かなり上空を飛んでいたケイシュンが砦の手前から高度を落とし始めた。

「ケイシュン殿?」

『あれを、見ろ』

 訝しげに問い掛けてくるルアンリルにケイシュンは砦へと駆けていく馬車を示した。

(あれは・・・っ!)

 その馬車には見覚えがあった。あの内乱の日、王子たちを乗せて王都を脱出した馬車だ。

 手綱を握る少年には見覚えがないが、後ろの幌から顔を出して、次々に敵を落としているのはソルディス王子に間違いなかった。

 しかし一緒にいるはずのクラウス王子の姿もシェリルファーナ姫の姿も見えない。

 もしかして彼らは逸れてしまったのだろうか。それともサイラス王子が捕縛されたのを受けてばらばらに行動することにしたのか。

 何故か言いようのない不安がルアンリルの胸に去来した。

「すみません、あの馬車の上に降りて下さい」

 焦りを含んだ声にケイシュンは理由も聞かず『了解した』と答えたのだった。

クラウス、重体です。ソルディス、茫然自失です。

機能が低下した兄弟のかわりにスターリングががんばっています。

そんな中でアンリルが合流目前。

いろいろと話が交錯し過ぎててどこから書いていけばいいのか困ってます。


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