プロローグ
――この町は常に賑やかだな
誰かがそう言っていた。この町はそう、いつも賑やかだ。喧騒で溢れている
「こちら服部、『任務完了』しました、親方様」
そいつは、……「俺」は、そう『報告』してニヤっとする。
こんな町の風景も賑やかと言えるのだろうか
◇ ◇
「突然だが祐斗よ、『忍』の職を継げ」
本当に突然で唐突だった、俺は朝は苦手なので寝惚けて聞き間違えたのかと思った。
「いや……なんでそうなるのさ、そもそも僕はまだ――」
言ってて、あ。と思ってしまった。またつい一人称を変えてしまった。
いつもは「俺」と言っているけど、たまに「僕」と言ってしまうことがある。併用するのはダメらしい。
別にいいじゃん。
「……えっとさ、何故そんなことを言おうと思ったの?」
そりゃあ疑問に思うよ僕も、……いや俺も。何せ俺はまだ中学生に成り立ての13歳だ!
・・・・正確にはこの春から、なんだけど。
『忍』の職に就くための経験も何もないっての!
そもそも、忍者とは、鎌倉時代から江戸時代の日本で、
大名や領主に仕え諜報活動、破壊活動、浸透戦術、暗殺などを仕事としていたとされる
要はスパイみたいなもんだ。でも『忍者』という概念が昔消え去って、今となっては
『忍』という職業として現代に根付いているというのに……しかし、なんで忍者って一向に滅亡しないんだろうね、ははは。
「まぁ、何を言ってももう遅いぞ?既に手は打ってあるからな」
・・・・はい?今この親父なんと?つまり僕には――もう僕でもなんでもいい!……僕には選択権が
ないってこと?いやいやいや……何その決定イベント。
「あの、なんで僕はそんなことをやらなくちゃいけないんでしょうか」
「は?何言ってんだ祐斗、掟にもあるだろう」
「え・・・・・?」
そんな馬鹿な。俺は本を持って来る、辞典のような見た目だが、ちゃんと表紙に「村の掟」って書いてある。村っていうのは当然昔ここが村で今は発展してしまって都市になっちゃってるからね。全くよく笑ったよ昔は……じゃなくて!えっと、索引索引・・っと
『村の掟第39条:コノ村、モシクハ村ノ一族ニ生マレタ者ハ、ソノ者ノ故――必ず家督を継がなければならない』
うお!ほんとにあるし・・・・っておい!、よく見たら思いっきり書き直されてるじゃねえか!
「くそぉ……どうなるんだこれから一体……」




