表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/15

Case12 鋼の巨人、怪獣と闘う




 もう、無茶苦茶だった。

「いけ、ヴァンガイザー!!」

「べべムラー、迎え撃て!!」

 宇宙人の呼び出した怪獣と、佐藤の駆る鋼の巨人が激突する。おいおい、周りの皆さんに被害を与えないようにやってくれよ?

 巨大な羽を羽ばたかせ、空高く舞い上がる怪獣。その名もべべムラー。外見はティラノサウルスにプテラノドンの羽を備え付け、腕をゴリラのそれに付け替えたような、なんとも合成怪獣です、みたいなやつだ。ふざけてやがる。

 それを追い、上昇していくヴァンガイザー。飛行しつつ、何もないはずの空間からその巨体に見合う巨大な剣を引き抜く。そしてそれをべべムラーに向かって振りかざした。べべムラーはそれを尻尾で受け、両者は拮抗。そして一瞬降着し、そして空中でなんども激突する。

「おい、このサンプルどうする?」

「そうだな。早いうちに船に連れて帰るか」

 相変わらず翻訳装置を起動したままの宇宙人。わざとやってるのか?

 ちなみに、一人はまだ俺のことをがっちりホールドしたままだ。

 そこに、奴が現れる。

「すいません、ちょっと失礼。迎えに来たぜ、ブラザー」

 サミュエルだ。なんだこいつ。この壁の中にテレポートできたのかよ。

「なんだこいつ!どうやって入ってきた!」

 うろたえる宇宙人たちを無視しサミュエルが俺の肩に手を当てる。

 また、意識が捻じ曲がる感覚。

 そして気がつけば、俺は超能力者たちに囲まれていた。

 宇宙人のおまけつきで。

 空中に浮いた俺と宇宙人は、サミュエルの超能力で空中に固定される。離れる事はできなかった。宇宙人が、俺を離さないんだ。多分、外に放り出されてビビってる。

「おい、サミュエル。余計なものまで持ってくるな」

 ステラさん、俺もそう思いますよ。

「うーん、でもさ、ステラ。特異点だけじゃなくて異星人まで持って帰ったら、ボスは喜ぶと思わないかい?」

「サミュエルの言うとおりだ。解剖対象が大いに越した事はないだろう」

 ヨハンの「解剖」というワードに宇宙人が震えた。こいつ、日本語わかるのか。それとも何か翻訳機を使っているのか。

 そして叫ぶ。

「ト、トモダチ!」

 もうそれいいって。てか、お前がメガホン持ってたのか。

「ま、結果オーライってことで。さっさとテレポートして撤退を」

「させねーよ!」

 どこからともなくやってきたそいつに、俺はさらわれる宇宙人とに一緒だ。

「危ない所だったな、藤崎」

 天城だ。黒い翼を羽ばたかせ、物凄い速さで空を突き抜けていく。超能力者達が光る球体やら炎やら、目に見えないが恐らくぶっ放しているだろうサイコキネシス、その全てを回避し、学校へと向かっていく。

「よし、奪取成功、ってな」

 グラウンドに着地した天城が、俺に向かっていった。まあ、犬の顔しているせいで、違和感しかないんだけどな。

「トモダチ?」

 まだ怯え続けている宇宙人。とりあえず、俺から離れてはいるが。

「うん、もう心配すんなって。こいつはそんな悪い奴じゃないから」

「ショウ!」

「正太郎!」

 ゆかりとレイラがやってくる。ゆかりは走って。レイラは空から。ついでに、ソースケも一緒だ。

 レイラが俺に飛びついてくる。俺はそれに耐え切れなくて、二人してグランドに倒れこむ。

「無事だったんだね!心配してたんだよ、正太郎」

「お、おい。ちょっとお前」 

 このアングルは。戦闘で破れかけている制服が。胸元が。やばいって。

「ショウ……?」

 ほら、ゆかりがキレた。ゆかりは俺が巨乳を見てると怒るんだ。多分、コンプレックスがあるんだと思う。前にそれを直接言ったらアイアンクローをされた。

「藤崎正太郎、貴様……」

 ソースケもキレちまった。レイラが近くにいるから発砲はしないが、とてつもない殺気を放っている。

「別に何も見てませんよ?だからそんな、やめて!頭踏まないで!」

 痛い。痛いっす、ゆかりさん。

「ほら、アンタもショウから離れてよ!」

「嫌だ!あなたこそ何?正太郎をいじめないでよ。まな板のクセに!」

「な、あ、うぅ……」

「おおう、藤崎さん。いつの間にこんなセミハーレムを形成しているんですか」

「おい、こら天城!馬鹿なこと言ってないで助けろって!」

 ゆかりのストレスは全て俺の顔面にのしかかってきてるんだ。

 ――おいおい、楽しそうだなブラザー。正直うらやましい。代われ。

 そんなアホなことを心の中に語りかけてくるのは一人だけ。

「また来たのかよ、アンタら」

 頭からゆかりの足がどいた。視界が明るくなる。

 天城がグランドに舞い降りた超能力者に向けて構えている。それは相手も同様だった。

「こっちも仕事でね。やることやんなきゃいけないんだ」

 なあ、サミュエル。お前が言っても説得力皆無なんだよ。

 ――そこはさあ、お互いね。スルーの方向で頼むよ。今はシリアス路線の方向でサ。

 敵にこんなこと言っている時点でシリアスじゃねぇ。

「ま、ともかくだ。特異点は返してもらうよ」

 そして再び、戦闘が勃発する。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ