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Case10 各々、闘う

「すまない、遅れてしまった」

「お、ステラ。やっと来たか。君がもたついてるから、ヨハンが厄介な相手に捕まってしまったじゃないか」

 何時の間にか、隣にさっきの金髪の女がいた。そのスーツは所々裂けていて、なんというか、少し目のやり場に困ってしまう。とか言いつつ、しっかり見ている俺がいるが。

「……なんだ、藤崎正太郎」

「いや、なんでも」

 ステラに気づかれ、俺は急いで視線をそらす。

 ――君も男だな、ブラザー。ステラはいい身体しているだろう?

「だっ、勝手に心読むんじゃねぇよ!」

「ハッハッハ。一体何のことだい?」

 このクソ外国人、白々しったらありゃしねぇ。

 ステラは俺たちが何の会話をしているのか全く理解できないみたいだ。正直ありがたい。

「正太郎を返せ!」

「おい、勝手にダチさらってんじゃねぇよ!」

 学校からレイラと天城がこちらへ飛んできた。天城の背中には真っ黒な翼が生えている。ああそうですか。悪魔ですもんね。そのくらいは常識なんでしょうね。ところで天城さん、太陽光にやられるとかそんな設定はないんですか?

「ほう、これが女子高生というやつか。実にいい……」

 この茶髪外人、レイラを見て鼻の下を伸ばしまくってやがる。

「あいつはまだ女子中学生だけどな」

「あの発育で!?東洋の神秘だ!」

 もう駄目だ。この馬鹿はほっとこう。

「なんだ貴様ら。邪魔をする気か?」

 ステラが前に出る。この人は本当に好戦的なお方でいらっしゃる。

「じゃ、しょうがないな。ブラザー、ごめんよ。君はここにいてくれ」

 サミュエルがとてもいい顔でウインク。そしてサムズアップ。

 そして、俺から手を離した。

「え?」

 ちょっとまって。勘弁してよ。そんな事されたら、俺落ちて死んでしまうんじゃ――

「あれ?落ちない?」

「テレポートの力を応用すれば、こんなこともできるのさ」

 理解するのはやめよう。頭がパンクしそうだ。

「おい、テメェら。さっさとかかってこいよ。ぶちのめしてやるからよ」

「ほう。貴様、面白い事を言うな。それなりに楽しませてくれるんだろうな?」

「さっさと正太郎を帰せって言ってんでしょ!」

「残念だけど、ジョシチューガクセーといえど、そのお願いには答えられないな」

 四人が激突を始めた。なんだかなあ。この感じ、ちょっとイラっとくるな。俺を差し置いて、勝手に物事進んでいるとことかさ。

 そういえば、ゆかりとあの筋肉はどうしたんだろう。ふと気になって、視線を下へ向けてみる。

「筋肉ゥー!」

「月島流ぅ!」

 ……ああ、グラウンドで二人してなんか楽しそうに遊んでいらっしゃる。

 ゆかりが無数の手裏剣とクナイ投げつけるも、筋肉野郎がそれを素手で払って打ち落とす。

 遠距離だと拉致が開かないと判断したのか、接近戦に持ち越したゆかりは筋肉の攻撃は紙一重で全てかわしていく。

 筋肉の拳が振るわれるたびにグランド全体に風圧が巻き起こっているのは目の錯覚じゃなかった。なんてこった。

 ゆかりは筋肉のその腹に、さっきの小刀を突き刺した。それを引き抜き、距離をとる。

 ……奴の腹から血が出ているような気がしないんだが。遠いからわからないのだろうか。それともまさか、筋肉を圧縮して傷口を塞いでいるんじゃ……いや、もう考えるのはよそう。頭が狂いそうだ。

 二人の闘いは、学校の観客の視線をむこうのサイボーグVS超能力者と二分している。

 そのサイボーグVS超能力者の戦闘はというと、こっとはこっちでトンデモだった。

 何時の間にかソースケノ両肩にはミサイルキャノンが装備されている。それを発射しつつ、ソースケが高速で移動。ミサイルを超能力で打ち落としていくヨハン。

 今度はヨハンから接近していく。途中で、ソースケが何かに弾かれた様に動きを止めた。ヨハンの仕業なのだろう。その隙に、ヨハンの手の平に生み出していた、発光する球体をソースケに向かって発射する。

 直撃、そして爆発音。しかしソースケは右翼と右のキャノンを失いながらも、ヨハンに接近。右腕のビームの刃でヨハンに切りかかる。

 なんとか寸前でヨハンがそれを回避したかと思われたその時、ビームの刃が延長された。それはヨハンの右腕を焼き落としていく。えげつねぇな。なんて野郎だ。しかも笑ってやがる。

 かと思いきや、ヨハンのそぎ落とされた腕が再生し始めた。当たらしい腕が生えてくる。己はトカゲか?いや、トカゲだってな、もう少し節度のある再生を行うぞ?

「調子に乗ってんじゃねぇ!」

 天城の叫び声が聞こえてくる。こっちの戦闘も過激化してきたみたいだ。

 天城が黒いオーラを纏ったその手でステラに殴りかかる。ステラはそれに対して手の平から大量の炎を放出。しかし天城はものともせず、突破。黒いオーラが天城の身体全体を包み込んでいた。

 なるほど。あれはきっと、悪魔のもつ不思議なパワーなんだな。バリア的何かだ。

「もらったぁ!!」

「甘い」

 天城の拳がステラを捉えようとしたその瞬間、黒い両翼が大量のレーザーによって貫かれた。

 僅かなうめき声を上げ、天城が落下していく――と思いきや、再び翼が生えてきた。こいつらにとって、再生は常識の範囲内なのだろうか。

 レイラはサミュエルと戦いを繰り広げて……戦い?いや、なんていうか……セクハラ?

「ほうほう。これが女子中学生の絶対領域ッ!」

 テレポートを駆使し、ひたすらレイラの下方へワープし続けるサミュエル。お前、それでいいのか?

「うるさい、どっかいけ!」

 高笑いしながら、サミュエルはレイラの放つレーザーをテレポートでひたすらに避けていく。

 そうか。こいつテレパシーが使えるから、相手の次の動きがわかるのか。それに加えて(多分)どこにでもいけるテレポート。こいつ、逃げる事に関しては最強かもしれない。

 その中で空中に固定されいる俺。

 あー、何だこの状況……。

 などと物思いにふけっていると。

「ん……?」

 いきなり、空が暗くなった。最初は雲が太陽を被ったのかと思ったが、それにしては暗すぎる。

 そう思って空を見てみれば。

「空飛ぶ円盤……」

 どでかいUFOが上空で静止していた。

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