五話:移住と写真
「ここが俺の部屋だ」
そう言って虹花に案内させた部屋は俺の別になんとも変わらない部屋。
変わったところがあるとすれば、テレビやインターネットが置いてある事くらいだ。
「へぇ男の部屋ってさ……こういう所に何か隠してあるもんじゃないの?」
そう言って虹花は俺のベッドの下にその短い手を伸ばして探索している。
「ちなみにお前が望んでいるものは無いぞ」
「普通あるでしょ? エロ本くらい」
ったく……こいつはどんだけ男を野獣って思ってるんだよ……
そして虹花は、ある物を指差してこういった。
「――――ねぇこれは何?」 ・・・
彼女が指を指した物……それは俺とあいつが写る写真だった。
「それは……何でもないんだ」
「えー女の子と一緒に笑ってる写真だよー! 背景が遊園地だから――――」
「それ以上言うと俺も怒るからな……誰にも知られたく無い過去はあるんだよ」
俺の顔はたぶん今憤怒の表情を浮かべているだろう。いかんいかん虹花も黙っちまった。
「――――ごめんごめん……気悪くしちゃったか?」
「別に良いわよ……」
完全にしかめっ面になってやがる……まぁ仕方が無い。話を進めるか。
「で、お前は何で俺の部屋に来たいって言ったんだ?」
「それはあなたの家に移住させてもらうため」
は? あまりにも淡々と虹花が言う為俺も対応に困る。
「えーとそれはどういう意味かな?」
「言葉通りの意味」
駄目だ……こいつが何を考えているか良く分からない……