七話 元公爵令嬢、運命の出会いをする……?
「私達、全員同じクラスで良かったですね〜!」
「えぇ、本当にね」
「ふふ、エドナったら『クラスが離れちゃったらどうしよう〜!』て式の途中に何度も耳打ちしてきたんですよ」
「ちょっとソフィア! それは言わない約束でしょ!?」
入学式が無事終わって、私達三人は振り分けられた教室に向かって歩いていた。
……その途中、気分が悪そうに廊下の隅で座り込んでいる少女がいることに気付く。
皆見て見ぬふりをしているけれど……元王妃候補として、困っている方を見過ごすことは出来ないわ。
私は早歩きで少女の元に近付く。
すると、その少女は驚いたように「セシリア様……?」と小さく呟いた。
____この子も、私の名前を知っているのね。
セシリアの記憶にこの子はないけれど……私の名を知っているということは、過去に何かしらやらかした可能性が高い。
ならば、ここは一人で対応させていただくのが一番ね。
「ソフィア、エドナ。二人は先に教室に行っていてくださる? 私も後から追いかけるから」
「は、はい! わかりました」
「……セシリア様お一人で大丈夫なのですか? もし心配でしたら、私が保険医を呼びに行っても……」
「ありがとう。でも、大丈夫よ。動けなそうだったら私が運ぶし、こう見えて医学も履修済みだから」
ソフィアからの提案を断って、再び少女の顔を覗き込む。
すると少女は、真っ白な顔色で再び独り言を話し出した。
「……おかしいな。本当ならここで攻略対象の誰かが来てくれるはずなのに……。どうして悪役令嬢のセシリア様が……? しかも、格好も全然違うし……」
____攻略対象? 悪役令嬢?
この少女が言っている言葉の意味が理解できなくて、私は思わず固まる。
けれど……少なくとも、一つだけ私の中で"ある仮説"が浮かび上がった。
「……ねぇあなた、もしかして……この世界のこと、何か知っているの?」
私の言葉に、少女は目をまん丸に見開いた。
それから、突然立ち上がって大きな声でこう叫んだのだ。
「もしかして……セシリア様も私と同じなのですか!?」
……なんて返事をしようか迷っていると、少女はいきなり立ち上がったことで立ちくらみを起こしたらしい。
ふらりと体勢を崩したのをなんとか支えてから、意識を失ってしまった少女を保健室まで運ぶことにした。
「……この子には、詳しくお話を聞かないといけないわね」
____この子が味方なのか、それとも敵なのか……それはわからないけれど。
でもきっと、この子と出会ったことで私の運命は大きく変わり始める。
なぜだか、そんな予感がしていた。




