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十五話 元公爵令嬢、学力テストに挑む

 学園生活三日目。

 初日は入学式、昨日はオリエンテーションで終わってしまったけれど……。

 今日からはいよいよ、勉強が始まる。今日は丸一日学力テストだ。


 ……といっても、私はもう既に一度学園を卒業した身だし、教育は前世で一通り受けてきたからそこまでの不安はないのだけれど……。


「ねぇセシリア様! 最初は数学だって! 私、前世で一番できなかったのが数学なんだけど大丈夫かな!?」


 ……フリージアは、なんというか……見ているこっちまで不安になるわ。


「そんなに怯えなくても……あなたも私も、前世と今の二人分の記憶があるんだから、大丈夫よ」


 ____まぁ、セシリアの記憶は何も役に立たないのだけれどもね!


 何故かと言うと、セシリアは勉強が嫌いでまともに家庭教師の話を聞いていなかったから……。


 そのせいで、入学前に家で解いたテストは散々な結果だった。

 全クラスの平均点が同じになるように実施されたテストらしいけれど、私はきっと最下位だったのでしょうね。


「やばい! あとちょっとでテスト始まっちゃうよ〜! セシリア様、なんか裏技とかない!?」


 ……いえ、最下位候補はもう一人いたんだったわ。


「裏技なんてあるわけないでしょう。自力で頑張りなさい」

「そ、そんなぁ〜……」


 フリージアががっくりと項垂れたのと同時に、教師が教室に入ってきた。

 どうやら、テストが始まるみたいだ。


 とりあえず、やれるだけやってみるしかないわよね。もしかしたら前世とは違う常識もあるかもしれないもの。


 ……最下位だけは回避できるよう、頑張らなきゃね。まぁ、隣を見る限りその心配はなさそうだけども。


「それでは、テストを開始してください」


 教師の声が聞こえた瞬間、クラスの皆がペンを手にした音がした。


 ***


 キーン……コーン……


 一科目目の終了を告げる鐘が鳴る。

 その瞬間、隣からフリージアが涙声で話しかけてきた。


「セシリア様、やばい、なにもわからなかった……! セ、セシリア様はどうだった……?」

「どうもこうもないわよ……」


 フリージアには同情するけれど……正直言って、私の心境はそれどころではなかった。

 思わず、声が震えてしまう。


「…………こんなのって、ないわ……!」

「え? まさかセシリア様も……」


 期待の眼差しを向けてくるフリージアに向けて、私は周りに聞こえないギリギリの音量で叫んだ。



「レベルが、低すぎるわよ……!!!」

「そっち!?!?」



 ____そう、あまりにも簡単すぎたのだ。

 こんなの、前世では十二歳の頃にはとっくにマスターしていたくらいよ。


 ……そういえば……セシリアの記憶を辿った限り、入学前のテストもびっくりするほど簡単だったわね……。

 まぁセシリア本人は、全く解けていなかったけれど……!


「この学園、大丈夫なのかしら……」

「あ〜……まぁ、恋愛がメインのゲームだから……。勉強は二の次って感じのストーリーなんだよね」


 フリージアが苦笑いをしながら答える。それを聞いて、ふと気になったことを聞いてみた。


「そういえば、あなたにはゲームの記憶があるんだから、テストの答えくらい覚えているんじゃないの?」

「……それが……テストは選択肢の中からそれっぽいものを選ぶだけのおまけ要素だったから、全然役に立たないんだよね。しかもフリージアって、かなりのおバカキャラだったから……」

「……ゲームにも、色々あるのね……」




 そう言って遠い目しているフリージアを眺めながら、私は次の教科に向けて準備をするのだった。

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