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十一話 元公爵令嬢、逆ハーレムエンドへの一歩を踏み出す

フリージアと二人で、初めて教室に入る。

案の定HRは終わっており、もう皆帰宅してしまったようだった。


____ある二人以外は、だけれど。


「セシリア様! それと……立ちくらみの方!」

「随分時間がかかったのですね……。そちらの方も、もう体調は大丈夫ですか?」


エドナとソフィアが私達に手を振りながら話しかけてきた。

いくら友人になれたといっても、まだ入学式で少し話しただけの私を待っていてくれたのだと思うと……じんわりと胸が温かくなる。


「エドナ! ソフィア! 先に帰ってもらってもよかったのに……」

「セシリア様を置いて帰るなんてできません! これ、先生から預かったプリントです」

「エドナったら、先生に帰らないのか聞かれた時に『セシリア様を待ちますから!』って騒いだんですよ。もちろん、私も同じ気持ちでしたけれど」

「そ、それは言わない約束でしょう!?」


エドナが恥ずかしそうにソフィアをぽかぽかと叩いている。この二人、きっと昔から仲が良いのね。

なんだか少し羨ましい。私には前世も含めて、ここまで心を許せる友人なんていなかったから。


そんなことを考えながら二人を眺めていると、突然ソフィアが「そういえば、」といいながら、スカートの裾を軽くつまんだ。

それから、フリージアに向かって優しく話しかける。


「私はオールポート子爵家のソフィアと申します。よろしくお願いいたしますね」

「あ、私はアルドリット子爵家のエドナです! あなたのお名前を聞いても?」


フリージアはあわあわとしながらも、二人の真似をしてお辞儀をしてから口を開いた。


「わっ……私はクラーク男爵家のフリージアと申します! 気軽にフリージアって呼んでください!」

「ふふ、フリージアったら緊張しすぎよ」

「セシリア様が落ち着きすぎなんだよ~~! だって、ずっと憧れてた世界のキャラと喋ってるんだもん……!」

「ちょっとフリージア、ここでその話は……!」


急いでフリージアの口を塞ぐ。まさか私以外の人の前でも前世の話をするなんて思わなかった。恐らく、つい感情が昂って口から出てしまったのだろうけど、それにしたって……。


____この子、かなり抜けてるわね!?


フリージアには、私がついていないとダメだわと実感する。それと同時に、エドナ達二人に怪しまれていないか心配になった。

二人の顔を見る。案の定、二人はぽかんとした表情をしていた。


……これは、まずいわね。さて、どう切り抜けようかしら……?


そう考えていた時、エドナが頬を膨らませながら口を開いた。


「ふ、二人とも、もうそんなに仲良くなったんですか!? セシリア様にそんな砕けた口調で話せるなんて、ちょっと妬けちゃいます……!」


____気になるところ、そこなの? これがフリージアが説明してくれた『ヒロイン補正』ってものかしら……。


まぁでも、確かに伯爵令嬢の私に対して、初対面の男爵令嬢が親し気に話していたら不思議に思うのも無理ないわよね。私がそうさせたのだけれど……。

返答に困っていると、ソフィアが助け舟を出してくれた。


「あら、私とエドナだってお互い敬語を使っていないじゃない。それくらい馬が合う人っているもの、きっと二人はそうだったのよ」

「そ、そう言われればそうかも……? エドナ、セシリア様とそれくらい仲良くなれるよう頑張ります! もちろんフリージアさんとも!」


助かった……! エドナも納得してくれたみたいだし、この二人の友情に感謝ね。


「私も、あなた達ともっと仲良くなりたいわ。これからよろしくね」

「はい!」

「もちろんですわ」



……こうして、結局私達はHRに出ることはできなかったけれど……代わりにもっと大切なものを手に入れたから、良いわよね?


なんたってここは、勉強よりも友情や恋愛が大切な『乙女ゲーム』の世界なんですもの、ね!


そう私が満足していると、こっそりとフリージアが私に耳打ちしてきた。


「セシリア様に言うの忘れてたけど……このゲームの逆ハーレムエンド、女の子との友情も必須条件なんだよね。私が言う前に早速攻略しちゃうなんて、流石セシリア様……!」



…………だから、そういう大事なことは最初に言いなさいよ!!!

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― 新着の感想 ―
セシリアとフリージアが元々は誰だったかという点が、とても斬新な設定ですね! 続きも楽しみにしています~!
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