そのまた次に、天使はショックを受けた 年下の子
年下の子に悲鳴あげられたらさすがにショック受けます。
「おじさん、私だよ。中はいるね」
そんな声がさっき壊したドア辺りから聞こえてきた。八歳ぐらいの女の子の声だ。どうやらこの中年男の姪のようだ。その姪は中にづかづか入ってくるっておい、私ってここにいるのを見られては困るタイプのキャラ、存在してはいけないキャラじゃない!? うわぁ……。どうしよ。なんて困っている私の事なんかお構いなくその姪は中に入ってきて勝手に驚いた。
「お……女」
女? 普通この状態だったら恋人とでも言うんじゃない? ……そういえば、この状態を見られて同じ事を言われた事があった気がする。あの時は確か――そうだ。若い青年の記憶を回収しに来た時、後片付けをしていたら、いきなりその青年の恋人と思われる人が部屋の中に入ってきて、「お……女」と言って怒りだしたのだ。
つまり、この少女は中年男の……
「なに手を出してるのよ!? 私の男に! 」
やっぱりだ……。恋人か。といっても、多分それはこの少女の妄想かまたは一方的な思い込みだと思うけどねぇ。少女に恋する中年男ならあり得るけど、中年男に恋する少女って云うのはやはりなかなかない。といっても今はそういう状況だけど。それでも、両想いはなかなかない。
「えっとその私は……」
私はとりあえず状況を説明しようとしたが、その言葉は少女の「あっ」という叫びに遮られた。
「死んでる……」
その中年男の下いい近づいてきた少女は気づいてしまったみたいだ。それが死んでいることに。ってことは、もしかして私が殺したと疑われるってこと!? ちょっとそれは嫌だわ。ホント。年下の子に悲鳴あげられたらかなり悲しいよ。
「あんたが、殺したのね! ひどい! 最低」
天使に向かって殺したとかひどいとか最低とか、なんかずれてるようなずれてないような……。でも、この状況でそう思わない人間はかなりすごい。
「死ね」
そこまで言われてしまったら少し傷つくんだけど……。死ねって天使に向かって言っても無駄なんだけど。まぁそんなどうでもいいような感想はおいといて、その少女は本当に私を殺そうとしてきた。足元に落ちているカッターナイフ(何でこんなものが落ちているんだろう?)を使って襲いかかってきたのだ。
さすがに私も逃げた。天使は無力だ。だから、逃げることしかできないのだ。それでも少女は追いかけてくる事はないだろう。天使としての私を見かけた人間は、知った人間は、天使としての私を何故かすぐに忘れてしまうのだ。




