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撃滅のピンカーヴィー ~落第少女達の成り上がり~  作者: マノイ
第二章 ソースノ島奪還作戦

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6. 四〇四隊の本当の実力

『敵襲!敵襲!』

『全ての部隊は出撃し、迎撃せよ!』

『繰り返す!全ての部隊は出撃し、迎撃せよ!』


 激しく鳴り響くサイレンと共に、徐々に人が空へと飛び立ち始める。

 それと同時に海岸線に陸軍と思わしき兵が並び始める。


 その数は軽く見回した感じでも攻める側の倍以上は確実にいるだろう。


『劣勢なのは初めから分かってたこと。気にせず突っ込みなさい!』


 ランベリーの指示の通り、四〇四隊は臆することなく島へと突撃する。

 その途中で混線する無線から相手の会話が聞こえて来た。


『おいおい、マジかよ。あんな人数でここを落とせると思ってるのか!?』

『奴らも後が無いのさ。ここで引導を渡してやろうぜ!』

『例の兵器はここまで届かないが、こっちにはエースがいるんだ。死にに来るようなもんだな』

『そのエース様だけど、大陸の方に戻ってるらしいぜ』

『マジで!?』

『何ビビってんだよ。あいつらが居なくても、俺達だけで余裕だろ』

『そ、そうだな。相手は素人みたいなもんだ。負ける筈がないよな』


 どうにも危機感が薄く、負けるとは微塵にも思っていない様子だ。


「チッ、舐めやがって」


 シエンが舌打ちして不快感を隠そうともしないが、怯えるよりかはマシだと思いランベリーは窘めない。


『痛い目見せて、現実ってやつを教えてやりなさい!』

「おうよ!」


 窘めるどころか、士気を向上させるために敢えて同意する。


 するとその流れで更に士気を高めようと思ったのか、地上部隊の男女が会話に割って入って来た。


『はは!威勢の良い嬢ちゃんじゃねーか!気に入った!』

『何よあんたもロリコンなの?近づかないでもらえる?』

『勘弁してくれよケイト!俺はお前一筋だって』

『どうだか』


 軽口を叩き合うことで緊張感が更に中和されたのだが、果たして狙ってやったのか本気なのか。


『おいおい、こんなところで夫婦喧嘩は止めてくれよ』

『夫婦じゃない!』

『夫婦になりたい!』

『あんた後で絶対にぶっ殺す!』

『ひゅー!じゃあこんなところで死ねないな!』


 綺麗にオチが決まったところで、攻撃側の全部隊が戦闘態勢に入った。


「隊長!」

「隊長!」

「…………」


 四〇四隊はミモニーに指示を仰ぐ。


 戦闘が始まれば彼女のビビリ癖は消滅し、戦士へと変貌する。


「練習通り!」

「了解!」

「了解!」

「…………ん」


 シエンとマルが隊長(ミモニー)の腕を離す。


「びゃああああああああ!」


 するとミモニーは急降下して海に墜落してしまいそうだ。


 だが先の戦闘と同じように、墜落寸前で直角に進路変更し、海を割りながら海岸へと飛ぶ。


『はは、馬鹿め!ハチの巣にしてやる!』


 海岸にはマシンガン型魔導兵器が複数設置されている。

 魔力をこめることで、小さな魔力弾が一度に大量にばら撒かれる迎撃兵器。

 人が放つ魔力弾よりも威力は小さくなるが、密度とスピードが段違い。


 その中をミモニーは、やはり最小限の動きで躱しながらスピードを落とさず突撃する。


「死いいいいねええええ!」

『ひぃ!なんだあいつは』

『怖くないのか!?』


 敵兵が驚いている間に、ミモニーは左右の手にそれぞれ魔力弾を生み出し、マシンガンに向けて投擲する。そしてすぐに次弾を生成し、即座に投擲。


『退避!退避!』


 四つの弾は全弾命中し、四つの兵器が破壊された。


『まだだ!これだけ近ければ我々の攻撃でも当たるはずだ!放て!放て!』


 壊れた兵器の代わりに、今度は兵自身が魔力弾を生成してミモニーに向けて放ち始める。

 それらはマシンガン兵器とは違い、一撃一撃が大きく威力が高い。

 しかも人の手で狙いを定められるのだから、容易に相手を撃墜できるだろう。


 敵兵はそう思っていたのだが。


『なんで当たらないんだ!?』

『ぎゃああああ!』

『た、隊長!どうすれ……ぐああああ!』


 ミモニーの手により彼らは一人、また一人と撃破される。

 無数の弾幕を掻い潜り、百発百中で確実に仕留めに来られたら恐怖でしかない。


『耐えろ!耐えるんだ!奴はもう間近だ!流石に至近距離なら撃墜可能だ!』


 ミモニーは砂浜間近まで来ていた。

 敵兵が言う通り至近距離まで近づくのも問題だが、あまりに低空飛行過ぎて砂浜に突っ込んでしまいそうだ。


「びゃああああああああ!」


 だがそこはギリギリで回避することに謎の定評があるミモニー。

 上方へと方向転換し、ぐんと加速して大空へ離脱する。


『た……助かったのか?』

『まさかアレが噂の悪夢の主……?』

『何をしている!逃がすな!撃て!』


 隊長は呆然としてしまった隊員たちの尻を叩き、空へ逃げるミモニーに向けて地上から攻撃せよと指示をする。だがそれはあまりにも酷い悪手だった。


『ぐわああああ!』

『ぎゃああああ!』

『た、助け……』


 ミモニーが去ったはずなのに、次々と撃破されるではないか。


 これは戦争であり、ミモニーは単騎ではない。


 とはいっても、四〇四隊の仲間達が降りて来たという訳ではない。


『おらおらおらおらー!』

『私達のことを忘れないでね!』

『彼女が切り拓いてくれた道、絶対に突破するぞ!』


 エンジン音と共に海からやってきたのは東部中央から攻める地上部隊。

 ホバーボードと呼ばれる、海面から少し浮く簡易水上バイクに乗り、そのハンドルの中央から魔弾を生成して海岸沿いの敵軍に対して連射する。両手をハンドルから離さなくても攻撃可能な上に機動力が抜群なため、戦争における海上歩兵の戦力として重宝されている。


『やった!撃破した!』

『俺達が……俺達なんかが敵を圧倒してる!?』

『いける!いけるぞ!』


 彼らの多くは決して優秀な戦士ではない。

 だがそんな彼らであっても、奇襲により陣形が整わず、しかもミモニーによって半壊させられ、更には注意を上空に向けてしまった敵軍相手であれば無双できるというもの。


『四〇四隊!援護感謝する!地上は我々に任せて空の敵を頼む!』


 その言葉を受けてシエンが苦笑する。


「別に援護する予定なんて無かったんだけどなぁ」


 暴走した隊長(ミモニー)が勝手に特攻してしまっただけのこと。


「そうかな。隊長のことだから、無意識で一番苦しいところに風穴を開けようとしたのかもしれないよ」

「はは、確かにな」


 もちろんそんなことは無く偶然だ。

 素面なミモニーが聞いていたら涙目で否定するに違いない。


『こら!敵に狙われているのよ!集中しなさい!』


 シエンとマルに対してランベリーから注意が入った。


「わーってるよ」

「この程度の相手、避けるだけなら簡単よ」

『くそ、何なんだよこいつら!』

『全然当たらねぇ!』


 ミモニーが地上を攻めている間、シエン達は空の敵がミモニーを襲わないように注意を引き付けていた。


「~~~~♪」

『鼻歌だと!?馬鹿にしやがって!』


 中でも一番激しく狙われているのがトサインだが、彼女は敵の攻撃を避けるのを楽しんでいるかのように、軽々と空を舞っていた。


「びゃああああああああ!」


 そんな彼女達の元へと隊長が戻って来た。


「来たか!行くぜ!」

「お遊びはここまでよ」

「~~~~♪」


 三人の動きが大きく変わる。

 これまでは敵の動きに合わせて飛んでいたが、ミモニーを追う形になった。


『逃げる気か!?』


 勢い良く上空へと飛ぶ四〇四隊を逃がすまいと敵飛空兵が追ってくる。

 もちろん彼女達は逃げるつもりなど毛頭ない、単に隊長の動きに合わせただけ。


 いや、それだけではない。


 シエン達は突然ミモニーを追うのを止めて下降し、敵兵の迎撃に向かう。


『馬鹿め!それだけの人数で何が出来ると……ぐわああああ!』


 人数差は三倍以上。

 しかし実力には圧倒的な差があった。


 敵兵がシエンを仕留めようと魔力弾を放とうとしたその時、いつの間にか急転回して落下して来たミモニーがその男をあっさりと撃墜したのだ。


「おらおらおらおらぁ!」


 それと同時にシエンが弾幕を放つ。


 弾幕と言っても無差別なものではなく、三つの魔弾を三角の形で一セットにしたものを全ての敵に向けて狙いを定めて放ったのだ。


『はん!この程度!』

『うお!危ねぇ!』

『ぐっ……掠ったか。だがこのくらいなら……』


 シエンの弾幕では誰一人撃破できなかった。

 だがそれで良い。そもそも倒すための攻撃ではない。


「ざ~んね~んで~した~」

『な!いつの間に!ぎゃああああ!』


 相手の動きを牽制すると共に、掠って動きを止めてしまった相手をマルが仕留めるという役割分担だったのだ。


『逃げ……なんて精度だ!』

『気をつけろ!他の奴らも手練れだぞ!』

『くそ!くそくそくそくそ!』

『見た目に騙され……ぎゃああああ!』


 初戦で情けない姿を見せてしまったシエンとマルが、絶妙のコンビネーションで敵兵を撃ち落とす。


 これこそが彼女達の本来の実力だ。


 個々の力が歪で脆くとも、組み合わせることで実力以上の力を発揮する。


「びゃああああ!トサインちゃん!変身して敵を倒して!」

「ん!」


 敵軍はまだ気付いていなかった。

 四〇四隊にはもう一人、とんでもない才能の持ち主がいることを。


「とらんすふぉおむ」


 眩く光り、緑の妖精へと変化したトサイン。


「しるふぃーど、いきます」


 前回は飛ぶだけだったけれど、隊長からの指示があれば話は別だ。


『く、来るな、来るなああああ!』


 敵兵が魔力弾を放ってくるが、トサインは無駄にその魔力弾の周囲を旋回しながら突撃し、すれ違い様にサッと小さな魔力弾をぶち当てる。


『ぎゃああああ!』

『は、疾い!』

『ピンクといい、緑といい、何なんだよこの動きは!』

『逃げきれ……ぐわあああ!』


 一人、また一人と圧倒的な速さで殲滅するトサイン。


「あたしらを忘れて貰っては困るぜ!」

「はい終~わり」

『くそ、くそくそくそ!』

『残りは……え、俺だけ……ぎゃああああ!』


 ものの数分。

 四〇四隊の活躍により解放軍は東部中央を制圧した。

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― 新着の感想 ―
初戦でトサインが遊んでいたのは、ただ指示がなかったから?w 皆の成長があまりに著しいけれど、これは初戦が実力を出せていなかっただけなのかな。
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