29. より高みへ
「びゃああああ!なんでええええええええ!?」
崩壊したユーイ海岸。
その上空でミモニーがいつものように暴走していた。
「今日も元気にやってるわね」
その姿をランベリーは地上から見上げている。太陽の光が目に入らないようにとしているが眩しそうだ。
「何度見てもポンコツにしか見えないのに、アレが本番になると悪魔に変貌するのだから不思議なものよね」
画面を通じて彼女の戦いを最も近くで見ているランベリーであっても、未だに普段と戦時のミモニーの違いに慣れていないようだ。
「おっといけない、こんなことしている場合じゃなかったわ。遅れたらオスカーにどやされちゃう」
ランベリーは作戦会議のために、臨時作戦会議所となっている簡易テントに向かっていた。周囲では復興兼前線基地構築のために多くの人が汗水流して働いている。
多くの人が死に、ユーイ海岸の集落も守れなかった。
それゆえ作業は暗い雰囲気になりそうなものだが、そうはならない。
「びゃああああああああ!」
彼らのエースが空を面白おかしく飛び回っているからだ。見事にシリアスをぶち壊しにしているのだが、そうなることを狙ってランベリーが彼女達に戦闘訓練をするようにとアドバイスしたのだった。
「この調子なら次の戦いもいけそうね」
勝てるかどうかは分からない。
しかし攻める心の余裕は出来そうだ。
狙い通りに活気があることに満足しながら、ランベリーは叫び声をBGMに前に進んだ。
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「隊長!」
「隊長!」
暴走するミモニーを、シエンとマルがどうにか空中でキャッチする。
「あ、ありがとうございます」
目が回りそうになりながら、二人に両腕を掴まれたミモニーはどうにかお礼を伝える。
「うう、少しは飛べるようになったと思ったのにどうして……」
ユーイ海岸攻防戦で、ミモニーは最集中モードでなくても大まかではあるが狙った方向へと飛べるようになった。それを再現してみようと練習しているのだが、結果は芳しくなかった。
やはり極度の集中や精神の昂りが必要なのだろうか。
「普段は私達にお任せください!」
「隊長を目的地まで確実に輸送いたします!」
「~~~~♪」
「そしてどうして二人はまた敬語に戻っちゃったの!?」
ミモニーに対して砕けた表現をすることで信頼を示した二人だったが、戦争が終わったらいつものように上官に対する話し方に戻ってしまった。
別に彼女達はそうしなければ誰かに怒られるわけではない。
四〇四隊は特別であり、少女的な仲の良さが練度に繋がるのであれば文句は言われないだろう。
ただ単にミモニーの反応が面白いからそうしているだけであった。
「トサインちゃんは相変わらずマイペースだし、うう、こんなんでこれから大丈夫かな……」
「ご安心を!私達は隊長に一生ついていきます!」
「全身全霊を籠めてお仕えいたします!」
「気持ちが重いよ!逆に不安だよ!」
揶揄われて顔を真っ赤にして焦るミモニー。
そんな彼女の様子にシエンとマルは安心していた。
一歩間違えれば失っていたかもしれない命が、こうして笑ってここに在ってくれているから。
「(次こそは隊長の力を借りずになんとかするぜ!)」
「(隊長だけには任せてられないよ)」
そして心の中で更なる活躍とミモニーの負担軽減を誓い、訓練に明け暮れていた。
「よ、よし、もう一回やってみる」
だが強くなりたい気持ちはミモニーだって負けていない。
この先負けないために。
一人でも多くの人を助けるために。
一日でも早く大陸を取り戻し戦争を終結させるために。
「皆でまた一緒に……!」
古き友と、新たな友。
全員で『生きて』笑いあえる未来を求め、ミモニーは再び大空へと飛び立った。
「びゃああああああああ!」
この悲鳴が聞けなくなる日こそが彼女の願いが叶う日になるだろう。
敵の主力兵器を無効化し、エースを難なく撃破したミモニー。
しかも未だ研鑽を怠らず更に強くなろうと必死である。
彼女がいれば、いや、彼女と仲間達がいれば、その日が来るのはそう遠くない未来なのかもしれない。
ということで打ち切りEndです(涙
力不足ですね、ごめんなさい。
とはいえ、内面的な意味で描きたかった最初の山場(ミモニー覚醒)までは描けたことは良かったかな。
次回作をよろしくお願いします。




