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4話 再登場

「よお、元気だったか。」

そいつは気安く声をかけてきやがった。


「誰ですか?」

顔を布団の中に入れたまま答える。


「オレ様だよ。ザジだ。」


そんなんわかってるわ。


「なんか不機嫌だな?」


お前がそれを言うか。悪魔ならもっと空気をよめ!ていうか、オレの心の中を察しろ!


「オレ、いまから寝るんで。」

“おやすみ”。もう邪魔しないでくれ。オレの睡眠も人生も。


「いや、オレ様はお前さんの何も邪魔する気はないよ。」

軽い調子でのたまう悪魔様。


「なら、さっさとどこかに行けよ!」

叫びながら布団から顔を出してザジをにらみつける。

そこには変わらず、ライオン頭のザジが立っていた。


だけど何かが違う。


なんだこの違和感は…?


「お前さんも気づいたか。」

うれしそうに笑みをもらすザジ。


「“まわし”はしていないのか…?」

思わずつぶやいていた。


ライオン頭の下は、白いタンクトップにホワイトジーンズ、そしてスニーカー。

どこかで見たことのあるスタイル…


「フフフ。フレディだよ。」

最初の“フ”3つはいらないだろう。そう毒づきながら念のためたずねてみる。


「フレディって、まさかフレディ・マーキュリーか?」

鷹揚にうなずくザジ。なんかイラっとした。


「なんでお前がフレディの格好してるんだよ?」

聞かずにはいられない。ていうか、理由によっては一発なぐってやろうと思って布団から起き上がる。


「おいおい、物騒なこと考えるな。別にふざけているわけじゃない。」

あわてて答えるザジ。


「じゃあ、なんでそんな恰好してるんだよ。」

オレは立ち上がっていた。


「お前さん、見かけによらず血の気が多いな。わかた。今からこの衣装の説明をするから、一旦落ち着け。」

とりなすように両手を前に出して、オレを落ち着かせようとするザジ。


「じゃあ、説明してくれ。」

オレは布団の上にすわりこんですごむ。


「そんな怖い声出すなって。いいか。オレ様はいまツアーの真っ最中なんだよ。」

自慢げに答えるザジに、またイラっとしたが先を聞きたいのでこらえる。


「ツアーってなんのツアーだよ。」

興味ないけど、一応聞いときますという体でたずねる。


「“フレディ・マーキュリー魔界ツアー20××”だよ。」

どや顔のザジと言葉を失うオレ。


「ちなみにオレ様は、ツアーのサポートメンバーとしてギターを担当している。」


それ、ブライアンメイにポジションじゃねえか…


「フレディはオレのソウルメイト(魂の友)だ。」

突然のカミングアウト。


ライオン男に後光がさして見える。

思わず目をこするオレ。

眠気も吹き飛ぶとはこういうことか…


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