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38話 ホームルーム
卒業式が終わったあと卒業生は教室に戻り最後のHRを受けた。
HR終了を告げるチャイムが鳴り始めたとき、担任がオレの名前を呼んだ。
「持田。先生も“魂”磨くからな。」
そう言うと涙を流しはじめた。
あの、つかみどころのない、飄々とした担任が泣いてる…
みな顔を見合わせながら同じことを思っていた。
何人かの生徒もつられて泣き始める。
「持田の奇跡だ…」
だれかがつぶやいた。
「最後の最後にもう一度、奇跡が起きた…」
その一言がきっかけで沸き起こる“持田”コール。
もうやめてくれ!
オレは盛り上がりMAXの教室をこっそりと抜け出した。
オレが教室をでると目の前に天音が立っていた。
「お兄ちゃん、“すごくかっこよかった”ってきいたよ。」
満面の笑みの天音。
「誰から聞いたんだよ。」
オレは少し狼狽しながらたずねる。
「ないしょ!」
いたずらがばれた子どものような表情に思わず苦笑してしまうオレ。
「それからお兄ちゃん、これ神乃先輩から預かってきてるから。」
天音はそう言うと、一通の白い封筒を手渡してきた。
「ちゃんと読んであげてね。」
そう念押しすると、“天使”のような軽やかさでオレの前から走り去る。
ふるえる手で封筒をあけると小さなメモが入っていた。
“図書室で待っています”
そこには柔らな文字でそう書かれていた。




