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27話 村田

オレたちが下足室に着くと、村田と他二人が待ち構えていた。


「よお、兄妹仲がよろしいことで。」

村田が声をかけてくる。


無視して通り過ぎようとすると、他二人が行き先をふさいできた。


「“もてたいぞう”、よくも俺に恥をかかせてくれたな。」

村田が憎々し気に睨みながらからんでくる。


「先輩、そう言うの“負け犬の遠吠え”って言うんですよ。」

オレが何か言う前に天音が反撃した。


「おい、お前。ちょっとかわいいからって調子のってんなよ。」

村田は言いながら天音の髪をつかんだ。


予想もしない展開に固まってしまうオレ。


「いたい、はなして!」


天音の痛がる声に我に返ったオレは、髪をつかんでいる村田の手首をつかむ。


ありったけの力をこめて手首をしぼりあげる。


村田の手がけ痙攣し、赤色に変色しはじめる。


村田の手が天音の髪を放した。


すぐにオレの後ろに隠れる天音。


オレはまだ手首を放さない。


「てめえ、放せよ。」

真っ赤な顔で殴りかかろうとする村田。


その時。


“お前らそこでなにしてる!”


遠くから声が聞こえる。


だれが呼んだのか、先生がこちらに向かってきていた。


「村田、体育の権田だ。やばいぞ!」

山本があせった声で警告する。


田中はすでに逃げ出している。


「お前ら、俺を怒らせたことを絶対に後悔させてやるからな。」

村田はそう捨て台詞をはくと、田中の後を追って走りだす。


あわててそれについていく山本。


「お前ら、なにかもめていなかったか?」

権田先生がたずねてきた。


「先生、私たち何ももめていないです。ちょっとふざけていただけです。」

しれっと言い訳する天音。


わが妹ながら恐るべし。


「そうか。それならいいんだけどな。それより持田。お前、陸上に興味ないか?」

突然の勧誘に二人で顔を見合わせる。


「そういうのは、マネージャを通してください。」

意味不明の返答をして、その場を立ち去るオレたち。


「持田、そのマネージャはどこにいるんだぁ」

追いすがるようにきいてくる権田先生。


「先生。つづきはWEBで確認してください。」

天音が笑いをこらえながら答える。


二人で校門を出ると、久しぶりに天音と一緒に下校する。


しかし気になることが一つ…


オレのすぐ横でうれしそうに話す天音がいるにも関わらず、スラのリアクション全くない・・・


どうしたスラ!?

話しかけても応答もない。

オレは嫌な予感を抱えながら家路についた。



オレが部屋に入るとスラが姿を現した。


村田たちと出会ってから、何の反応もなかったので少し安心する。


「なんだよスラ、黙りこんで。」

何も話してこないスラに違和感を覚える。


よく見ると体の表面が波打っている。

感情が高ぶっている証拠だ。


(許さないっす…)


村田たちのことか?


(絶対に許さないっす…)


だんだんと呪いの言葉のように思えてくる。


(天音さんにした仕打ち、万死に値するっす…)


万死って、大げさすぎだろう。


(伊蔵さんは、腹が立たないっすか?天音さん痛がっていたっすよ。)


スラのその言葉にオレの怒りも再沸騰しだす。


そうだな。許せないな。


(あいつらに、悪魔を怒らせたことを絶対に後悔させてやるっす。)


後悔って、お前なにをやらかす気だ?


(それはこれから検討していくっす。それより伊蔵さん。一つお願いがあるっす。)

珍しくスラからのお願いだった。


なんだよ。


(伊蔵さんに迷惑はかけないので、村田たちのことを、おいらに任せてもらえないっすか。)


なんだ、そんなことか。いいよ。全部お前に任せる。


(ありがとうっす。)


そのかわり、あんまり無茶するなよ。


(大丈夫っす。一切の証拠は残さず、完璧にやり遂げるっす!)


一体何をしようとしているのか、若干の不安は残るが、ともかくオレはスラを信用することにした。


正直、村田たちへの怒りは消えそうにもないけれど、オレより怒っているスラを見て、逆に冷静になっていた。


悪魔を怒らせた村田たちの運命はどうなるのか…


オレは部屋の中を跳ね回るスラを見ながら、彼らの未来を想像せずにはいられなかった。

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