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13話 手放す

スラが来た次の日から世間は8月に突入した。


そしてオレの生活も新しいステージに突入しそうだ…


「というわけで、9月までの約一か月間、このスケジュールで活動していくっす。」

体をプルプルふるわせて、朝からテンションMAXのスラがスケジュール表を掲げつつ、高らかに宣言する。


【スケジュール】

6:00  起床

6:30  公園までウォーキング&着いたらストレ       

      ッチ

8:00  朝食

8:30  休憩

9:00  図書館へ移動し学習&読書

12:00 昼食&休憩

13:00 トレーニングジム(市営)でトレーニン

      グ

17:00 帰宅

18:00 夕食

19:00 自由時間

21:00 就寝


っておい!

なんだこのスケジュールは!

21時就寝?

オレは小学生か!


「睡眠時間は何よりも大切っす。伊蔵さんはまだ成長期っす。しっかりと睡眠を確保することで、体も魂も健康になるっす。」

力強いスラの説明に何も言い返せない。


「就寝時間のことはわかった。でもな、昼からのトレーニング4時間はやりすぎじゃねぇ?」  


そうだ、やりすぎだ。公園までの道のりでヒーヒー言ってたオレにはハードル高すぎだろう。


「それも大丈夫っす。最初は25メートルのプールをウォーキングするだけっすから。それに休憩もたくさん入れるつもりっす。」

事もなげに説明してくれるスラ。


「でもな…」

まだ食い下がろうとするオレの言葉をさえぎるようにスラが話し始める。


「伊蔵さん。いや、お兄様。」


そこは伊蔵さんでいいぞ。


「では、伊蔵さん。実は“覚醒の種”が芽をだしているっす。」


まじか…


「まじっす。不安な気持ちになるのはわかるっすけど、芽を出した直後が大事なのっす。体と魂はつながっているっす。そして魂を磨く方法の一つが体を鍛えることっす。魂を磨くことは、芽の成長には欠かせないのっす。」

一気に言い切るとオレを見つめるスラ。


もちろんスライムに目なんてない。


でも真摯なほどにあつい眼差しを感じずにはいられなかった。


「おいらを信じてほしいっす。」

オレの中にもあついものがこみ上げてくる。


「わかった。スラを信じるよ。色々文句言ってごめんな。」

うれしそうに弾み始めるスラ。


オレはそれを眺めながら自分の胸に手をあてていた。

“覚醒の種”が芽を出している?


何の自覚もないことが余計にリアリティを感じさせる。


ともかく、スラを信じて進んでいこう。

オレは“不信”という弱さを手放すことを決めた。


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