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【天創学園】

「さて、今日から学園生活。ワクワクがとまんねぇ!」


俺は、夜星裕翔。至って平凡?な新高校生だ。

まぁ、俺はこの世界では平凡ではないのかもな。その理由は、俺が「無能力者」だからだ。

…この世界には能力という特殊な力が存在する。今から大分昔、急に人類が能力を使えるようになったのだとか。嘘か本当かは誰にもわからねぇけど。日常を豊かにしたり便利にするために使ったり、はたまた戦闘に使ったりもできる。それが能力!だが決してこの能力は人を殺すことはできないんだってさ。摩訶不思議だな。で、能力は基本的に一人一人に備わっているのに対し俺は持っていない。いわゆる「無能力者」ってわけだ。それだけで差別されたり、陰口を言われて生きてきた。まぁ、それでも俺は俺らしく、楽しく人生を謳歌してる。

そして今日もその楽しい人生の新しい1ページなのだ!

知りたい?ん?知りたいか?仕方ないなぁ、それなら聞かせてやろう!!!…おっほぉん!何故なら……俺はかの有名な「天創学園」に入学するのだから!!!!


天創学園とは、この世界ではとてもとても有名な能力に特化した学園!でなんでその学園を受けたかというと…家が近かったからだ★面接のときは死ぬほど緊張したぜ…学園長と一対一なんだぞ!で合格不合格も学園長の独断!なぜ学園長がこの無能力者を歓迎したのかはわからないが…まぁ、どんな状況になっても俺は楽しみ尽くす!

裕翔はきれいでピカピカな制服に着替え、新しい鞄の中身を点検した。忘れ物があったら困るから。

ふと時計を見ると出発の時間に近づいていた。

「さて、そろそろ外に出るか。」

そう、決めた俺は階段をドタバタと降り玄関に向かう。「いってきま〜す」と一言だけ言い、新しく買ったお気に入りの靴を履いて歩き出す。

ここから天創学園はそう遠くないため徒歩で向かっていく。しばらく歩いて行くと、天創学園の制服を着ている人が少しずつ見えてくる。

「この人達も天創学園の人たちなのかぁ。」

(もしかしたらこの中にも同じクラスの人がいるかもなんだな。)

そう独り言を呟き歩いて行くと、小さく見えていた天創学園が段々と見えてくる。

「おぉ………あれが天創学園か!」

「すげえぇ…めちゃくちゃデカいな!」


俺は大きな校舎を見て心を弾ませた。速歩きで天創学園の門に近づくにつれ騒ぎ声がする。声がする場所には大きな人集りができていた。

(いったい入学初日から何なんだ?)

きになった俺は人集りの方に行ってみる。そうすると、そこには天創学園の制服をきている一人の男が眩しいくらいに光っていた。

「きゃー!かっこいい!360°どの角度でもお美しい!」

「あの人、天創学園にご入学いたしますの!?命が持ちませんわ!」

(きゃー!♡きゃー!!!♡)

周りの新入生女子達はそいつにメロメロで、騒がしく愛を叫んでいる。

(よく分からなかねぇー。あいつのなにがいいっていうんだ。)

きになった俺はそこら辺にいる女子に聞いてみる。

「あの、…あの人誰なんですか?」

その女子は「え、知らないの」と言う顔で俺に視線を向けてきた。そんなにオーバーリアクションしなくてもいいだろぐらいにな!

叶璃とあ様を知らないの!?嘘でしょ…。なんて可哀想な人…。」

叶璃…だと?誰だそいつは。聞いたことがねえ。

「叶璃?誰だそいつは」

さらに気になって質問を続ける。

「あの方は小学校、中学校ととても優秀な成績を収め、現在の頭脳は東大生とも並ぶくらい頭が良いと言われているの!そしてあの方はチート能力者!!ものすごく強い能力をもっているのよ!これは神からの恵み、ということで最近って言っても数年前からかなり有名なのよ。」

「そ、そうなのか。」

そんな有名なのか。まっったく知らなかった!ただ、その叶璃は女子達に興味無さそうだなぁ。なんか女子達かわいそw。で、あいつはどんな能力を持っているのか気になるな。ま、俺は「無能力者」だから極力関わらないようにしないとな。

そんなこと思って学園に向かおうとすると、叶璃は俺の方に近づいてくる。叶璃は俺の目の前に立ち塞がり、明るい顔とは裏腹に少し低い声で言った。


「……君、無能力者だよね?」

急に周りが静かになった。

俺は無能力者だと誰にも言わずに卒業までいるつもりだったのに…初日でバレてしまった。

俺は焦って感情が顔に出てしまった。

「図星??」

叶璃がそんなことを言うと周りの人は

「あの子、無能力なのw?」「無能者なのに天創学園に入学するの?」「やばすぎwww」

とどんどん陰口を言われる。

(ここは強く行こう。俺は俺の生き方で良い。間違ってない。)

そう心に決めて声を出す。

「そうだが。それが何だ?」

俺は落ち着きを取り戻し、真剣な顔でそいつに質問をする。

だが叶璃の口から出た言葉は

「いいや。なんでもない。ただ…無能力者だったのなら差別をここ数十年ずっと受けてたのかと思い…可哀想だと思ったんだ。」

なんだこいつは?俺を心配してるのか。けななしか。それに無能力者だって舐めてるな。こいつ。とてもイラついた俺は叶璃の左頬を拳で強く殴った。

周りの奴はびっくりし、怒りながら俺は言った。

「無能力者だからなんだ。チート能力者?成績優秀?笑わせるな。俺はお前を絶対に超えて、お前を潰す。そして無能力者も最上級能力者も関係ない平和な世界を俺が作ってみせる。無能力者を笑って差別してきた奴らも絶対に俺が後悔させてやる!」

怒りで少しばかり早口になってしまった。だが言いたいことを言えて凄くすっきりした。

全てを言い終えると少し間が空いて叶璃は笑出だした。

「確かにチート能力者で、成績優秀でもいつか衰えてしまう。そういう元最強達を俺は何人も見てきた。ただ…」

そう言った後、そいつは俺の耳元でそっと

「…俺を倒せると簡単に思うなよ。下民。」

と目の光をなくして言った。俺は怖くなり、後を向いてまた門に向かって歩き出した。

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