【⠀白き通過点。 】
【⠀白き通過点。 】
白。どんだけ肝が座ってる人間だろうと
この場所に来たらその言葉が口から零れるだろう。
目が覚めると俺は見渡す限り真っ白なその空間に立っていた。
「やぁ。」
俺が突然の景色に唖然としていると同時に
先程まで何も無かった目の前に、男が座っていた。
人間、こうも立て続けに頭のおかしい事柄が起こるものなら徐々に慣れてくものかも?頭に過った。が、
「……ここは、?どこなんだ、?今どうなってるんだ?」
前言撤回。
俺の中の大人な部分が妙に落ち着いていても、
俺の中の子供な部分が知りたがっているらしく
言葉が全速力で口腔を走り抜けた。
「まぁ、そうなるよね。普通。」
男はそういうと、僕にニコッと笑いかけた。
いやぁそれにしても美男子。今この状況に置いて、
そんな感想を抱く暇なんてある訳もないのは分かっているが
目の前にいる男があまりにも顔が良すぎるので驚いた。
ジ○ニーズとか比べ物にならんくらいですわ。
とまじまじと男の顔を見つめていたら男は笑顔で話しかけた。
「僕は生と死の仲介人。魂の管理者。
"シャニ"だよ。よろしくね。」
生と死?魂の管理?何言ってんだこいつ。
顔にステータス全振りで、脳みそは中学2年生ですか?おい。
「生と死って、俺は死んだのか?」
今自分が置かれてる状況から何となくは察していたが、
とりあえず聞いてみた。
「そう、だね。色々混乱することがあって
君も大変だろうけど、結論から言うと君は亡くなったよ。」
まぁだろうなと思った。俺は続けて口を開いた
「それで?俺って以外と善良な人間だったと思うよ?
横断歩道で困ってるばあちゃんとか結構助けてたし。
天国行きだよね?そこんとこ。」
男はフフっと笑って僕に目を合わせる。
「君たちの世界の宗教的な考えだったら死後の世界はそう語り継がれているよね。でも残念。天国や地獄なんて位置づけはないよ。もちろんそう君が感じる世界もあるかもしれないけどね。」
なるほど、、、?天国や地獄がない?
でもそう感じる世界もある?つまりは色んな世界が無数に
存在する、、?あぁもう訳が分からん。頭が痛え。
「やっぱり、中々すぐには馴染めない情報だからね。
大丈夫だよ。今から詳しく説明するから」
男はそう喋ると、フーと息を吐き、息継ぎをしてまた喋る
「君が生きていた世界は、沢山の世界の中の1個でしかないんだ。君が進もうと考えた時、後ろに進む君、左進む君、右に進む君、はたまた斜め43°右斜めに進もうとする君とかたくさんの選択肢が別に用意される訳だ。そういうことを考えていたら世界の可能性って無限大だと思わない?」
はぁ、俺は納得と意味不明の2つを混ぜて飲み込んだ気分に陥った。
「あんたって、死んだ人間全員にこういう話してんのか、、?なんか大変だな、」
意味がわからなすぎて同情しちまった。
「全ての人間が等しく、僕に会える訳じゃないんだ。
例えば…そうだね。」
その瞬間まで無だった手のひらに白い球体を浮かび上がらせ真上に優しく投げた。
「僕が物体を真上に投げた時
何もしなければ物体はそのまま僕の手のひらの中に戻ってくる。でも物体が宙に浮いている間、風でも吹こうものなら物体は始まりとは違う場所を終着点とするだろ。風が全ての物に狙って吹くなんて有り得ない。
風はその意志を持たず、無作為に、そして偶発的に吹くものさ。
僕が君を見つけたのか、君が僕を選んでくれたのか、
君と僕がこうして会えたのも"運命"とか言えちゃったりするのかな?
なんだか照れるよ。」
俺は人生で初めて、いやもう終えてる人生だから今この状況が人生と言えるかはわからんが、それでも今の今でで、初めてその"男らしき相手"に対して"可愛いな"という感情が生まれた。
まだひとつも理解していないこのおかしな空間の中で。




