戯曲
俺はごく普通の高校生、疾風沢 雷帝だ。しまった!自己紹介してる場合じゃねぇ!学校に遅れちまう!!
曲がり角を曲がったところで女子の姿が見えた。その女子も遅刻しそうだったのか、朝食の味噌汁の中にそのままご飯を入れて、その上に漬物と焼き魚を乗せたものと箸を持っていた。
彼女の姿は美しく可憐で思わず見とれてしまい、気付いた時にはその女子とぶつかる直前であった。
「あ、あぶない!!」
俺は咄嗟に止まり、女子とぶつかることはなかったがうっかり手に持っていたバターマシマシジブリ風目玉焼きトーストを飛ばしてしまった。バターマシマシジブリ風目玉焼きトーストは弧を描き、女子が持っていた味噌汁ご飯の椀にぶつかり、体勢を崩した女子の上に味噌汁がひっくり返ってしまった。
「ごめんなさ……うっ!!」
俺は急に胸が締め付けられる感触を覚えた。服の上からでもわかる大きな胸、つぶらな瞳、服に味噌汁がこぼれたことで透けていることも相まって俺の中の漢は非常に興奮している状態だ。
「こ、こちらこそごめんなさ……うっ!!」
(何なのこの人……!?よく見たら意外と筋肉質じゃない!!しかも眼鏡かけててショタ声だし、性格がドストライクだわ!!きっと途中で形勢逆転して攻めになるタイプの受けね!!)
俺は興奮を顔に出さないようにハンカチを取り出し、その豊満な胸を何の違和感も抱かせぬよう自然に触ろうとした。柔らかい感触、俺が手を動かす度に甘い声が聞こえてくる。ここで「どうしたんですか?」などと言ってしまえばこの感触を味わえなくなる。俺はそんな声を聞こえないふりしてひたすらハンカチで拭くと見せかけて豊満な胸を触りつくした。
「っっ……!あの……!そこっ……!」
ずっと拭き続けているのになぜかさっきよりも濡れている気がする。俺が顔をあげてみてみると俺が触っていたのは女子の胸ではなく股であった。俺の中の漢はさらに爆発しそうなほどにはちきれそうであった。
「も……もうダメ……あっ!!」
女子は痙攣し、体が震えている。そして俺の懐に仕込んでいた牛乳パックをうっかり潰してしまい牛乳が女子の身体にかかってしまう。白濁にまみれた彼女を見て俺の中の漢は限界をとっくに超えていた。
「一回だけなら……」
俺はズボンに手をかけると女子が腕を伸ばしてそれを止めた。
「うち……近いから……うちに来て……?」
俺は俺自身でも制御ができないほどに興奮してしまった。女子の腕を払うと俺の中の漢は解放されてしまった。
それ以降は至極の極みであった。時間というのはあっという間にすぎ、終わるころには俺も女子も前より濡れてしまっていた。
「初めてだったのに……」
そんな女の幽かな呟きは虚空に消えた。俺は煙草をふかしながら服を着る。
そしてポケットから3万円取り出すと、まだ横になっている女の身体に叩きつけてその場を去った。