現代で付与を授かった!やったるぞー!
短編です。宜しくお願いします
ある日僕が公園の前を通った時の話なんだが、テレビでも見たことないような神々しい美女が公園のベンチに座っていたんだ
「こちらを凝視しているそこのお兄さん。こっちにいらしたら?」
おっと、不躾にガン見しすぎてしまったようですね
「すみません、あまりにもお綺麗で見すぎてしまったようです。」
「いえ、いいのよ。私も貴方に用事があったから。」
「初めましてだと思うんですが…?」
こんな美人会ったら忘れないと思います
「貴方にこの石をあげるわ。綺麗でしょう?肌身離さず持ってたら良いものが手に入るわよ。貴方が今不安に思っていることを解決できるかもしれないものがね。」
不安か…。母さんの体調と自分の将来の事ですね。
「すみません、お姉さん……っ!?居なくなった?」
う〜ん、取り敢えず騙されたと思って持っておくか。
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―1週間後―
ー…さん、…匠さん、三崎匠さん!ー
ん?なんでしょうか?
ーどうも、1週間ぶりですね。公園でお会いしたものです。ー
あぁ、とても綺麗だったお姉さんですね。僕は寝たんだと思っていたんですが違いましたかね?
ーいえ、合っていますよ。私は貴方の夢に出てきているだけです。貴方はきちんと肌身離さず石を持ってくれていたので力を授けます。ー
授けるって…
お姉さんは神様だったんですか?
ーえぇ。この世界のではないですけどね。
貴方に授ける能力は《付与》と《鑑定》です。ライトノベルを読む貴方だったら、有効活用してくれると信じています。この力があなたの助けになることを祈っていますよ…ー
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はっ!
「すごい夢だったなぁ」
試してみるか?いやでもな〜、誰かに聞かれてたら相当恥ずかしいぞ?まぁ、こっそりと…
「自分を《鑑定》」
【名前:三崎匠】
【年齢:23歳】
【状態:良好】
【その他:付与、鑑定】
「付与を《鑑定》」
【付与:物に自由自在に効果を付けることができる。ただし、命あるものには付けることができない。】
これはすごい能力だなぁ。
「取り敢えずスポドリでも飲んで落ち着くか。」
そう言って僕はリビングに向かうのだった。
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「おはよう、匠。今日はゆっくりだったのね。土曜日だからって寝過ぎは駄目よ?」
「おはよう、母さん。夢が衝撃すぎてさ。鑑定って言うスキルが使えるようになったって言われる夢だったんだー。母さんに使ってみても良い?」
「いいけど、無理だと思うわよ?夢は夢なんだから。」
「じゃあやってみるね(笑)《鑑定》」
【名前:三崎麻美】
【年齢:45歳】
【状態:肺ガン】
【その他:ステージⅢ】
!?…母さんが肺ガン?
「…ねぇ、母さん。体調におかしな所とかってない?」
そう僕が聞くと母さんは明らかに動揺した様子だった。
「えっ…?な、なんの事?」
「例えば…、“ガン”とか、ね」
「!?まさか本当に鑑定ができたの?」
「そうだよ。ステージⅢなんだね…。」
「えぇ、そうよ…。ごめんなさいね、黙ってて。」
「もう一つ、夢の中で貰った力があるから…。ちょっと待っててね。」
僕は冷蔵庫に有ったスポーツ飲料を取り出し、2つのコップに分けて、1つ目には『ガン完治』、2つ目には『切り傷完治』を付与した。
「母さん、もう1つの力は“付与”って言うんだけど、見てて」
そう言って自分の指を軽く切って見せた。
怪訝そうに見る母さんに
「付与っていうのはね、物に効果を付けることを言うんだけど。今回はデモンストレーションで、この傷を治すから。それで治ったら、母さんのガンに効くように付与したもの、飲んでくれる?」
とお願いした。
「それはいいけど、本当に治るの?ラノベじゃあるまいし…。」
「じゃあ見ててね。」
ーゴクンー
付与したドリンクを飲むと、みるみるうちに傷が塞がっていった。数秒すると傷があったとは分からないほどだ。
「ね?母さん。治ったでしょ?これ飲んでみて。あと病院に行って見てもらってね。」
怯えながらも、覚悟した様子で一気飲みをした母さん。
「母さんの状態を《鑑定》」
【状態:良好】
ホッと一安心だ。
「なんだか体が軽くなったわ。丁度今日病院の日だったから、みてもらってくるわね。」
そう言って母さんは出かけていった。最近ため息の多かった母さんの明るい表情に、安堵のため息をついた。
僕はこの力を使って、人を助けたり喜ばせたりしたい。
幼い頃の夢だった、人の為になる事をしよう。そう決意したのだった。
そして僕は行動を開始した。
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部屋にあった絨毯と、庭に敷いてあった石ころを数個持つと、近所の小さな公園に向かった。
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公園は子どもたちと保護者で賑わっていた。
絨毯を丸めて持っている僕の姿はどうやら目立つようで、子供に声を掛けられる。ちなみに僕は、人畜無害そうな穏やかな顔をしているらしい。幼馴染みによるとだが。
「ねぇねぇ、おにーちゃん。おっきな荷物持ってどうしたの?」
「マジックって知ってるかい?お兄ちゃんはね、マジックの練習をしにきたんだけど、見ていってくれるかな?お母さんたちにきいてごらん?」
そう言うと子どもたちは興奮した様子で、
「うん!聞いてくるからちょっと待ってて!」
と一斉にそれぞれの保護者のもとへ向かって行った。
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「ではでは、マジックを始めまーす!拍手〜」
―パチパチパチ―
「ここに何の変哲もない絨毯がありまーす。この絨毯に…えいっ、浮けるようになれ!(《安定浮遊》)とすると…」
―プカプカ―
「このように浮いちゃうんですね〜」
「「おー!スゴーイ!」」
「じゃあ今度は飛ぶようにしちゃおうかな!えいっ、《安定飛行》」
―スイスイ―
僕はベンチの上を低空飛行で一周した。
「お兄ちゃんスゴイ!オレも乗りたい!」
「僕も!」
「私もー!」
まぁこうなるよね。それなら…
「じゃあお兄ちゃんとじゃんけんをして買った1人だけ保護者の人と一緒に乗せてあげるねー!それじゃあいくよ?最初はグー、じゃんけんぽんっ」
「やったー!僕勝ったよ!パパっ乗せてもらおーよっ」
「お父さん、よろしいですか?」
「え、えぇ。」
お父さんは腰が引けてるな(笑)まぁ無理もないか。
「じゃあ二人で真ん中に乗ってね〜」
―スイッー―
「はい、終わりでーす。どうだったかな?ぼく。」
「とっても楽しかった!もっと乗りたかった〜。ね!パパ」
「あぁ。思ったより揺れなかったな。」
大人にも好評のようで嬉しい限りだ。
「そろそろ終わりにするよー。子どもたちは前に集まってね。お兄さんからプレゼントがあります!今から渡す石をギューッと握っててね?」
「お兄さん、なにするの?」
「この石をキラキラにしてプレゼントするよ!何色になったら嬉しいかな?」
「ピンク!」「青!」「赤!」 「黄色…」「虹色っ!」
「おっ、虹色かぁ!イイね!みんなが言ってくれた色も混ぜて虹色のキラキラ石にしてあげるね!」
石に触ってなくても出来るように、しっかりイメージして…
「えいっ(《虹の輝き》)」
―キラキラキラッ―
「できたよー!それはみんなにプレゼントでーす。じゃあこれでおしまいです!見てくれてみんなありがとー!」
そう言って僕は公園を後にした。
このマジックを保護者の人が◯witterにあげて、話題になるのはその後の話。
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短い物語ですが、楽しんで頂けると嬉しいです。
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