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勇者になることを誓うが人を守れない  作者: T・S
第1章 冒険心は忘れられない
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第12話 勇者の貫禄

 わくわくを隠して更衣室を出た。


「おう、いいんじゃないか?」


 全部の支払いを済ましたが、思ったより金貨が減っていない。


「なかなか似合ってるね」


 後ろから女性の声が聞こえた。


 後ろへ振り返ると、入り口の前にリーナがいた。


「ここからは油断禁物よ、いつどこに敵がいるか分からないからね」


「リーナさん、つまり、あの男は冒険者ということですか?」


「ええ、あいつは冒険者だったわ

 こことは別の村に住んでいたはずだけど、突如姿を消し、そして向こうの世界で暴れていたの」


「それって今でも僕のいた世界に居るということ!?」


「あいつが一瞬で姿を消したり、現れたりするのを目撃した人はいたわ

 ただ、この世界で目撃者はいないようなの」


 あの男の目的が何なのかは知らないが、今は暴れてないことを願うしかない。


「この世界にいる時は身を潜めているのか、目撃者を始末しているのか、もしくは転移魔法も使えるようになってしまったのか...」


「次元魔法と転移魔法は別物なんですか?」


「ああ、次元魔法は空間を歪ませて対になる場所へ移動する魔法で、転移魔法は空間を保ったまま捻じ曲げて同世界を移動する魔法よ

 似てるけど転移魔法の方がずっと難しいのよ」


 何となくでは理解できたが、凄すぎてなんて言えばいいのかすら分からない...。


「そんなことよりもうすぐ冒険の時間よ」


「はい、お金ありがとうございました」


 僕はバッグをリーナに返す。


「そういえば1つ気になってたんですが、この世界と僕のいた世界では時間が違うんですね」


「あー、それは空間の歪によって時空間にも一定のずれが生じていてね」


 リーナの反応からしても誤差の程度なのか、そこに悪い問題もなさそうだ。


「ありがとうございます

 行ってきます!」


「気をつけて」


 リーナとケンゴウさんに見送られながら、僕は冒険者教会に入る。


 なんだか、みんなの視線がある冒険者2人に集まっていた。

 近くにジガン先輩がいたので話しかけに行くことにする。


「ジガン先輩、みんなどうしたんですか」


「おおユーマ、あの2人を見てみろ

 あれが勇者だ」


 よく見てみると男性と女性の2人だった。


「あの人たちが勇者ですか

 たしかに風格がある」


 なんだろうか威圧すら感じるくらいの存在感があって、あの人たちに勇者じゃないときがあったとは考えられないほどだった。


「女性の勇者もいるんですね」


「バカお前、聞こえてたらやばいぞ

 噂では女性なのをコンプレックスに思ってるらしいからな」


 逆に女性の勇者ってかっこいいと思ったが、コンプレックスに思うほど男女差別というものがあるのだろうか。


「それと勇者の名前くらいは覚えた方がいいぞ

 女性の方がサリアさん、男性がディザスさんだ

 他の村を含め今は勇者が5人いるが、まあ会うこともないだろうな」


 サリアさんとディザスさんが冒険者教会の入口へと歩いていく。


「みな続け!!」

 サリアさんが大きな声でそう言うと、冒険者のみんなが歩き始める。


 緊張感あふれる中、周りは殺意が(ほとばし)っているのだった。



 つづく

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