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勇者になることを誓うが人を守れない  作者: T・S
第1章 冒険心は忘れられない
10/30

第10話 魔力皆無の適性者

 パラメータが描かれている紙をそっと渡される。


「測定の結果、日志田勇磨様の魔力量は、0でした」


「え、0...ですか」


 ゲームが好きだった僕が現実で冒険者になれると知って、期待しかしていなかった。

 だがこれが当然の結果なのだろう。

 この結果になるのはこの世界には魔法があるが、僕のいた世界では魔法など存在しないからだ。


「で、ですが適性は、火、水、風、雷、地、音、光、闇、命、全ての適性が最大です!!」


「全適性持ち!?いやでも魔力0じゃ意味ないんじゃ」


「いえ!魔力量が少ない人用に作られた魔力の込もった武器があるんです!

 魔力0なんて初めて見ましたけど使えるはずです!

 全適性が最大なのも初めて見ましたけど!!」


 受付の女性が急に大声を出し始めたことからすごいことなのが伝わってきた。

 周りもざわめき始め、僕のことを話しているのが聞こえる。


「これで僕も冒険者に!」


「はい!ではこちらの冒険者ブレスレットを着けてください

 これは魔力量、適性、クラスが刻まれていて、冒険者である証となります

 村を出入りするときにも使うので、無くさないようにいつでも着けておいてください」


 渡されたブレスレットを左の手首に着けると、自動でロックされた。


「以上で冒険者登録完了です」


「ありがとうございました!」


「ROH、楽な冒険にはならないと思いますが、お気をつけてください、平和のために!」


 これで僕もめでたく冒険者になることができた。


 ここまでずっと重たいバッグを肩にかけたままだったから、そろそろ肩の限界が来そうで鍛冶屋に急ごうとすると、ジガンさん、いや、ジガン先輩が話しかけてくる。


「ユーマ、お前、プッ魔力0って、タハハハハ

 いやー、これが宝の持ち腐れってやつか」


「あはは、まあ魔力がなくても大丈夫そうで良かったです」


「武器に込められた魔力なんて補ってくれる程度だからなぁ、ま、全属性の武器が使えるなんて羨ましい限りだ」


 不安になってくることを言われたが、肩の限界的にもう鍛冶屋に行こうと思うも他の冒険者の人たちに話しかけられる。


「お前凄いじゃんかよ魔力0とはいえ治癒魔法の杖すら使えるってことだろ?

 ハハッ俺は2nd(セカンド)クラスのエイルだ、よろしくな」


「全適性なんて意味わからん性能してても使いこなせなきゃ意味ねえ、だがお前を見込んで名乗ってやる

 俺の名はギレイク、2nd(セカンド)クラスの地の最大適性を持つ男」


「はい!はい!私は1st(ファースト)クラスのミナです

 水魔法を得意としてるのでぜひ援護させてください」


 他にもいろんな人が話しかけてきたが、肩の痛みに耐えようと頑張っていてあまり覚えてない。

 分かったことは見た目が怖い人も悪い人じゃなさそうだったことだ。


 たくさんの冒険者達を見て改めて僕も冒険者になったことを感じた。


 今から装備や武器を手に入れて冒険が始まる。

 そう心で強く思うと、緊張とわくわくが止まらなかった。


 黙り込んでしまっていた僕にジガン...先輩は思いっきり肩を組んできてこう言う。

「一緒に勇者目指そうぜ?なんかユーマとならいいコンビになれそうだからな」


 その言葉で僕がここに来た目的、みんなを守ることの第1歩、ではなく目的そのものとも言えるだろう勇者の存在を実感する。


 そして僕は、勇者になることを心に誓った。



 つづく



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― 新着の感想 ―
[良い点] 『魔力0にも拘わらず全ての適正が最大』とても面白い興味深い設定だと思います。 [気になる点] 全体的に展開が遅いように感じます。 [一言] 着眼点が素晴らしいのでご自分の面白いと思う文章を…
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