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砂時計  作者: 夜風の流
1/1

終わりと始まり


「もう・・・行かなきゃ」


その男は決意を胸に秘め、一歩を進みだす。


「・・・すまない。あとを頼んだ。」

「もう、それ以外に手は無いのね・・・」


女は聞くまでも無くわかっていた。

それ以外に手段は無いと。それでも聞かずにはいられなかった。

・・・いや、認めたくなかったのだ。

だが、止めることもできない。


「二人は俺に任せておけ。 ・・・お前に押し付けることになってしまってすまない。」

「仕方がないだろ、俺以外にできる奴も居ないし、もっとうまく立ち回れてたらこんな事にもならなかったろ。」


男は声をかけた。行かんとする男に。


「息子の顔が拝めないのが残念だが仕方ないわな。今ここですべてを抑え込まなきゃ大変なことになる。」

「・・・本当にすまない。」

「いいんだ。お前のおぜん立てのおかげで一網打尽だ。ここで仕掛けなきゃどうしようも無くなるんだからさ。」


そう言うと男は一振りの刀を鞘に納めたまま左脇に構える。

そんな彼に向かって女は叫んだ。


「せめて・・・、せめて息子の名前だけでも決めてっ!」


「そうだな・・・。」





男は叫んだ、名と、その思いを。





「戦争の時間だ。兵器も、チカラも、すべて消し去ってやる。」

「・・・ご武運を。」


男が力を込めると刀から闇が噴き出す。

噴き出した闇は次第に男に纏わり、黒き外套として形を成す。

更に闇は外套の外に翼を生やし、それでも足りぬとそれらからオーラのよう闇はあふれ出す。


「・・・ラスト、イグニッション。」


そう一言いうと爆発的な力の放出と共に飛び立っていった。


先に待つは、権力(チカラ)に心喰われし亡者の群れ。

ヒトが手にしてはならぬ禁断の果実を得んとする者達。

幾多にもなる各陣営が互いを総力でもって蹴落とし、独り占めせんと殺しあう。

そして、果実を手にせんとする者を阻む護り手の血族。











「全力ね。でなければ彼らを殺しきることはできない。

・・・本当は・・・、私も・・・、行かなければならなかった・・・。」


「己が御魂をも削る力の発現。すべては・・・」


黒翼を纏いし男が放つ力は

禁断の果実に近付かんとした愚か者たちを消し去った。


「・・・無へと返され、残るはその想い。」


残るは、禁断の果実の欠片・・・





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「おっちゃーん、司のおっちゃーんっ!」

その少年は元気な声でその男を呼んだ。


ここはとある会社の社長室だ。

呼ばれた男はこの会社の社長、龍野(たつの) (つかさ)だ。

司を呼んだ少年、彼の名は

「ああ、春来か。もう学校は終わったのか?」

春来。彼はとある事情にて両親がいない。

そのため一流大企業のこの会社の社長である司が預かっている。

都市郊外に建てられた高層ビル、うん十階だとかくらいある

ビルの最上階にある社長室に入れるフリーパスを春来には持たせていた。

「うん、今日は早帰り。給食食べたら終わりだったよ。

これから友達のとこに遊びに行くんだ。また帰るときにこっちに来るね。」

そう言いながら春来は鞄を置いた。

「気をつけてな。早帰りだったからと浮かれて道路に飛び出したりするなよ?」

司はおちょくるような口調で春来に釘を刺した。

「はいはーい、わかってるって!」

そういうと春来は駆けながら社長室を出て行った。


「・・・懐かしいよな。アイツにそっくりだ。」

司はかつての友の面影を春来に見ていた。

「俺が守らなきゃならんよな。もう俺しかいないんだから。

事が起きないように俺がしっかりしないとな。」

司は思うのだった。

芽はアイツが根こそぎ刈ったと。

俺は新たな芽が出ないようにすべてを隠さねばならないと。

社長室の奥、私室にある隠し部屋の方を見ながら・・・

他の作品を放置しながらも新作を書くスタイル


まあとある理由で各作品同時並行が好ましいかと思ってたりもします。

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