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TS魔王の『モン娘』ハーレム綺譚  作者: 九條葉月
第一章

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6.リュアのいる日常


 6.リュアのいる日常。




 朝。

 殺気を感じて庭に出ると、リュアが二本の枝でシャドーボクシング(?)をしていた。その先には柵があり、さらに先では10体程度のゴブリンがこちらに向けて侵攻してきていた。


 前世の俺なら苦もなく倒せる程度の数。

 だが、今の俺はまだこの身体を使いこなせていないので、万が一のことを考えると接近戦は避けておきたい。


 あと、あまり近づけすぎるとリュアがボクシング(?)で襲いかかりそうだからな。リュアの安全も考えれば遠距離で迎撃した方がいいだろう。


 順当に考えれば何か魔法を使えばいい。

 だが、俺はある光景を思い出していた。


 エリザに容赦なく襲いかかる、杭。


 D.P.10で作成できる杭は生物か邪悪な存在を自動察知するんじゃないかというのが俺の考えだ。それを確認する絶好の機会なのではないだろうか?


「――杭作成」


 特に本数を指定したわけではないのだが。地面から十本の杭が飛び出てゴブリンたちを串刺しにした。腹部から突き刺さり肋骨の下を通って心臓を穿つという芸の細かさ。


 ゴブリンとはいえ、二足歩行の生物が串刺しになっている光景は中々にグロテスクだ。エリザが見たら泣くんじゃないだろうか?


 D.P.10の消費で、D.P.50をもらえるゴブリンを討伐できるのだから悪い話ではない。が、魔法を使った方が節約にはなるな。自動回復(イルズィオン)のおかげか魔力もすぐに回復するし。


「さて、」


 いちいち魔石を回収するのも面倒だし、魔法でさっさと焼き払うか。と、俺が準備をしているとリュアが柵の隙間から外に出て、ゴブリンたちに近づいていった。根っこを使って歩いているのに意外と早い。


 リュアはゴブリンを突き刺した杭の根元で立ち止まり、細長い蔦のようなものを数十本伸ばしてゴブリンたちの胴体に突き刺した。


 何をしているのか最初は分からなかったが、蔦のようなものが脈打っていることから血液を吸い取っているのかもしれない。


 血を吸い取るとか、完全に魔物の行動のそれである。

 いや、たとえ魔物でも今さら討伐する気にはならないが。


 みるみるうちにゴブリンたちは干涸らびていき、満足したのかリュアは蔦をゴブリンから抜き取った。


 その蔦で器用にゴブリンの身体を切り開き、魔石を回収。どこか誇らしげな様子で俺のところまで持ってきた。


 くれるらしい。


 俺が感謝の意と共にリュアの頭――というか天辺? を撫でているとリュアは嬉しそうに腕を上下させていた。ちょっと可愛いかもしれない。





 ゴブリンを討伐したからD.P.が増えているかなと“智慧の一端(ソピア)”を開いたら、新しい通知が来ていた。



 ――世界樹の幼木を仲間にしました。報酬として100,000,000D.P.が付与されます。



 一億?


 D.P.の桁もおかしいが、何よりおかしいのは『世界樹』という文字。


 流れからしてリュアのこと、だよな?


 分からないことはエリザに質問。彼女は王妃教育のたまものか様々な知識に明るいのだ。

 ただ、いきなり『リュアが世界樹だった』と説明しても信じてくれないだろうから遠回しに確認する。


「なぁ、エリザ。リュアを見ていて思い出したんだが、この世界にも世界樹はあるのか?」


「ありますわ。というよりも、あったと言った方が正確ですわね。この“神に見放された土地(アゥフ・ギーブン)”にはかつて世界樹が根を張り、地上の楽園といった様相であったと神話に描かれていますわ」


「やはり神話の話か」


「えぇ。そして世界樹は数千年前に“邪神”の呪いのせいで枯れてしまい、それ以来この土地は草木が一本も生えない土地になってしまったのですわ」


 お城を建てる予定の岩山をエリザが指差した。


「神話の記述が事実なら、あの岩山は“邪神”の呪いで石化した世界樹らしいですわよ?」


 岩山の標高は50m、長さは500mほど。もしも倒れた木だと考えれば高さ500mの巨木か。


「にわかには信じられないな」


「神話のお話ですものね」


 でも、あれが世界樹だったとしたら。その近くに種が落ちてリュアが生まれても不思議じゃないんだよな。


「ラークの世界の世界樹はどんなものですの?」


「こっちも神話のお話だな。一番有名なのは北欧神話のユグドラシルかな?」


 九つの世界を内包するだとか、オーディンが枝を使って槍の柄を作ったとか。そんな話をしているとエリザは大変興味深そうに聞いていた。


 聞き手が楽しそうにしているとこちらも熱が入るものであり。その日はエリザと、途中で合流したリュアに地球の神話を語って一日が終わった。


 ま、たまにはこんな日もいいだろう。



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