第3章 エピローグ
奴隷取引の会場を襲撃したカインたちは十数人の亜人を保護してきた。
ちなみにこの日、王都のとある商人の屋敷が爆発炎上したらしいが、俺は無関係だ。うん、おれはなにもしていない。
カインたちが保護したのは犬耳や猫耳が生えた獣人族だった。
全員女性。
比較的人間に近い亜人ばかりなのは、(一応は法律で禁止されている)性的な目的での購入が目的だったかららしい。
うむ、爆発炎上して当然だな。
爆発炎上に特に問題はないようなので、直近の問題となるのは保護してきた(元)奴隷たちの処遇だ。
もちろん奴隷のままでいたいとか、王都で暮らしたいという亜人もいるかもしれないので意思を確認してみたが、全員が新天地での生活を希望した。
親から売り払われたとか、冒険者に村を焼き払われたとか、それぞれに事情は異なるが、共通していたことは『もう帰るところがない』ということだった。
そんな話を聞いて見捨てられるほど俺は薄情ではないので、しばらくの間は俺の領地(?)で面倒を見ることになった。
十数人の亜人『元』奴隷と、アラクネのキッヒをいつまでも王都に留めていくわけにもいかないので、転移魔法で俺の領地まで移動させることにした。
途中で辺境伯領によってエリザとリュアを回収し、領地へ移動。その後はとりあえず人数分の家を作ったところで夜となった。
今後の細かいことや、生活に必要なものは明日以降ということにしてその日は床についた。
◇
「まさか嫁を3人も増やしてくるとは……読めなかった! この世界樹のリュアの目をもってしても!」
翌日。
嫁たち(なぜかエリザはいない)に土産話をした結果。リュアがそんなどこかで聞いたことがあるような台詞を叫んでいた。お前はどこの海のリ○クだ。
「リュア、人聞きの悪いことを言うな。キッヒは奴隷になっていたから助けただけだし、シイシャは病気だったから助けただけだし、リッシェはまだ助けると決まってすらいないんだからな」
「そしてまさか愛人を十数人連れてくるとは、読めなかった以下略」
自分でボケを略すなよ。
あと愛人じゃないから。保護しただけだから。そんな十数人も増えたら身が持たんわ。
……というか、愛人が十数人増えたらイチャイチャ(意味深)する人数がそれだけ増えるわけで。リュアとイチャイチャ(意味深)できる頻度が半月に一度くらいになるわけだが。それでもいいのか?
「……彼女たちは新しい住人。リュア覚えた」
現金な世界樹だった。
「それはともかく! ラークには少しばかり驚いてもらおうかな!」
リュアが扉の方に腕を向けると、見計らったかのようにドアが開いた。その先にいたのは――エリザだ。
普段のエリザはストレートに髪を下ろしているのだが、今日の彼女は複雑かつ丁寧に髪を編み込んでいる。
唇がいつもより淡いのは化粧をしているからだろうか?
そして、着ている服。
西洋絵画に出てきそうなドレスを着込んでいた。白を基調とした豪勢無比なドレス。布地にはわずかに光沢があり、所々に小さな宝石のようなものが散りばめられている。
地面を擦りそうなほどに長いスカートはふわりと膨らみ、金糸や銀糸による刺繍が事細かに施されている。
服飾についてまったく知識がない俺にでも分かる――
「高そうなドレスだな――痛たたたたたっ!?」
リュア、ケウ、姫、スレイ、タロン、ニィル。そしてカインが次々に俺の頭をはたいていった。かなり強めの力で。
姫とスレイ、タロンは下手すると頭が割れるので勘弁して欲しいところ。
「ラーク、それはないよ」
「なしですね」
「駄目な男じゃな」
「もう少し頑張ってください」
「いくらなんでもそれは……」
「駄目だと思います」
「もっと女心を理解しないとね」
嫁たちからダメ出しされる俺だった。いやタロンとかニィルとかカインは嫁という扱いでいいのかどうか分からないが。特にカイン。俺、惚れられるようなことしていないよな?
と、それはともかくとして。エリザが『しゅーん……』と落ち込んでしまったので俺は少し大きめに咳払いをした。
「あ~、その、なんだ? とても似合っているぞ、エリザ」
「っ! ふふん! そうでしょうそうでしょう! なにせわたくしなのですからね! 似合わないドレスなどあるはずがありませんわ!」
今のエリザ、尻尾があったらブンブンと振っているに違いない。
自信満々に胸を張りつつ、少しだけ頬を赤らめているエリザを見て……思う。
今回は結局会うことはなかったが、エリザを捨てたという王太子の目はきっと節穴に違いないと。
見た目からして完全にウェディングドレスなのですが、ラークさんは素で気づいていません。
まだまだ伏線の改修も終わっていませんが、ここでいったん完結扱いにします。連載再開など、詳しいことは活動報告で。




