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TS魔王の『モン娘』ハーレム綺譚  作者: 九條葉月
第二章

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閑話 お留守番のドワーフさん (ドワン視点)


 閑話 お留守番のドワーフさん (ドワン視点)



 ジーン族の移住後、畑で育てはじめた野菜が収穫の時期を迎えた。


 本当はラーク殿がいるときに収穫し、すぐに初物を納めたかったのだが、正確な帰宅日時も分からないので収穫はしてしまった方がいいだろう。


 エイルに保存の魔法をかけてもらい、ラーク殿にはなるべく新鮮な状態で食べてもらえるようにしよう。普通は野菜などにわざわざ保存の魔法をかけたりはしないが、それはそれ。感謝の印なのだから多少の非効率さには目をつぶるべきだろう。


 いや、非効率な魔法をかけてもらうのはエイルなので、あとで肩でも揉んでやらないとな。


 さて、今日収穫する野菜は『大根』だ。大きい根っこだからこの名が付いた白い野菜で、ラーク殿の元いた世界にも(形や大きさは少々異なるそうだが)同じ野菜があったらしい。


「……野菜が同じということは、生態系も同じなのかしら? いえ、でも魔素があるこの世界と、魔素がないという“チキュウ”が同じ生態系になることなんて……」


 エイルがなにやら難しそうなことを考えているみたいだが、話を聞いても理解できないだろうから放置。必要以上に干渉しないことも結婚生活を円満に維持するコツだと思う。


 まぁとにかく、ここには暦がないので正確な日数は不明だが、大根が育ったのだから2ヶ月から3ヶ月くらいは経っているのだろう。時が経つのは早いものだ。


「――皆の者! 粉骨砕身の心構えで事に当たれ!」


 少し離れたところでスレイ殿が大声を発し、ジーン族100人ほどが『うおぉおおおおお!』と鬨の声(?)をあげた。


 まるで出陣前の様相を呈しているが、今からやるのは野菜の収穫作業であり、ジーン族が(まるで槍や剣のように)天高く掲げているのも鋤や鍬だ。


 そもそも大根の収穫にあんな農機具は必要ないのだがな。……うん、それに気づいたのかジーン族の皆も農機具を手放し、軍手をして畑の中に入っていった。


 ワシもエイルと一緒に管理していた畑で収穫作業をしつつ、ちょっと不安だったのでジーン族の作業を監視――じゃなくて観察した。


 人馬族は背が高い。馬の胴体の上に人間の上半身が乗っているためだ。ゆえにこそ上半身を曲げただけでは地面に手が届かず、大根を引き抜くことができない。


 となると足を折って下半身を沈める必要があるのだが、どうにも途中で膝を止めることが苦手らしく、一気に膝を折り曲げてしまう。さらに何人かは(いつもの癖なのか)そのまま馬体を横たえている。


 この時点で周りの大根は大惨事だ。


 で、立ち上がるときなのだが、四本足のせいかどうかは分からないがその場ですくっと立つことができず、何度か足踏みをしてようやく立ち上がることができるようだ。


 この時点で周りの大根をかなり踏みつぶしている。


 ダメだこれは。


 一本引き抜くだけで周りの十数本が犠牲になる。

 ジーン族の皆に悪気がないのは分かっているし、普段使いなら多少潰れていてもいいのだが、ラーク殿への献上品にはできない。


 スレイ殿もそう認識したようで、助けを求めるような目でワシを見てきた。いや眼帯をしているので瞳は見えないが、確かに分かる。じーっと見つめてきている……。


「……よし、収穫作業はワシとエイルに任せてくれ」


 胸を叩くしかないワシだった。

 エイルには保存の魔法をかけてもらうので、実質的にワシ一人での収穫作業だ。


 目の前には、有り余った荒野を存分に活用した大根畑。とても一日二日で終わる量ではない。


 だが、やるしかない。

 エイルと当てのない旅を続けてきたワシが、せっかくの食料を無駄にすることなど許されないのだから。


 まずは大きくなったものを優先して収穫に取りかかるワシだった。うおぉおおぉおおお……。




 後に。

 見かねたタロン殿が(自分も神殿建設を任されて忙しいというのに)収穫用小型ゴーレムを錬成してくださり、収穫作業は一日で終了した。


 もう創造神様と並んで信仰したい勢いである。






 創造神ユル

「おのれぇ私のシマを荒らすとはいい度胸だ! いざ尋常に勝負――は、止めておこう。うんうん、神様が簡単にケンカしちゃいけないよね。べ、別に! タロンの“神殺し”のスキルを怖がっているわけじゃないんだからね!」


 ニィル

「急にやって来て一人芝居するのは止めてくれません?」



次回、6月6日更新予定です


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― 新着の感想 ―
[一言] 斜向いでも神様気軽に来るからね忍びないね
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