表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS魔王の『モン娘』ハーレム綺譚  作者: 九條葉月
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/79

11.人馬族の靴。


 11.人馬族の靴。



 ここ数日、ケウとスレイとの散歩(?)にニィルも参加するようになった。


 まぁ、ニィルはスレイの実の妹だからな。俺にとっては義理の妹。仲良くなることに何の問題もないと思う。


 ……空の彼方から『姉妹丼展開だね! この鬼畜魔王め!』という声が降ってきたが、そろそろ空を切り裂く系の技を開発するべきかもしれない。


 まぁとにかく、ニィルに関しては問題ない。ないはずだ。特に口説き落とすようなことはしていないはずだし。


 問題があるとすれば、俺の乗馬権(?)争いにニィルも参戦するようになったことか。

 今までは単純に行きと帰りで乗馬を変えれば良かったのだが、三人となるとまた配分を考えないといけない。


 今はケウ、スレイ、ニィルという順番でローテーションを組んでいるが、行きと帰りで二人に乗る形だと、残りの一人には乗れないからな。どうにかする必要があるだろう。


 さて。そんな散歩風景であるが、ケンタウロス――人馬族が三人もいるので話題は必然的に人馬族関連が多くなる。


 今日の話題は蹄と蹄鉄だった。


 人馬族は普通の馬よりも体重があるので、蹄も摩耗しやすい。そこで蹄に鉄の保護具を取り付ける『蹄鉄』が重要になってくる。


 しかしこの蹄鉄、人馬族にとって悩みの種らしい。


 蹄鉄は釘で蹄に固定するが、蹄に神経は通っていないので痛みはない。……のだが、ハンマーで打ち付ける衝撃は伝わるし、まだ身体のできていない子供にとっては十分な『痛み』らしい。あと単純に、釘を打ち付けられるのは恐いそうだ。


 なので蹄鉄を付けるとき子供は泣き叫ぶし暴れるのだとか。

 蹄鉄の重要性も理解しにくいだろうし、しょうがないのだろうな。


 また、蹄が伸びてくると蹄鉄を取り外して爪を削り、また付けないといけないので結構な手間。ジーン族の場合は大体2~3週間で交換だそうだ。


 蹄鉄を外せば自然に蹄も摩耗して短くなるのだが、それだと蹄が破損する可能性が高くなってしまうし、軍事訓練や狩りなどをしていると削れすぎてしまう。


 取り外しが可能な靴式の蹄鉄を使い、軍事訓練の時は蹄鉄、日常生活の時は素足というのが理想的らしいが、なかなか人馬族の機動に耐えられる靴はないらしい。


 靴式の蹄鉄を見せてもらったが、馬用の草履といった感じだった。鉄じゃないから馬蹄だな。


 人馬族で色々試してみた結果、靴を鉄で作ると重すぎるし、革は摩耗が激しくて値段的に厳しいらしい。一番マシなのが草履風なのだと。


「ふむ……」


 ちょっと人馬族用の『靴』を作ってみるか。

 男の子は工作とか発明が大好きだからな。時々忘れかけるが、俺、男。





 人馬族の悩みを聞いて、まず思いついたのが地下足袋だった。足袋(たび)にゴム製の靴底がついているあれだな。


 俺は考えた。鉄製の靴が重すぎるなら、靴底だけ鉄にすればいいじゃないかと。

 イメージ的には足袋に蹄鉄をくっつけた感じだな。


 物作りといえばドワーフ。俺はドワーフのドワンに話を持って行った。D.P.で地下足袋を交換できたので、それを持参して。


 ドワンは興味深そうに地下足袋を観察していた。


「ほう、布製の靴に、これは……“滑らずの木”ですな? なるほど、接着剤で異なる素材をくっつけていると」


 滑らずの木とはたぶんゴムのことだろう。


 ドワンが自慢の顎髭を撫でた。


「蹄鉄を作ったことはないですが、ジーン族に話せば予備のものが手に入るでしょう」


「じゃあ、俺から話しておくか」


 一応ジーン族の主らしいし。ドワンよりはスムーズに行くだろう。


「蹄鉄と靴部分の接着ですが……ふむ、世界樹の樹液で作った接着剤が一番強力ですが、貴重品ですからな。ジーン族すべてに行き渡らせるなら魔物から作った『ニカワ』を使うのがいいでしょう。強度も問題ないはずです」


 樹液くらいリュアに言えば融通してくれそうだが……樹液が体液みたいなものだと考えれば大量に準備させるのも忍びない。


 あと、思ったより話が大きくなっているな。俺はただ気まぐれというか思いつきというか、個人的な趣味で工作――靴を作ろうとしただけなんだが。ドワンの中では『ジーン族のために使いやすい靴を準備してやる』という認識になっているらしい。


 まぁ、ケウとスレイ(俺の嫁)の一族が悩んでいるのだから、多少話が大きくなってもいいか。まだ成功するかも分からないし、成功しても皆が気に入るとは限らない。


 それに、たとえ500人分の靴を準備することになってもD.P.交換で材料は手に入るだろうし。ジーン族が移住してくれたおかげで増えた日々のD.P.収入を考えれば安いものだ。


 労働力は……ドワンやエイル、ジーン族の皆に協力してもらうとして、そうなると給料は支払わないとな。


 そういえば。俺はこの世界の貨幣事情をまるで知らないな。欲しいものはD.P.で何とかなっていたが、給料のこともあるし、あとでエリザ辺りに聞いておくべきだろう。


 そんなことを考えているとドワンが悩ましげな声を上げた。


「あとは、靴部分ですか。ワシは鍛冶が専門なのであまり知識はありませんな。革ではなく布地で作るのでよければ、たぶん嫁が作れますが」


 たしかエイルは動物由来の素材が苦手だったな。


「じゃあ、エイルにお願いしてもらってもいいか? 布地は俺がD.P.で交換して……とりあえず、試しに一つ作ってみよう」


 そういうことになった。



次回、2月6日投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ