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TS魔王の『モン娘』ハーレム綺譚  作者: 九條葉月
第二章

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8.龍の鱗。その2


 8.龍の鱗。その2



「ムズムズしてやった。反省はしておる」


 姫が正座しながら謝罪したのでゲンコツは無し。


 何でもあれは脱皮だったらしい。ドラゴンの脱皮は皮が剥がれるのではなく、鱗が一枚一枚剥けるのだとか。


 姫いわく、聖水で水浴びをしているせいかどうかは分からないが、いつもより早く脱皮の時期が来てしまった。


 普通なら脱皮の時期には人気のない場所に行くらしいが、予想より早く『ムズムズ』したから思わず掻いてしまったと。


 周囲に飛び散った鱗はタロンがゴーレムを使って片付けてくれている。正直、リュアよりもメイドっぽいことをしているんじゃないだろうか?


 ちなみにリュアは鱗の一枚を回収し、どこからか話を聞きつけたらしいドワーフのドワンと一緒に色々と調べている。


 ドラゴンの鱗ってのはゲームとかだと定番の素材だよな。固くて軽いから武器を作ったり防具を作ったり。薬の素材になるものもあったかな?


「ふむ……」


 タロンが集めてくれた鱗の山に近づき、一枚持ち上げてみる。大きさに比べるとやはり軽い。見た目で推測した半分くらいの重さだ。


 色は白に近い青。俗な言い方をすれば氷属性っぽい。

 表面は滑らかだが、つるつる滑るというほどではない。触ってみると数ミリ沈み込むような感覚があった。『沈み込むのに固い』という不思議な感触。


 試しに拳で叩いてみると、磁器を叩いたような音がした。だが、硬度は磁器とは比べものにならないほど高そうだ。


 これ、鉄より固いんじゃないか?


 ちょうどタロンが近くにいたので、鱗を1枚持ってもらう。空手の板割りのように。タロンの腕はゴーレムのようにデカいからな、1~2mはある鱗も問題なく持てる。


 アイテムボックスから愛用の刀を取りだし、斬りつけてみた。


 手応えが全くない。

 固さからして斬れないことは予想していたが、それ以前に不自然なほど滑らされた(・・・・・)ような?


「――ふっ!」


 二回目。次は斬鉄のつもりで斬りつけた。

 が、やはり滑らされたような。


「ふふん、神代より生きる龍の鱗じゃからな。我が妻でもさすがに斬れんじゃろう」


 姫が胸を張っていた。

 そう言われると無理矢理にでも斬ってやりたくなるな。


「――――」


 刀を青眼に構え、視る(・・)



「――万象森羅に終わりあり」



 思い出すは師匠の言葉。


 “それ”がこの世に存在するならば、必ず“それ”をこの世につなぎ止めている(くさび)も存在する。


 存在するなら、斬れる。

 見切ったならば、斬れる。


 見切って、実を切る。

 ゆえにこそ、この技の名は――




「――ミキリ」





「……いや、それどう見ても必殺技ですよね!? なんでこんな場面で使っているんですか!?」



 鱗を持っていたタロンがそんなツッコミをする。が、ツッコミが終わらないうちに俺の刀は振り下ろされて――鱗は両断された。


 うむ、やはり滑らされるような感覚があるな。表面が流動的とでも言うか……。元々の固さに加えてこの特性なのだから、防具を作ったら最高級品ができるだろう。


「わ、わらわの鱗が……」


 姫が珍しく冷や汗を流していた。――特段『珍しく』とつける必要はないか。最近の姫って感情を表に出すようになったし。


 いや以前から『眠い』とか『面倒くさい』とかいう感情は表に出していたんだがな。今回のように、自分の“強さの格”が落ちるような反応はしなかったのだ。


 昔は本当に超然というか飄々というか、いかにも強者な雰囲気を醸し出してしていたのだが。


 一言で言えば人間味が増した。

 まぁ、神様神様やっているよりはいいことなんだと思う。きっと。


 俺がそんなことを考えていると、


「ぬぬぅ! このままでは終われんよ!」


 姫の身体が『ぺっかー』と光り輝き、ドラゴンに変身した。そしてそのまま口元に魔力を集め、白い炎を吐き出す。


 いわゆるドラゴン・ブレス。

 前世の火炎放射器。とは、規模が比べものにならないか。


 神話においては悪しきものを滅ぼす聖なる炎とされているらしい。


 で、そんなブレスが焼いていた。脱皮した自分の鱗を。


 焼かれた鱗はしばらく赤く輝いていたが、冷えるのと同時に青色に変化した。先ほどまでの色よりさらに青が濃くなっている。むしろ藍色の方が近いか?


「ふふん、聖なる炎で焼かれた鱗は、もはやわらわの鱗と同じ強度!」


 脱皮した鱗は脆くなっているのだろうか?


 空気を読んだタロンが板割りのように鱗を持ってくれる。


「数千年を生きる氷竜姫の鱗! いくら嫁殿であろうとも――」


「――てい」


 すぱーんと斬ってやった。


「なんとぉ!?」


 信じられないような声を上げていたので、もう一枚二枚と斬ってやった。


 うむ、固い上に流動的だからな。『ミキリ』の鍛錬には丁度いいかもしれない。


 途中からドワーフのドワンにお願いされ、鱗を細長く切ったり四角く切ったりしていると――姫が体育座りをして落ち込んでいた。ドラゴン姿のままで。


「……ひどい、私の鱗が……」


 おい口調。キャラ崩壊しているぞ。

 リュアが見たら怒るなきっと。


 あと、ドラゴンの足は短いので体育座りをしても『待て』のポーズにしか見えないのだけどな。口にするとさらに落ち込みそうなので沈黙を保った俺である。


 ……うん、人間味が増すこともいいことばかりじゃなさそうだ。

 颯爽と前言を撤回する俺だった。



次回、22日更新予定です

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― 新着の感想 ―
[良い点] 二人共、無駄に意地を張り過ぎw
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